・日本が監禁されるお話です。
・病み要素有り。
・フィン日です。
・R-18はございません。
・後ほど日帝も被害者になります。
・ちょっとした暴力表現注意。
・地雷さんは自衛お願いします。
ではGo。
…嗚呼、なんて仕事多いんでしょう。
今日で1週間連続残業。
しかも、残業手当は少ないし…
そんな風に自分を憐れみながら
私はパソコンのキーを叩く。
「ただの社畜人生だ~……」
ボフッと背もたれにもたれかかる。
気を付けなければ一瞬で意識が
落ちてしまいそうだった。
「…はーぁぁ、さっさと全部
辞めてのんびり過ごしたいですねぇ…」
ぽつりと願望を漏らす。
国である以上、私は国民の皆さんの
生活を保障しなくてはなりません。
憲法の三原則という柱に結び付けられ、
法律で固定される中必死に毎日
働く日々。
疲れを感じない方がおかしい。
「……残りは家に持ち帰ってやろう」
そう思って、私はパソコンを閉じました。
帰り道。
ふらふらと道を歩いていると、
向かい側からどなたかが
歩いてきました。
特徴的なニット帽。もこもこと
したコート。手を所在なさげに
ポケットに突っ込み、ぼんやりと
辺りを見回している青年。
「…あれ、フィンランドさん?」
「日本?奇遇だねぇこんな夜更けに
会うなんて」
私の親友である、フィンランドさんだった。
「日本はどうしたの…って、
言わなくてもわかった。
今まで残業してたんでしょ」
「あはは…正解です…」
笑顔を浮かべようとするけれど、
疲れで表情筋がうまく働かない。
そんな私の様子を、フィンランドさんは
心配そうに見ていた。
「…大丈夫?日本。
すっごく疲れてそうだけど…」
「…嗚呼、すみませんね
フィンランドさん…」
…私は、この後後悔した。
「ほんっとうちの会社って
残業ばっかりで…しかも
お給料も少ないですし。
全部終わらせて辞めたいですよ…」
こんな愚痴を、フィンランドさんに
吐かなければ
「……そう」
「なら、僕が助けてあげるよ」
こんな最悪の展開になる事も
無かった筈なのに
不意に視界が暗くなる。
フィンランドさんは片手を
ぎゅっと握りこみ、親指で何かを
弾いたように見えた。
「おやすみ、僕の日本」
私が最後に見たのは、不敵に微笑む
フィンランドさんの笑顔だった。
「………ん」
ふと目が覚める。
その瞬間襲ってきたのは、猛烈な
頭の痛み。
痛すぎて吐き気がしてくる程だった。
「痛…った」
痛む頭を押さえると、ジャラ、と
重い金属音がした。
手首に変な重さを感じる。
「…手枷?」
右手首に付けられていたのは、
手枷。映画でしか見たことの
ないような、重厚な物。
鍵が無ければ簡単に開きそうに
ありません。
「…というか、ここ…
どこなんでしょう…」
辺りを見回しても、あるのは
小さな明かり取り用の窓と木の扉。
手枷の長さは大体50㎝程で、唯一の
出口らしい扉まではとても手が
届きません。
一体、何が起きているんでしょう?
深い思考に入ろうとした時、キィと
軽い音がしました。
「あ、お早う日本!
よく眠れた~?」
フィンランドさんでした。
「フィンランドさん、ここは」
「あのね、僕日本の為にご飯
作ったんだ。一緒に食べようよ!」
「あ、あの…」
「今日のご飯はね~、頑張って
練習してた和食だよ!きっと
日本も喜んでくれる筈♪」
…だめだ、フィンランドさんは
私の話を聞いてない。
目の前に置かれた和食。
味噌汁からは湯気が立ち、綺麗な
焼け目をした魚を見ると思わず
ぐぅとお腹が鳴る。
ここ数日、栄養食しか食べておらず
手作りの料理というものをお目に
かかるのは久しぶりだった。
「あははっ、日本、お腹空いてるの?
