桜愛され / 切なめの話
🌸が少し 可哀想です。
ただの自分の毒吐きに🌸くんを付き合わせてるだけです…
過去捏造 / 解像度低め / 口調迷子
⚠最新巻あたりの内容にほのかに触れてる⚠
時間軸的には、国崩大火後ぐらい。
ネタバレ少しも許せないよって人には向かないかな
本当になんでも許せる人向け 🙆🏻♀️
オチは無いし、ぐちゃぐちゃ
🌸「」
その他『』
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『お前に生きてる価値は無い』
『あんたなんて産まなければよかった』
『あんなやつとは関わらない方がいい』
『醜い容姿、気持ち悪い』
人間の形をした黒い”何か”に言われ続ける夢。 昔からよく言われてきたことを反復して言われ続ける夢。
小さい頃からよく見ていた夢だ。 昔は真に受けてよく泣いていた。だが夢とわかった今、傷つくことは無い。 泣くこともない。
慣れとは本当に恐ろしいものだ。
今日も耐えればいつかは元の世界に戻る。 だから怖がることもなければ、恐れることもない。
だが、今日はひと味違う気がした。 今までこれらの声は無機質なもので、誰にも似つかない声だった。
なのに今日は誰かに似ている。 誰だか分からないけど、確実に誰かに似ている。
いや、知っている。 この声の主たちを。
気づきたくない。 気づいたらきっと、もうそいつらの声で再生され続ける。
それは嫌だ、だってそいつらは、初めて俺の居場所をくれた人たちだから。
嫌われたくない。 見放されたくない。 ずっとそばにいたい。
あいつらにそんなこと言われたくない。 あいつらをそんなこと言う奴らにしたくない。
やめろ、やめてくれ。 あいつらはそんな奴らじゃない。
『君のせいで全部台無しだよ、桜くん』
『信じていたのに…』
『あれは無いでしょ ~ 桜ちゃん … 』
『ワシもあれは流石に許容できんわ … 』
『お前なんか仲間じゃねぇ』
『ダサいのはどっちなんだろうねぇ … 桜 ぁ ??』
人間の形をしただけの黒い”何か”はどんどんあいつらに変わっていく。
やめてくれ、あいつらはそんなやつじゃない。 そんな事言わない。 そんな目で俺を見ない。
『あーあ、アイツらが可哀想だな』
『オレから見たら、お前はただの疫病神だ』
『お前のせいで、そこにいる人も場所そのものも不幸にするんだ』
足元から蛇が這い上がってくる感覚。
この感覚、身に覚えがある。
棪堂とやりあった時も、こんな風に蛇が這い上がってきて、俺を落とそうと、のみ込もうとしてきた。
「 」
言葉を飲み込んだ。 この言葉を吐けばアイツらも一緒に堕ちてしまう。 堕ちるのは俺一人で充分だ。
こんなことにアイツらを巻き込んだらダメだ。
ーーー
「っ!! はっ、 … はっ 、 はっ 、 」
勢いよく布団から飛び起きる。
あたりはまだ薄暗くて、カーテンのない窓からは鬱陶しいぐらいに月がキラキラと光っている。
「はっ、、 夢 、か … 」
頭ではそうわかっている。 だけど、身体の震えが止まらない。
最近、特に棪堂とやり合った後から嫌な夢をよく見る。
きっと棪堂に言われたことをいつまでも引きずってしまっているのが原因だろう。
アイツらを信じると決めた。 なのにまだ迷っている。
「 今の俺が1番、心底だせぇ … 」
棪堂の言葉は桜が思う以上に深く、根深く、心に居座り続けているようだ。
身を清めたい。心を清めたい。気持ち悪い。 あいつに縛られている自分が気持ち悪い。汚い。
そういえば清めるのには塩がいいんだったか。
そういえば悪夢?のせいで変に汗が出て、ベタベタして気持ち悪い。
って言うことは塩水がいいのか。 塩水を浴びる…
「あ、いいとこあるわ」
ーーー
「海 … 久々に来たな … 」
そう、塩水で安易に浴びることが出来る。で連想ゲームをしてたどり着いた先は海であった。
今の時間的にも、海は真っ暗でまるで全てを飲み込もうとしているかのごとく、波打っている。
だが、それは暗いばかりではなく、月の光を反射させ、キラキラと輝いていた。
それはまるで桜に1番近いようで、1番遠いように感じられた。
砂浜から波打つ海に少しずつ近づいていく。
少しずつ、少しずつ、次第に緩やかな波が足に当たるようになる。
それは次第に荒々しくなっていき、恐怖を覚えるようになった。
でも不思議な感覚。 怖いのに、震えるのに、とても優しい気がして足が止まらない。
腰辺りまで水位が来たところで足を止める。 理由としてはこれ以上はヤバい気がしたからだ。
先に言っておくが、別に桜は死にたい訳では無い。
あくまで身を清めるためにここに来たに過ぎないのだ。
膝を折り、全身が浸かるようにする。
何となく全身に染み渡る感じがする。
塩水が目に入りば当然痛い。 だけど、今なら大丈夫な気がする。
