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「お前の絵、気持ち悪いよ」
私は、絵を描くのが大好き
「お前の絵なんか一生見たくない」
私は絵を描くのが、
「また、下らない事してるの?それくらいなら勉強しなさい!!」
私は、
「お前、絵だけは上手いからな」
絵が、好き、?
バッと起き上がると時刻は丑満時、登校の支度をするには速すぎる時間だった
「はぁ、なんで今更、」
捲り上げた布団を戻し、また枕に頭を沈める
が、醒めてしまった目がまた眠る事など無く、深夜テンションながらの憂鬱に身を委ねた
遣り処も無い焦燥感に蝕まれ、どうしようも無く腕が疼く
私にはもう此れしか無いんだなと自身を憐れみつつ
左腕に紅を散らす
嗚呼、落ち着く。
生きている実感を感じた次には、果てし無い虚無感がやって来た
しょうがない、とふと出て来る涙をこらえ、震える手で絵を書いた。
「はは、こりゃ酷い、」
でも、描かなければ成らない気がするのだ。
彼が唯一褒めてくれた、認めてくれた物を
そして褒めてくれた彼の名誉を護る為
でも、何時からか其れが辛くなった
年齢を重ねるに連れ、誰からも見向きされ無く成る
なんと無様だ、
私がこんな事をしている間にも、彼は先に行っているのだろうかそう考えるだけで自責の念に埋め尽される
「死にたい」
死ぬ勇気も無いのに、死にたくも無いのにそう思ってしまう
早く逢いたいのに
ただ、写真立てを見つめていた
いつの間にか泣き疲れて眠ってしまったのだろうか。
二度寝ならではの倦怠感と痛む腰を無理矢理起こし、支度をする。
青白い光が差すリビングで手慣れた手付きで学ランのボタンを閉じる
特に腹も空いていない為、朝飯を食べずに学校へと脚を運ぶ
「おはよーう!!!!!」
口角を上げ、教室の扉を抉じ開ける
返事は返ってくる事は無いが、其れでも良い。
こうやってテンションを上げる事で、”僕”は生きられるから。
退屈な公民の授業を寝て過ごし、なんとか休憩を迎える
ふと、幼少期の心配性な親友を思い出し、独りでクスッと微笑う僕をクラスの皆は嘲笑い、不気味がる
何時もの事だ。
あっと言う間に迎えた帰りのHR。
私は、絵を描けない様に色々な仕事を自ら入れていた。顧問の先生からは、事情を聞くのに呆れたと言い、部活に来ない事をほんのり薦められる
そんな事、する理由ないじゃん、
ただでさえ病んでるのは親に隠してるのに、
どんな罵詈雑言を言われる事か、
結局、一時間余ってしまい、厭々重い足取りで部室へと向かう。運が良い事に数少ない他の部員は欠席らしく、久しぶりに私は「御喋り」を始めた
「シグマ君、」
何時にも増して世界の終わりの様な顔をしている僕を心配してか目の前のシグマ君が眉を下げる
「大丈夫か?」
「本当は絵なんか描きたくない、他人に比べられたくない、誰よりも劣ってるのを自覚するのが怖いよ、僕はただ、好きな物を描きたかっただけなのに、なんで描けば描く程皆離れてくの、?」
シグマ君から目を逸らした。何と無くだった
僕は彼に凭れ掛かった
無理矢理口角を上げるのに疲れた表情筋は無表情を創り出す
「もう、厭だよ、シグマ君、」
ただ、それだけだった。
「お前はお前だ、他人を考慮する必要等無いだろ
それが苦しくて出来ないのなら、私だけを見たら良い」
僕は逃げ出してしまった
でも、直ぐに膝から崩れ落ちる
「莫迦みたい、」
誰よりも優しい君に依存している自分が遣る瀬無い。
君は何者にでも成れる。でも、僕は、?
絵を描かない僕は僕なの、?
