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キズさんと白銀さんが部屋を出て時が経つ。相変わらず食欲はわかない。
私…キズさんに余計なこと言ったかな…。
今になって罪悪感が私を襲う。
いくら何でも言いすぎたかもしれない。分かったような言い方をされたら、誰でも腹が立つと思う……。
「花月チャン…?」
「誰!?」
突然聞こえた私を呼ぶ声。一体どこから…
「イヤ…リング…。」
イヤリング…?
指を耳元へとやると、僅かだがノイズの音を感じる。ここから聞こえているの…?
「アタシよ…花月チャン。」
「泰揮クン!?」
「やっと…通じたわ。あんま…電波が…ないみたい…アタシの…聞いて。」
「はい…。」
「いま…花月チャン…ところは…なの。アタシたちの…では…行けない。貴女が…自分…逃げないと…。」
「逃げるって私1人で…?泰揮クン!?」
そこで音声が途切れてしまった。何度呼びかけても応答がない。
「誰と話していたんですか…?花月さん。」
「橙さん…。」
「今、そのイヤリングに話しかけていましたよね…?」
いつから見られていたの…?
目の前にいる橙さんからは恐怖を感じる。もしかして音声が途切れたのは…この人の影響…?
「貴女が考えている通りですよ。貴女が外部と連絡をとったことで、空間に淀みができた。それを感じ取った私が結界の力を強めたので、音声は途切れたでしょう。」
橙さんの目…笑ってない。
「そのイヤリング…預からせてもらいましょう。勝手に外部と連絡をとられては困りますからね。」
橙さんの手が私の顔に近づく。怖くて顔を背けようとしたが彼の左手で顔を固定される。
「こんな手の込んだイヤリングを作るなど…煩わしいですね。」
私の耳からイヤリングを外すと、チャイナ服の裾へ入れ私を突き飛ばした。
「死にたくなければ余計なことはしないでください。こちらとしても貴女を手にかけたくはありません。もし貴女が何かすれば、私たちはそれ相応のことをしなくてはいけません。この意味…お分かりでしょう?」
それ相応のこと…。きっと私を殺す気だ。
私は…どこにいても生贄なんだ。