そう意を決して、目を開けてみる。
実際、普通に痛かった。 でも不思議とそれも気にならないくらいに目の前のことに夢中になった。
海は表面上で見るより、もっと綺麗だった。
月の光が中まで差し込んでいて、海の中にあるものを、ありとあらゆるものを照らしている。
それはとても幻想的で、同時にとても現実的だった。
実際綺麗なのだが、その分汚い部分が目に余る。
人々の手によって捨てられたごみの数。 人に手を加えられなければ、もっと綺麗だったんだろうな。
海は綺麗で壮大だから、こんなことをしても許してくれると思っているのだろうか。
そう思えるほどに、酷く量が多い。
そんな人々の甘えがなければ、きっと綺麗なままだったんだな。 桜はただただそう思うのみ。
途端に桜の心に仲間意識が芽生えた気がした。
桜自身も、こんな容姿だから、周りと違うから。 いじめてもいい。 何しても許される。
そんな人々の甘えによって汚されてきた。
そんな人々の甘えさえなければ、桜は今頃きっと素直で優しい心を持った、みんなを愛し、みんなに愛される人になっていたのだろう。
だが、今となってはそれもタラレバだ。
今更何を言っても、何を悔やんでも、何を恨んでも変わりはしないのだ。
ここは本当に心地が良い。 ずっと居たい。
そう思っても、やはり所詮は人間のため息をしに水面上に出ないといけない。
名残惜しさを感じながらも、膝を伸ばし、水面上に出る。
場所自体は変わっていないのに、潜る前とは景色の見え方が変わった気がした。
さっきよりもずっと世界が綺麗なように見えた。
これできっと、桜に取り付く穢れは取れたのだろう。
安心とともに、自分も他の人間と同じように甘え、海を汚してしまった罪悪感に苛まれる。
「 悪い … だが、 もう少し … いや、 たまには甘えさせてくれ … 」
無意識に出た言葉。 だが、それに同意してくれるように優しく揺れる波。
自分勝手な解釈とはわかっている。 だが、それに構っているほど余裕は無い。
悪いが、 良いように受け止めさせてもらう。
こうして桜は度々海に訪れては、気がするまで潜るということをするようになった。
ーーーーーー
『桜さん、最近寝れてないんですか?』
唐突に言われた楡井の一言に桜の心はドキッとする。
「 そ、んな事ねぇよ … 」
『桜くん … 嘘つくならもっと上手くやりなよ 』
「う、るせぇ!! つーか嘘じゃねぇ!!」
『流石にバレバレだよ桜ちゃん … 』
『桜くんはほんま嘘がヘッタクソやなぁ ! 』
確かに最近あまり寝ていない。 心配そうな目を見て、少し良心が痛む。
だが、 海に行って潜っていたらいつの間にか朝になってるなんて口が裂けても言えない。
『そうだ! 今日は皆さんで桜さんの家でお泊まり会しませんか?』
「、 は? 」
『お、ナイスアイデア 〜 オレさんせー ♩』
『オレも』
『ワシもや! 』
「ちょっ、待て!! なんで急に!! 」
『 俺たちだって心配なんですよ! それに一緒に寝たらもしかしたら寝れるようになるかもしれませんし! 』
『そうだよ 〜 大事な大事な級長の睡眠の危機なんだから 』
『俺たちは本当に心配して、何とかしたいって思ってる。 お願いだよ桜くん』
「う、 ぐっ 、、!! 勝手にしろ!! 」
計画通りと言わんばかりに、みなで顔を見合せ笑う。
桜はおねだりに弱い。 ましてやそれが良心からくるものなら余計に。
だが、このチョロさはたまに心配になる。
自分たち以外には断る術を知っておいて欲しいものだ。
『じゃあ、みんな一旦帰って身支度をしてから桜くんの家に集合しようか』
蘇枋の言う身支度はパジャマ等の着替えの持参ももちろんだが、風呂や飯、歯磨きなどを済ませてくることも含まれている。
これは桜に対する配慮であり、少ない仕送りでやりくりしている桜の負担を減らすための策である。
そうして、みな一旦解散となった。
普段はここで少し寂しさを覚える桜だが、この後も会えることがわかっているため、寂しさではなく、ふわふわした気持ちが心を占めている。
ーーー
『それじゃあ、みんなそろそろ寝ようか』
話が一区切りしたあたりで蘇枋が口を開いた。
時計の針はもう12時を回っており、確かに寝るにはちょうどいい時間だ。
話に夢中になって蘇枋以外は時間の概念を忘れていた。 きっと蘇枋がここで口を開かなければ、今もきっと話をし続けていただろう。
『およ? もうそんな時間? 時間が経つのは早いね 』
『ですね! オレもこんなに時間が経っているとは思いませんでした!』
『通りで眠いわけや… ワシは一足先に … 夢の中 … 』
しばらくして柘浦のバカでかいいびきが部屋に響き渡るようになった。
『あらら、ツゲちゃん寝落ちちゃった』
『さっきから眠そうでしたもんね』
