「おい、タカクラ。」
なにがトリガーだったのだろうか。
いままで何回か体を重ねてきて、邪視が出てきたことは一度もなかった。
それぐらい気をつけていたのに。
「萎、えるぜ、」
ぎち、と押さえつけられた手首を剥がそうと変身するもすでにくたくたになるまで愛されたあとでは邪視に適うはずもなく。
お互い裸な上、まだ下半身は繋がったままの状態。
早くジジに戻ってもらいたいが、生憎両手首を拘束されているせいで用意してあったお湯にまで手が届かない。
「っあ、!」
顔を覗き込むように動く邪視のせいで未だに硬度を持ったそれがナカを抉り、体が硬直して自然と上擦った声が漏れる。
甘い痺れと快楽に身を任せそうになる意識を何とか繋ぎとめて、変身が解けないように深呼吸を
繰り返す。
「聞いているのか。」
動きずらそうにさらに身体を密着させてくるせいで、知らずだろうが弱い所を掠めてはぐりぐりと押し付けられて再び足先から這い上がる快楽に押し流されそうになる。
シーツも掴めないし、両足はジジの肩に持ち上げられているせいで快楽の逃がし場所がないのが切なくて、必死に横顔を枕に押し付け枕のシーツを噛み締める。
「じゃ、じゃし、うごくな、」
息も絶え絶え、上を向きそうになる眼球を何とか邪視に合わせる。
「ほお、」
ぞくり、と背筋を這うような低音とさらに力強く骨を砕かれるのではないか思うほどの力で手首を握りしめられ、どくどくと心臓が嫌な音を立てる。
「じゃ、じゃし、」
「貴様のその顔、なかなかいいな。」
突然手首を離され、チャンスとばかりに手を伸ばすもがつんと突き上げられた衝撃に手は空をかき、シーツへと逆戻りしてしまう。
「あ”、ぃう”っっ♡」
かひゅ、と喉から空気が漏れ、ぱちぱちと脳みそが弾けるような快感が全身を走る。
背が弓のようにしなり、シーツが破れているのも気にならないくらいに強く握りしめた。
いまだにやにやと笑う邪視に痛いほどに腰を掴まれ、手を伸ばした際にズレた身体がずるずると真下まで引きづられていく。
「戦おう、タカクラ。本気でだ。」
「は、」
何を勘違いしているのか、ジジと戦っていたと思い込んだ邪視が、本気で戦う時のあのギラギラとした目で見下ろしている。
先程と同じようにぎりぎりまで引き抜かれたモノが無遠慮に中を割開いては、最奥をノックすれば最初とは比べ物にないくらいの快感が全身を支配する。
「お”♡ぉ”、く、やぁ!やめ、ぇ!♡」
これは戦いじゃない、と伝えたいが自分の口から漏れるのは熱に浮かされた甘い嬌声だけ。
さらに身体を苦しいほど折りたたまれて、うまく酸素が取り込めなくなっていく。
気持ちいいのと苦しいのが混ざりあって、訳が分からなくなくなり、湧き上がる恐怖に思わずシーツを掴んでいた手を邪視の背に回す。
「なんだ!命乞いか!よい!よいぞ!タカクラ!それぐらいは許してやろう!だからもっと戦おう!」
「ち”、あぅ、じゃ♡じゃし♡まっへ、♡」
力加減も出来ず、爪を立ててしまい変身時特有のとんがった爪が深い傷を幾重にもその背中へと刻んでいく。
すでに何回か絶頂を迎えた後のせいで、上り詰めるのにそう時間はかからない。
下腹部に溜まっていく重く甘い絶頂感にもうとにかく解放してくれと邪視へと懇願する。
「わ”、かった、♡わぁ、たから、も”、イき”、ぅた、ぃ”♡」
自分でも何が分かったのか理解出来ないが、ただ分かった、分かったからと何度も繰り返す。
邪視自身の表情は変わらないが、先程よりも怒張し震えるナカのモノがいまにもイきそうなことはよく分かる。
ぎゅう♡、とお尻に力を込めれば、不意打ちだったのかぐぅ、なんて今まで聞いたこともない邪視の声と同時に奥へと熱いものが注がれていく。
「ィ”、ぃ”く、ぅ♡お、お”く、あつい、♡あつい、ぃ”♡」
濃くなる血の匂いと重い絶頂感に訳も分からず喘ぐ。
その中でも邪視をなんとかしないと、とどこか冷静な頭の片隅で考えて絶頂の余韻に動けないでいる邪視を横目に、最後の力を振り絞り水筒へと手を伸ばす。
あっさりと水筒は手の内に収まり、震える手で蓋を開け投げやりにお湯を目の前にぶちまける。
「あ、あれ…?」
ぱちくりと何度も瞬きをして、不思議そうに首を傾げる姿にジジが戻ってきたのだと一気に力が抜ける。
水筒は手からすり抜けて布団へと落ちてしまったがそんなもの気にしていられないほどの疲労感に、行儀は悪いがぺちぺちと足でジジの背中を叩く。
「じじ、もどった……?」
一応の確認のため声をかければ、変身している姿と邪視のときの記憶をなんとなく感じ取ったのか面白いほどにその顔色が青ざめていく。
「あ、お、オカルン、俺、だ、大丈夫?じゃないよね、」
「だいじょーぶ…なんとか…」
変身を解いてベッドへと沈めば、眠気が襲ってくる。
全力を使っていないとはいえ、身体をめちゃくちゃにされた後なのださすがに限界が近い。
お水持ってくる!なんて全裸のまま飛び出したジジに声をかける元気もなく、強烈な眠気に抗うことなく目を閉じた。
目を覚ました時、最初に目に入ったのは床に土下座しているジジだった。
「え、ちょっとジジ?!顔上げてくださ、い”っ!」
「オカルン!」
布団を捲って起き上がろうとするも、腰に経験したことないくらいの痛みを感じ突っ伏してしまう。
そんな姿に泣きそうなほど眉を八の字にしているジジが何度も何度も謝りながら、水を差し出してくれる。
緩慢な動きでなんとか上半身を少しだけ起こせば、そこで初めて着替えていることに気づく。
「本当にごめん、オカルン。俺もあんだけ気をつけてたら大丈夫だってタカをくくってて…」
「いや、自分もそこは油断してたから…」
カラカラに乾いていた喉に冷たい水が気持ちよくて一気に飲み干せば、眠気も吹っ飛んでいく。
まあ、眠気も吹っ飛べばより痛みが強調されるわけで。
空のコップを渡そうと少し身体を捻っただけで声にならないほどの痛みが腰に走り、先程と同じようにゆっくりと布団の中へ横たわる。
「今日は身の回りの事全部俺がサポートするから!なんでも言って!」
どん!と効果音が着きそうなほど胸を張るジジに思わず吹き出してしまう。
そんなジジにもう一杯水を頼めば急いで部屋を出ていく。
動けないのなら仕方ない、ととりあえず今日は目いっぱい甘えさせてもらおうと、ジジの匂いのする布団を抱きしめた。
コメント
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神だぁ😭美味しかったです(?) ありがとうございます。