じゃあ早速食べよっか」
フィンランドさんはつぼみが
綻ぶように笑った。
「…いただき、ます」
「はい、どうぞ召し上がれ」
この状況は全く理解が
出来ないけれど、まずは
久しぶりのご飯です。
腹が減っては戦は出来ぬ、と
言いますからね。
利き手である右手に手枷が
はめられているのでお箸が
随分と持ちづらかったですが
なんとか食事は出来ることが判明。
パリッとした皮の魚に箸を入れて
口に運ぶと、塩の味がよく
効いています。
「…、美味しいです」
「本当?日本に褒められたなら
僕自信ついちゃうなぁ」
照れたようにフィンランドさんは
微笑みました。
きっと、こんな風に私を拘束したのは
フィンランドさんだと思うので
ご飯にも何か薬が混ぜられているかと
一瞬だけ身構えましたが、なんだか…
こんな風に、心底幸せそうに微笑む
人を疑うのは、良心が痛みました。
「ごちそうさまでした」
「お粗末様でした。美味しかった?」
「はい、とても」
結局薬が混ぜられていたのか
どうかなんてわかりませんでした。
でも、お腹は久しぶりに和食で
満たされて幸せな気分です。
気分良さげに食器を下げようとする
フィンランドさんの袖を少し引いて、
私は彼に尋ねました。
「…あの、フィンランドさん。
ここ、どこ…ですか?」
「ん?嗚呼、ここ僕の家の
地下室。元々は射撃の練習してた
場所なんだけど、掃除して使える
ようにしたんだ」
「…なんで、私…ここに
連れてこられたんですか?」
そう問うた瞬間。
フィンランドさんは片付けていた
お皿を机に置いた。
そして、彼の手が私の頬に
触れる感覚がしました。
「…なんでって、そりゃ…」
「君が、全部辞めたいって
言ってたから」
『…はーぁぁ、さっさと全部
辞めてのんびり過ごしたい
ですねぇ…』
会社で言った、私の独り言が
蘇る。
…まさか、
「フィンランドさん…あの時、
聞いて…?」
「うん、そう。
僕ね、ずっと日本の事見てたよ。
家族のために必死に働く姿も、
休日に将棋したり囲碁したり
本読んだりしてる所も。
日本のちょっとした独り言も
聞いてたし、君の全部を見てた」
フィンランドさんは、愛おし気に
私の頬をするりと撫でました。
「でね、昨日…やっと君が僕に
言ってくれたんだ。
仕事を辞めたいって」
「ここに居れば、僕が全部全部
養ってあげる。仕事もしなくて
良いし、もう面倒な国の仕事も
しなくて良い。
にゃぽんちゃんに全部引き継いで
しまえば良いんだからね」
「待ってください、にゃぽんは
まだ高校生で…あの子には、
まだまだ思い出を作る時間が…!!」
「僕にとっては日本以外
どうだって良い」
急に低い声が聞こえ、
背筋が逆立った。
いつもは薄い青色の目が
真っ黒に染まっているように
見えて怖かった。
「…僕にはね、日本以外
どうでも良いの。その人が
幸せだろうが不幸だろうが、
それが日本じゃ無い限り僕に
興味は無い。
今回は日本が不幸になってる。
だから、君の不幸を取り除くために
にゃぽんちゃんにあとは全部
任せるの。ね、それで解決でしょ?」
にっこりと微笑むフィンランドさんに、
私はただ冷や汗を流すしかなかった。
「…一体、どうしちゃったんですか…
フィンランドさん…」
「どうしたもなにも…」
「僕を惑わす日本が悪いんだろうッ!?」
お腹を突然蹴られた。
横倒れになり、思わずむせていると
すかさずそのまま踏まれる。
「痛゛ッ…痛いッ、!!」
「君がッ、僕の事を好きなように
振舞っているくせに…ッ!!
