⚠️政治的な意思はありません!
⚠️WW1、2の表現が含まれています。
夕日が教室を照らしていた。
その教室には1人の影が落ちていて、美しい音と共に揺れていた。
そんな美しい音を聴いていると、
気がついたときには手は扉に伸びていて、そのまま無意識に開けてしまった。
しかも、扉の開く音に気が付いたのか、開けた瞬間彼と目が合ってしまった。
「あ、すまん…」
「……ドイツ?」
手にヴァイオリンを持ったまま彼は話す。
その表情は驚いたようにも、安心しているようにも見えた。
「こんなところで何をしてるんです?」
「いや…こちらの台詞だが」
今は放課後であって、本来ならば人がいないはず。
「ああ、少し懐かしく感じてしまいましてね…」
オレンジ色の空を見ながらヴァイオリンを持っている彼はそう呟く。
しかし、まるで答えになっていない。
「…貴方、昔は可愛いかったのに」
…は?今なんて言った?
「……可愛いくなくてすまんな?」
うわぁ…ドイツ怒ってます。
口が滑ってしまいました⭐︎
「ひぇ!…もう!怖いですよドイツ!」
「ことの発端はお前だろう…」
「まぁまぁ、そんなカッカしないで!少し昔の私達の話でもしませんか?」
「まあ、いいが…」
ふと、窓ガラスを見ると鏡に反射して映っている私達が見えた。
何故でしょうか、一瞬昔の私達に戻ったような気がしました。
「…昔の私達とはいっても、私達自身ではない自分ですけどね!」
「嗚呼、そうだな。…ん?お前は先祖様の記憶を持っているのか?」
「ええ、曖昧ですが殆どは持っていますよ。ドイツはどうなんです?」
「…俺は多少はあるんだが、前々のやつの記憶は曖昧だ。多分、自分が消したかった記憶なんだろうな。」
空気が重い。
何となく彼が消したかった記憶は伝わる。
まあ、私も被害者の1人でもありますから。
いや、私は加害者なのかもしれませんね…
「そうですか……」
「そういえばオーストリア、さっき昔は可愛いかったと言っていただろう?…何故だ?」
「ああ!それはですね…」
話は弾み、気づいたら30分も時が経っていた。
間違いだった。
私が不意にWW1の話題を出してしまったのだ。
まあ、あの時は同盟を築いていたからか、懐かしく感じる思い出が溢れかえったが、矢先は悪い方向に進み…
貴方は急に重たそうな口を開き、こう言った。
「…ごめんな、ごめん。あの時は本当にすまなかった。」
ああ、多分記憶を思い出してしまったのだろう。
確かに貴方の先祖がしたことは非常に悪な行動だが、実際。
こちらも昔、貴方を支配していたのだ。
それに……
私がいなければ貴方は苦しむことがなかったはず。
本当に、本当に謝るべきであるのは、
私の方なのに…
「何故、謝るのですか?謝るべきなのは私です…」
「覚えてるだろ?俺が自分勝手にお前の家に入ったこと。」
「ええ、もちろん。」
「だかr「ですが!」
「あれは貴方のせいではないでしょう?むしろ、私がいたから……です。」
その言葉を聞くと、ドイツは何かを思い出したのか、言葉につまっていた。
「…そんなことより、楽器を一緒に弾きませんか?」
今は貴方との時間を大切にしたい。
同じ言語を使う仲間。
同じ趣味を持つ仲間として。
「…!あ、嗚呼。」
良かった。
私と貴方との共通の趣味である音楽。
きっと、これがある限り、私と貴方の関係は薄れないでしょう。
「音楽大国同士ですからね。容赦しませんよ!」
「容赦って何だ…音楽に戦いはないだろう?」
「ふふ、そうですね、音楽にまで戦いを持ち込むのは嫌です!楽しく弾きましょう!」
「勿論だ!」
久しぶりに一緒に弾くな!
何年振りでしょう…?
覚えてないな…
そんな会話が聞こえる。
夕方の暗い教室で、2つのヴァイオリンの音が響き渡る。
その音色はどこか懐かしく、
悲しさと嬉しさが混ぜ合わさった複雑な感情を持っていた。
Dank fürs Lesen!
コメント
2件
コメント失礼します…途中途中で4にそうになりましたが、生きててよかったです。( ? ) 雰囲気大好きですっっ!!🫶💕 神作をありがとうございますっ!!🥹💗