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いい話すぎて泣ける、
いつものノベルとかより格段に短いのにそれでも変わらないくらい神なのなんなんですかマジ尊敬です なんでこんなに泣けるんだよほんとにいつもありがとうございます
最初話の意味がわかんなかったけど読唇術のとこであっ、、ってなった、! 愛してるって言う1つの言葉の中にもいろんな想いが溢れてたんだね
「春ちゃん おはよう。愛してる」
そんな朝の一言で始まる俺らの日常。
「意地悪な彼」
蘭→→→→→→春
「おはよう……….おはよ〜!生きてる?」
生きてるよ煩いな。目空いてんじゃんか。
俺の彼氏灰谷蘭は毎朝俺より早く起きて、身支度を終えてから俺を起こしに部屋に戻ってくる。起きたことに気付いた後の第一声
「おはよう。愛してる」
耳元に降りかかるその声は、少し低くてでも優しくて….安心する声なんだ。「愛してる」その一言だけで幸せな気分になる。そんな声。
ああ….一方的に愛してるだなんて。意地悪だ。俺だって蘭のこと愛してるよ。愛してる。愛してる….悲しくなるほどに愛してるよ。
「春ちゃん〜おやすみ。愛してるよ」
寝る前もいつも蘭から「愛してるよ」と言ってくれる。俺に言う隙を与えずただ一方的に。気恥しさと、愛を感じ頬を染める俺の頬をゆっくりと撫でれば、蘭は優しく微笑んで、もう一度
「愛してる。」
と零した。すると気が抜けたように蘭は眠りにつき、自分勝手に寝てしまう。話して欲しかったのに。
「春ちゃんおはよ〜。愛してる」
「……」
俺の恋人 三途春千夜はいつも何も言わない。愛してると言っても、切なそうな目で俺を見つめて、ふと気付いた時には優しそうに微笑んでいるんだ。
「愛してるよ〜」
もう一度そういえば、むぐむぐと口を動かした。
あ い し て る よ
読唇術を覚えた俺は、春千夜の口の動きで発言を分析する。声も出さずに「愛してるよ」と。
でもやっぱり君はいつも何も言わないね。
「春ちゃん 愛してるよ〜」
蘭は何も言えない俺にいつも「愛してる」と言う。辞めて欲しいなぁ….俺だって「愛してる」って言いたいのに。蘭は相変わらず意地悪だね。
1度伝えた事がある。まだ手が自由に動いた時。ノートに書いて。
もう愛してるなんて言わないで。何も言えないのが苦しい。何も言えないのが蘭を苦しめる気がするから。もう言わないで。
そう伝えた筈なのに。蘭は毎日毎日「愛してるよ」って何も言わない俺に懲りずに語りかける。手を握って、頬を撫でて….優しそうに微笑めば、俺が喜ぶって分かってるから。仄かに幸せを感じることを知っているから。
でもやっぱり悲しいんだ。愛してるって一方的に言わせちゃうのが。
「春ちゃん愛してるよ」
何も言えない君に毎日「愛してる」と言う。これが君にとって意地悪になっていると分かっていても。俺の自己満だと分かっているけど。もうすぐ消えてしまう君にどうしても愛を伝えたいんだ。
伝えられる限りの沢山の愛を。
「春ちゃん….いつまでも愛してるよ」
この男はそう言った。まるで俺の事を昔から知っているかのように。でも泣きそうな顔を浮かべて微笑んでいた。頬に当てられた最期の温かさは、心まで熔けていくようなそんな幸せの温度だった。
「春ちゃん…今までよく頑張ったね。」
眠った君にそう告げた。最期はもう俺の事なんか覚えていなくて、それでも「いつまでも愛してるよ」と伝えた時は、前と同じように少し悲しそうに微笑んで
そして静かに永遠の眠りについた。
「春ちゃん久しぶり。愛してるよ」
花が溢れる丘にひっそりと佇む小さな墓石。その前に腰を下ろせば少し冷たい風が俺の髪を揺らした。
「愛してる。愛してる愛してる愛してる〜」
俺を置いていった君をからかってあげようと思って、何度も「愛してる」と言ってやった。
煩いって怒ってるかな、しつこいって笑ってるかな?それとも俺もだよって微笑んでくれてる?分からないけれど、生きていた頃より元気で居てくれたらいいな。
そっちの世界にはもう、君を阻む者はいないよね。最後に聞かせてね。
春ちゃん。君は今幸せですか?
相変わらず意地悪だね。
蘭がいない世界が幸せなはずないでしょ?
意地悪な彼_____end