なんであんなアメリカなんかに
尻尾振るの!?なんで台湾や
パラオなんかにその笑顔を見せるの!?」
フィンランドさんが言っている
間にも、私の体には
フィンランドさんの足がめり込む。
痛いと何度言っても、攻撃が
止むことは無かった。
「…ねぇ、日本…」
「…なんで、僕には…
そんな優しい笑顔してくれないの…?」
急に攻撃が止んだ。
フィンランドさんの顔を見ると、
大粒の涙が降ってくる。
彼は、泣いていた。
「…フィンランド、さん…」
「…ねぇ、お願いだよ日本…
このまま、ずっとここに居て…」
「疲れて、生きる事すら
諦めた様な笑顔をはもう…
しないでよ…」
すがるように、そう言われました。
彼は地面にぺたんと座り込み、
袖で涙を拭って…それでも
止まない涙をただ、拭っていました。
私は痛む体に鞭を打ち、なんとか
起き上がりました。
全身に痛みを感じるけれど、
彼の頬に手を伸ばして……
壊れ物に触れるように、そっと
彼の涙を拭った。
彼は、驚いたように私を
見上げました。
「…に、ほん…?」
「………フィンランド、さん」
「フィンランドさんの
気が済むまで、私…
ここに居ますから。
だから、お願いですから…
泣かないでください…」
彼の泣き顔を見ると、
大戦前にソ連による侵攻が
行われていた時の彼を
思い出します。
あの時の彼の顔は、いまだに
心に古傷として残っているんです。
「…本当…?
ここに、僕と一緒に……
居てくれるの……?」
「…えぇ、フィンランドさんが…
望むのならば」
…なんで、私…
こんなことを言ってるんでしょう。
なんだか、彼の泣き顔を見ていると…
離れるのが逆に申し訳なくなって
来るんです。
「…そっか、僕、日本が
居てくれるなら…
すごく、嬉しいよ」
「…私も、フィンランドさんの
笑顔が見れるなら…
ここに居ます」
彼の涙は止まらない。
でも、彼は笑っていた。
「ありがとう、日本。
じゃあ、これから僕…君の為に
何でもするよ」
「ありがとうございます、
フィンランドさん」
私がそっと彼の頭を撫でると、
彼は嬉しそうに微笑みました。
…この笑顔を守れるなら…
私がここから出られなくなって
しまう事くらい、全く持って
どうでも良い様な気がしました。
「ただいま、日本。
良い子にしてた?」
そう聞いても、彼は
答えなかった。
「…全く、今日も無視かい?
まぁ泣かれるよりは全然
良いんだけどさぁ…
そろそろさみしいよ?
返事してよ~…」
僕が彼に話しかけても、彼は
一切の反応を示さない。
僕は諦めてふぅと溜息を吐いた。
「…あ、そうだ日本!
今日はね、君にプレゼントが
あるんだよ!」
袋の中を探り、お目当ての物を
探し出す。
そして彼に見せつけるように
ピンと腕を伸ばした。
「ほら、これ!
すっごく良い首輪じゃない!?
君に似合うと思って買って
きちゃったんだ!」
その首輪は、僕と同じ国旗の
白と青で構成された細めの
可愛い首輪だった。
彼へ近づき、そっと首筋に
その首輪をつければ…
その白い肌に、青と白の
首輪が良く映えていた。
うん、想像通り!
「やっぱり似合うよ!
買ってきてよかった~…!!」
彼の頭をなでると、カクンと
頭がうつむけになる。
それを見て、僕はまた
溜息が出た。
「…あーあ、もう……」
「可愛いからってたくさん
遊んだら、壊れちゃったなぁ…」
もう、僕の愛する人は二度と
起き上がらない。
きらきらと輝く目に僕を
映すことも無いし、その
愛おしい声で僕の名を
呼んでくれることもない。
でも、
もう二度と僕の傍を離れない
なら…それで、良いんだよね?
「…ねぇ、日本」
「これからも、ずっとずっと
僕と一緒だよ」
彼の頭をなでながら、僕は
無意識に笑みを浮かべていた。
Fin.
コメント
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うわぁ…、、、良… 一回ハッピーエンドいくかと思ったけどそんなはずもなく… フィン君の泣き顔と笑顔でどんぶり3杯はいけます!!!!
フィンくんが壊れちゃった☆ ってことで私も壊れますか! <<げんざいあたまはせいじょううんてんではありません>> あは、 にほんやさしいね ふぃんくんのために じぶんのおかれるじょうきょうを みすごすなんて!!! 、首輪どこで売ってますか