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ある六畳半の部屋片隅、そばかす顔が外を見つめていた。周りを
ふと思い立ったとばかりに、身支度を済ませ町に出かけて行った。
向かった先にはこじんまりとした甘味処があり、そこの店先の椅子に腰掛け店の主人と思われる男と談笑しみたらし団子を注文した、この甘味処は知る人ぞ知る隠れた人気店であった。
春になると三色団子や桜餅、夏には水羊羹に氷菓、秋には芋羊羹と栗羊羹、冬はぜんざいやお汁粉など季節によって甘味が変わることで有名だ。
しかし、このそばかす顔基詩軸矢太郎はもっぱら、みたらし団子しか頼まないのである。
そんな矢太郎はみたらし団子をたべながら漠然と空を見つめていた。
そこに、一段と大きい朱色の金魚が目の前を通り過ぎた。
矢太郎は何かに取り憑かれたかの如くみたらし団子を包んでもらい、足早に甘味処を後にした。
金魚を追いかけて行くと、町外れのボロ屋に着いた。人の気配が無いため廃墟と思われる、壁は剥がれかけ床は抜けそうだ。
そんな場所に似つかわしくない洋風な箪笥があった。そこに近づくと腐った肉の様な臭いと薔薇の様な強い香りが混ざった匂いがした、それに加え金魚が周りを周回していた。
矢太郎は嫌な予感がしたが、意を決して箪笥を開けた。グシャッと鈍い音がした。予想通り、そこには性別がわからない程酷く腐った人らしき者があった。
幸い、箪笥を開けた瞬間に後ろに身を引いたため袴に付くことはなかった。
この件は事件として警察が扱った、矢太郎も色々な事情聴取をされたが上手くかわして難を逃れた。
矢太郎はこの件を記事にまとめた所予想以上に好評だった、やはり世の中は酷いことが良くも悪くも話題性があるらしい。