⚠️5部最終話までのネタバレ、恥パ捏造、死ネタ、ブチャジョル
誰かが新しくパレット上に絵の具を置いたのかと思う程に淡く、綺麗な海色の空
それに決して白いとは言い難い雲が1つ、2つとぷかぷかと空を泳ぐかのように浮かんでいた
周りには青々しい木々が囲むように生えいていてそこに差し込むように眩しい光が僕らの影を落とした
その姿はまるで、神様とやらから
**『君達は影側の人間』**だと示されたような
コツン、カタン、石畳みの歩道を三人分の足音がたった
ひとつは淡いピンク色が映える可憐な少女の音
もうひとつは4が嫌いだと言う拳銃使いの音
そして最後に、僕と手に持っているポルナレフさんだ
先程旧パッショーネのボス、ディアボロを倒しみな心身共に疲労していた
だがボロボロになったコロッセオにブチャラティが居る
それだけの理由が僕達を突き動かした
『ブチャラティ大丈夫かしら…心配だわ』
そう心配そうに少女、トリッシュは呟いた
僕が何も言えずに黙っていると
『ブチャラティなら大丈夫だって!なんてたって俺らのリーダーだからな!」
『だから早くいってやらねぇと死んじまうぞ!…なんてな笑』
ミスタがトリッシュを慰めるようにはっきり大丈夫と伝えた、が僕にはミスタも内心心配しているように感じた
コロッセオまで少し遠い
「ブチャラティは大丈夫だろうか」
ボスとの戦いの最中もブチャラティの身を案じていたように感じる、
奥歯がカチカチと鳴り始める
ふと指先を見ると細かく震えていた
その震えを抑えるように手をがっしりと掴み
3人に悟られないよう平然とした態度で歩く演技をする
コツン、コツン
内心焦りでいっぱいだった
コロッセオに近づくにつれ吐き気や体がガタガタと大きく震え、嫌悪感を覚えるようになった
それは2人も同じようで、特にトリッシュは酷かった、汗をダラダラかきながらが顔面蒼白になっていた
『ね、ねぇブチャラティはほんとに大丈夫よね…?』
同じような質問を繰り返すトリッシュはまるで機械人形のようだ
ミスタも余裕がないようで今度は黙ってコロッセオへ足を運んでいた、
…しばらく沈黙が続くとトリッシュが立ち止まり、地面へ倒れるように座り込んでしまった
限界だったのだろう
『トリッシュ、大丈夫か?立てるか?』
ミスタが側に駆け寄りトリッシュに立つように促す
『ねぇ、お願いよ…ブ、ブチャラティはへいきよね…?』
『わたし、おかしくなりそうなのよ…!お願い答えて』
ミスタの捲し立てるようにガシッと服を掴み質問の答えを求めていた
ミスタはトリッシュの勢いに一瞬ビクッとしたようだったが答えは沈黙だった
するとトリッシュが耐えきれなくなったようで今度は僕に縋ってきた
『そ、そうよ…ジョルノ!お願い答えて…』
泣きながら地面に項垂れている彼女を
僕は「物乞い」のように無様だと思ってしまった、…吐き気の際にしたい
実際僕もこのように無様だ
ブチャラティが生きているのかどうかも分からずただただコロッセオに向かう生きた亡霊だ
頭の中で一喝すると握り拳を強く握り締め
トリッシュに近づく
『ブチャラティはきっと生きてますよ、トリッシュ』
そう言い聞かせるように言いはなった
顔は強張ってなかっただろうか、わからない
だがトリッシュには効いたようで
『そうよね、まだ見てもいないのにへこたれててもしょうがないわ』
千鳥足で地面に立つとまやかしで言った希望に縋りついていた
…少し日が暮れてきていた
やはり最近は日が暮れるのが早い
あと50メートル程の距離まで縮んだコロッセオを見上げながら
軽く痙攣した脚を一歩、ニ歩、前へ進める
…!?男が石畳みへ横たわっている
あれはブチャラティだろうか、そもそも生きているのだろうか
さまざまな疑問が頭を入り混じり、だらだらと汗が頬を伝う
本当は今すぐにでも3人を放って倒れている男の方へ走り抜けたい、が
ぼくはギャングスターになる夢を持っている、いや持っているはずなんだ
