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君との物語り

3 - 蓮とゆずかの過去

2025年09月23日

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場所:小学校の校庭

時間:小学校2年生の放課後

は一人、校庭の隅で本を読んでいた。クラスメートは皆、ドッジボールや鬼ごっこに夢中だ。蓮は彼らに関わろうとしなかった。)

ゆずか

(楽しそうに笑いながら、蓮の前に立つ)

ねぇ、バスケやろうよ!

(本から顔を上げ、不機嫌そうな顔で)

…やらない。

ゆずか

なんで?バスケ、楽しいよ!

(顔を背ける)

…うるさい。

ゆずか

(少しも怯まず、バスケットボールを蓮の目の前で弾ませる)

ねぇ、見てて!

(ゆずかはドリブルを始め、くるくると楽しそうに蓮の周りを回る。蓮は無視しようとするが、その動きから目が離せない。しばらくすると、ゆずかは疲れたようにボールを止める。)

ゆずか

もういいや、一人でやっても面白くないし。

(ゆずかはそう言って、ボールを蓮の腕の中に押し付ける。蓮は驚いて、そのままボールを抱えた。)

ゆずか

じゃあね!明日また来るからね!

(その日の夜、蓮は家で一人、ゆずかから渡されたバスケットボールを眺めていた。あの時、彼女はなぜあんなに楽しそうだったんだろう、と考える。)

(翌日から、ゆずかは毎日蓮のもとへやってきて、バスケに誘った。蓮は初めは無視していたが、次第に断れなくなり、一緒にバスケをするようになった。ゆずかといると、心が落ち着く。ゆずかの笑顔を見ていると、自然と蓮の口角も上がっていた。)

(心の中の声)

ゆずちゃんがいると、不思議と他のやつとも話せるようになった。ゆずちゃんが、僕の世界を広げてくれたんだ。

SCENE 2

場所:小学校の校庭

時間:小学校2年生の放課後

(ゆずかと蓮はいつものようにバスケをしていた。)

ゆずか

今日は、もっと遠くの公園まで行ってバスケしようよ!

(ゆずかと一緒にいられることが嬉しそうに)

うん。

(その時、クラスの女子が蓮に声をかける。)

女子

一ノ瀬くん、ちょっといいかな?

(ゆずかに)

ゆずちゃん、ちょっと待ってて。すぐ戻るから。

ゆずか

わかった!

(蓮が女子と話している間、ゆずかは校庭の隅でバスケットボールを弾ませて待っていた。女子は蓮に告白したが、蓮はきっぱりと断った。蓮はゆずかのことが好きだったからだ。)

ごめん。好きな子がいるんだ。

女子

(顔を真っ赤にして)

…そっか。

(女子は黙って走り去る。蓮は急いでゆずかの元へ向かう。しかし、待ち合わせ場所に着いた時、目に飛び込んできたのは信じられない光景だった。)

女子

(走り去ったはずの女子が、ゆずかの前に立っていた。そして、ゆずかを強く突き飛ばす。)

(全身から血の気が引く。心臓が止まったかのように動けない。突き飛ばされたゆずかが、コンクリートの地面に頭を強く打ち付けた。鈍い音が、蓮の耳に焼き付いた。ゆずかはそのまま動かなくなった。)

ゆずちゃん!

(蓮は叫び、我に返って駆け寄る。ゆずかの頭から、真っ赤な血がにじみ、地面に染みを作っていく。蓮は自分の白いワイシャツを脱ぎ、ゆずかの頭に押し当てた。)

ゆずちゃん、しっかりして!

(先生たちが異変に気づき、すぐに救急車が呼ばれる。蓮は、ゆずかの血で赤く染まったワイシャツを握りしめ、救急隊員が到着するのを待った。救急隊員がゆずかを担架に乗せ、救急車の中へ運び込む。蓮は、その救急車に一緒に乗り込もうとしたが、先生に止められる。だが、蓮は引き下がらず、必死に訴えた。)

お願いします!僕も一緒に行かせてください!

(蓮のただならぬ様子に、先生は渋々頷いた。蓮は、救急車に乗り込むと、意識のないゆずかの手を、ただただ強く握りしめた。その手が、冷たくて、蓮は涙が止まらなかった。)

SCENE 3

場所:病院の待合室

時間:小学校2年生の夕方

めいあは家で絵本を読んでいた。電話が鳴り、母親が電話に出る。母親の顔から、みるみる血の気が引いていく。)

めいあ

(母親に)

どうしたの?

母親

ゆずかちゃんが、救急車で運ばれたって…。

めいあ

(衝撃を受けて)

え…?

(めいあは、頭が真っ白になった。ゆずかが怪我をしたこと、救急車、その言葉が頭の中でぐるぐる回る。急いで病院へ向かう車の中で、めいあはただただ、ゆずかの無事を祈っていた。)

SCENE 4

場所:病院の待合室〜病室

時間:小学校2年生の夕方

(病院に着くと、待合室にゆずかの両親とはながいた。はなは顔を真っ赤にして泣いている。ゆずかの母親は、はなの背中を優しくさすりながら、必死に自分を落ち着かせようとしていた。)

ゆずかの母親

大丈夫、大丈夫よ、きっと…。

めいあ

(ゆずかの父親を見つける。父親は無理に笑顔を作り、めいあに近づいてきた。)

久しぶりだね、めいあちゃん。

(その時、見慣れない男の子が立っていた。泣きそうな顔で、ゆずかの両親に深々と頭を下げている。)

ごめんなさい…!俺が、俺がゆずちゃんを巻き込んでしまったばかりに…。

ゆずかの母親

蓮くん、大丈夫よ。顔を上げて。

(めいあは、その男の子が「蓮」という名前であることを知った。彼は、ゆずかの両親に優しくされても、ひどく自分を責めているように見えた。)

(数時間後、ゆずかの運ばれた病室から、一人の医者が出てきた。両親はその医者に)

ゆずかの両親

ゆずかは!

医者

命に別状はありません。

(その場にいたみんな、安心した。両親は医者に頭を下げ、安堵の表情を見せる。蓮は、その言葉に、その場で膝から崩れ落ちた。)

(病室に入ると、ゆずかが、頭に包帯を巻いて、ベッドに横たわっていた。)

はな

ゆずか!

(はなはゆずかに抱きつき、ゆずかの両親はゆずかの無事な姿を見て涙を流していた。蓮はゆずかに歩みよる。)

ゆずちゃん、良かった…!

(しかし、蓮を見たゆずかは戸惑う。)

ゆずか

…だ、れ?

(その場にいた全員は呆然とした。はなは驚きを隠せず、ゆずかに言う。)

はな

嘘でしょ!蓮くんだよ蓮くん!ゆずか、よく一緒に遊んでたじゃん!

(だけどゆずかは首を傾げる。蓮はすごく悲しそうな顔をしていた。その後、蓮は普通に振る舞っていたが、無理をしているように見えた。その日以降、めいあはその蓮という男の子を見かけることはなかった。だが、高校の入学式で蓮と再開することとなった。)

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