後方で皆が座り込んでいる僕を見て噂話をしてる。
「ねぇ、あの子絵に話し掛けてたよね?」
嘘だ
「なんであの子泣いてるの?」
だってシグマ君は”居る”んだもん、
遊んでたんだ、実際に
「気持ち悪、、、、」
違う、
「”やっぱり”あの子、可笑しいんじゃない?」
その一言で、僕の中の何かが壊れた
「五月蝿い!!!!!!!!!」
僕は家履きのまま、我夢者羅に何処かへ走った
気付くと僕は自室の前に立っていた
嗚呼、逃げ出してしまったのか
情けないなぁ、こんなんだからまた、ドス君に捨てられたあの日を思い出してしまう
昨日もまた寝落ちし、目が覚める
僕はまだ夜明けと言うのに学校へ向かった。
ライターを持って。
「ニコライ?」
シグマが私を不安そうに見つめる、ああ、顔に出ていたのか、直さないとと思い直ぐに口角を上げた。
シグマは私をただ、見ていた
すると私の手に握られたライターを見て全てを察したのだろうか、彼は俯いた
「はは、私より世間を取るのか
お前は私の物なのに
私だけ見ろって、言っただろう?」
「、、、、、、ごめんね」
「燃やしてくれ、お前が他の人に奪われる前に速くしてくれ」
最初から分かっていた
形だけで、一生結ばれない事なんて
そもそも贋物の私と人間の彼では触れ合うことすら出来ないのだから
それに、ニコライは私に誰かを重ねている
私はその人を演じ、ずっと硝子に触れる様に優しくしてきた
私と会話する度に孤立してゆくニコライを見て、少し嬉しかった
他の誰でも無い、私を一人を求めくれる
そんな君が好きで、大嫌いだった
「愛してるニコライ。
次は、私みたいな存在何て、生まれないといいな」
ボォ
布製のキャンバスの片隅に火が灯されあっと言う間に燃え広がる
炎に蝕まれながら目を閉じる彼には、妖美とも取れる美しさがあり、不覚にも泣いてしまった
「ごめんね、ごめんね、やっぱり好きに成れないよ、」
手を少し焼く燃え滓を拾い集めて抱き締めた
僕は、君が好きだった。いや、___君が、
「触らないでくれ!!」
___君はもう僕の隣には居ないから
「シグマ君、」
君はね、とっても___君に似てる
そして昔の私に、ね
ふと気付いた様に時計を見るともう7時、
「そろそろ教室に行くか、」
教室に向かうと数人のクラスメイトが私の方を振り向き、何か言いたげな顔をしていた
「おはよう!何かあった?」
それからは、友達も数人できて、話相手も出来た
良いんだ、これで良いんだ。僕は普通に成らないといけないのだから
その為にシグマ君はこうでなきゃいけなかった、
そう思い込まないと、受け入れられないから
「あいつ最近急に明るくなったよな~」
「キモくねw?」
「いや、お前あいつと仲いいじゃんww」
「いやー話してやってるだけだからw」
「可哀想w」
はは。辛いな
私は絵を描き続けた
手がボロボロになって湿布だらけになった。
それでも私は絵を書いた
それで幸せになれると信じていた
「ニコライ、貴方、絵を描くのを辞めたの?
貴方には絵位しか無いのに」
そうだよ、だから頑張ったんだ、
最初は楽しかった。皆で描いたり、競ったり。でもやっている内に段々皆辞めてった
僕は、僕は本気で描いていたのに、彼等からしたら暇潰し程度でしかなかったんだ
「今度は売れる絵を描いて頂戴ね?これで売れなくて生活出来なくなったら全て貴方のせいだからね」
描かなきゃ、他のことしてる暇あったら絵を書かなきゃ、皆のために
「分かった、」
作業がひと段落し、落書きをしてみた
こっちの彼はもう話さなくなった
何がやりたかったんだっけ?
はは、
もう、疲れたな
光の絶たれた薄暗い小部屋カビだらけの天井に手を伸ばす
一瞬、カーテンで閉ざされた窓の奥からあの時の赤が見えた気がした
「ぁ、、、、、、え、?」
気が付くと僕は燃え盛る自宅の前に座り込んでいた
「大丈夫、大丈夫だからな」
私の眼が誰かの大きな手よって後から隠される
この声、この温もり、この手
__ま君?し__君、?何で?
「もう大丈夫、大丈夫だから」
こわい、恐いよ
君は、死んだ筈なのに
しぐま君。君は
何なの、?