こんな事で冷静を崩しては死んでいったものたちへの冒涜だ…
2人に聴こえぬよう、だが苛立ちを込めるように舌打ちを口から溢した
「お、おい−−ブチャラティ……?」
ミスタが震える声で呼びかけるが、石畳の上に横たわっている男は全くの無反応だった。
瞼が開いたままで、その眼差しはもはや何も見ていない
「ううぅ…ブチャラティ…う、あ…」
トリッシュはその男の服を強く握り締め、嗚咽を漏らして泣いていた、彼女の頬を伝う涙は硝子玉のように光り輝いて見える、
男、ブチャラティはどう見ても命を果たしているようであった
酷い沈黙が耳を突き刺すように誰も口を開かなかった
いや、開けなかったの間違いか
「ブチャラティ…いい加減よぉ、ふざけるのもやめてくんねぇかなぁ…?」
ミスタがブチャラティだった物を揺さぶるが当然、反応はない
…っ
唇に一瞬痛みが走る、どうやら切ってしまったようだ、つぅと唇から真っ赤な血が滴れると怪我をしても血が出なかったブチャラティの事が脳裏に浮かぶ
…わかっていたんだ、既にブチャラティが死んでいる事など
悔しい、悔しいな
胸を槍で何度も突き刺されるように感じる、ヅキヅキして過呼吸になりそうだ
「やめろ…やめるんだミスタ、ブチャラティ、彼はもう死んでいる」
手元にある亀、ポルナレフさんがミスタを優しく諭すように止める
「…っ…クソッ!」
ミスタが死体から手を優しく落とし石畳みを殴りはじめる。本気で殴っているようで拳には血液が滲んでいた
見ていて痛々しい
「…ミ」
ミスタを止めようと思ったが、口が思うように動かなかった
ぼくもミスタのように物に当たり散らしたいと思ってしまったからだ
現実から逃げて楽になりたい、辛いこの現状から
「3人共、少し、ブチャラティと共に居たいんです、お願いします」
3人は僕の心情を読み取ったのかどうかは知らないが
名残惜しそうにコロッセオの入り口へ歩いていった
改めてブチャラティの死体に手を触れる
体温は氷のように冷たく、確実に死んでいる様だった。
自然と目頭が熱を帯びる
見つめてみたら彼は見つめ返してくれるだろうかなんて淡い期待を抱いたが
答えはオレンジ色に染まった空を見上げているだけであった
「好き…」
口からそう溢れでた
好き…?なんでだろうか
「好き、好きだブチャラティ」
自然と口がぱくぱく開き、好きという
言葉を発す。
何故僕が…?こんな悲しい言葉を?
その言葉に比例して涙がぼたぼた溢れ出る
嗚呼
そうか、そうだったのか
こんなに辛い事なら分かりたくなど無かった
僕がブチャラティを好きだなんて
「ぼくは、なんで…クソッ!」
彼の胸元を掴み上げ拳を彼へ突きつけようとしたが寸前で止まってしまう
「あんたはッ!酷いやつだブチャラティ!
いなくなってから悟らせるなんて…ッ!」
「…っあ…ふぅく、ぅぅぅああ!」
悔しさと不甲斐なさがぼくを今更襲う
「いやだ、やだブチャラティ…っ
死なないでくれ、生き返って、よぉ…」
溜めてきていた感情が一気に露出する
まるで駄々をこねる子供のようだ
好き、愛してるなんて言葉などあやふやで嘘臭い物だと思っていたのに
実際は僕が捨て駒のように何度も吐き出している、 なんて残酷な皮肉なのだろうか
そう思うと少し冷静になった僕はブチャラティを抱き抱え、 髪を撫で、開いたままの瞼を閉じた
「あんたは僕の最初で最後の人です」
君に言い聞かせるようにして口づけを落とした。
「ブチャラティ…実は僕ファーストキスだったんですよ。」
「困らせてごめんなさい、さようなら」
金髪の映える少年はクスッと笑みを浮かべると、手から黄色い水仙を作り出し横たわっている男の胸元にそっと優しく供えた
Ti amo(ティ・アーモ)
「愛してます、ブチャラティ」
end
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