「にしてもこいついびきバカでかくねぇ … ?」
『柘浦くんらしくていいじゃないか』
みながクツクツと笑う。 その様子に桜も思わず頬が緩む。
「じ、じゃあ電気消すぞ」
頬が緩む感覚が自分でもわかったのか、 みなの返事を待たず電気を消す。
『それじゃあみんなおやすみ』
『おやすみ〜』
『おやすみなさい!』
「ぉやすみ … 」
今日はいい夢を見れるといいな。
そう思ったはいいものの、そもそも寝ることが出来ない。
そりゃあそうだ、ここ最近は海に行くのが日課になっていたため、部屋でじっとしていることがなんとも歯がゆい。
だが、今はひとりではなくみんながいる。
バレてしまえばきっと気味悪がられるだろう。
無理やりでもいいから寝なければ。 そう思い瞼をぎゅっとしめた。
どれほど時間が経っただろうか。 やはり寝ることは出来ず、ずっと暗い空間をさまよっていた。
みんな、さすがに寝ただろうか。 柘浦を除く3人はいびきをかかないようだから、見極めが難しい。
だが、穏やかな寝息は聞こえるからきっと寝たのだろう。
そっと身体を起こし、静かに玄関に向かう。
玄関で靴を取り、そっと窓へ向かう。
桜の家はかなり古く、立て付けも悪い。
そのため玄関の戸を開けようものなら大きな音が鳴る。
音がなればきっと蘇枋辺りが起きてくるだろう。
そうなれば一貫の終わりだ。 だから開けるのに音があまりならない窓から飛び降りることにした。
窓なら途中で起きても、少し外の空気を吸いたくなったなどと言って言い訳することが可能だから。
なるべく静かに開けたおかげか、誰かが起きる気配は無い。
そのまま窓に腰かけて靴を履き飛び降りる。
猫のようにスタッと着地してそのまま走り出す。
今日はどんな綺麗な景色を見せてくれるのだろうか。 楽しみで仕方がない。
浮かれていた桜は部屋の中で動く3つの影に気づくことは無かった。
『行ったみたいだね』
『まさか窓から飛び降りるとは思いませんでした … 』
『まぁ桜ちゃんだから有り得ない話ではないよね 〜 』
そう、この3人は何となく勘づいていてわざと寝たフリをして桜の油断を誘ったのである。
正確には蘇枋と桐生は勘づいていて、楡井はそれを聞いて心配になっていただけであるが。
『にしても、ツゲちゃんぐっすりだね 〜』
『このこと忘れてるのかな ?』
『まぁまぁ、柘浦くんだから仕方ないじゃないか』
『うわっ、すおちゃん辛辣 〜』
『そんなことより! 早く桜さんを追いかけましょうよ!』
『そんなことって … にれちゃんも辛辣になったよね 〜 』
そんなことを駄弁りながらも、しっかり桜の背を追う。 決してバレないように、決して見失わないように。
ーーー
『ここは … 海 … ?』
桜が止まった場所。 そこは海だった。
桜は崖の上に登り、最先端に立つ。
『何 … してるんですかね …』
『さぁ ? 海眺めてるだけっぽいよ?』
『こんな時間にですか … 』
『人の好みはそれぞれだからね 〜 』
特に変なことはしていないようで安心した3人の度肝を抜くような行動を桜はした。
そう、桜はそこから飛び降りたのだ。
それを理解した時には、とても軽いぽちゃっという音が鳴っていた。
『『『桜 / くん / さん / ちゃん !!』』』
息を潜めていたことを忘れたのか、それなりの声で桜の名を叫び、崖へと駆け寄る。
下をのぞき込むと、そこには特徴的な桜の髪が見えた。
あまり深くないようだ。 だが、桜は上がってくる気配がない。
自殺しようとしたのか、いや、それは無い。自殺する際は誰でも一瞬は戸惑うはずだ。 さくら自信にも恐怖心はそれなりにある。
なのに、桜はなんの躊躇もなく飛び込んで行ったのだ。 まるで慣れているように。
不意に桜の顔が水面越しに見えた。
顔は穏やかそのもので、しっかり見開かれた瞳はまるで小さな子供のようにキラキラと、そして生き生きとしていた。
その姿は、まるでそれは1つの絵画のようにとても美しく、儚さを含んでいて、とても幻想的だった。
その光景に誰も口を開くことは出来なかった。
ただ、美しくて、儚くて、とても幻想的なこの光景を、目に焼きつけることしか出来なかった。
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以上です。
オチなし、具体的な結末なし、面白みなしのダメな3点セット。
でも、私はこういう物語を書くのが1番好きです。
久々に私の毒が吐けて楽しかったです。
ここまで見て下さりありがとうございました。
(2024/09/18 00:06:52)
6146文字
コメント
22件
いいなぁ…( ֊ ̫ ֊)儚くて複雑な物語。見てると自分がその世界に吸い込まれそう。あとみみっきゅセンスありすぎて怖いな笑
儚すぎて目から塩水がぁこれは続きってありますか?