いつも通りの注意書きです。
・R-18はございません。
・日帝が結構えらい目に遭います。
可哀そう表現多め。
・その他いろんな人可哀そう。
・暴力表現、流血表現苦手な人は
Go Back☆()
・ナチ日帝、イタ王日帝(語呂悪っ…)
・監禁物です。洗脳もあります。
・前のナチ日帝よりも長いです。
1万字余裕で越えてます。
・わけのわからないところが多いですが
まぁご愛嬌ということで。
地雷ある方は自衛お願いします。
では本編GO。
私はアメリカに戦争で負けた。
兄弟はかろうじて生きていたが、
まともに動けるのは俺だけだった。
だから俺は、敗戦後せめてもの
償いとして様々な仕事を率先して
行った。
インフラ整備、バラックの建設、法案の改正。
軍事ごとに関してはいささか
関与させてもらえなかったが、
それでも警察予備隊の指導を
行ったりして平和になるように
必死に務めた。
それが実を結んだのか、俺は
元軍人で陸軍を率いる戦犯と
言われてもおかしくない立場だった
のにアメリカから陸上自衛隊の
指導を任された。
海は海軍から海上自衛隊を、空は
特攻隊指導員から航空自衛隊を。
俺たちの頑張りが欧米から
認められた気がして、俺はただ
嬉しかった。
そうして、戦後何十年も経ち…
時は令和。
今の日本は防衛以外の武力を
完全に捨て、他国が戦争をしていても
軍隊を派遣するなどは絶対にしなく
なった。軍隊を派遣するとしても、
それは戦後の国の復興を手伝うくらい。
そのくらい平和になった日本で、
俺は今━━━…
「そこ!銃先が2ミリズレているぞ!!」
「「はいっ!!!」」
陸自の指導中だった。
今は今度一般の方にもお見せする
出し物の練習中。
こうして一般の方にも気軽に
自衛隊に触れてもらう機会を
作ることで、民間との距離を
縮めようという目的だった。
自衛隊は陸・海・空全てにおいて
民間の人を守る組織でいる以上、
決して一般の方々を不安に
させるような演技はしてはならない。
その思いで必死に練習を重ねている。
「……よし、30分だ。
これから20分の休憩に入る、
各自水分を補給しておくように」
そう言い残して、俺は指導の席を
立った。
お疲れ様です!!と後ろから声が
聞こえてくるのを背景に、近くに
ある自衛隊員御用達の食堂へと
向かった。
食堂へ入ると、もう既に沢山の
自衛隊員たちがわいわいと食事を
摂っている。
俺はその隊員たちの雰囲気を
壊さぬよう気配を最小限に殺して
歩き、和食セットを注文した。
窓辺の席に座り、一人手を合わせて
食事を始める。
「…相変わらず、美味い」
ここの食堂のご飯は訓練後の体に
沁み渡る。
時には美味しすぎて朝昼晩と
ここで済ませてしまう事もある
くらいだった。
しかも、ボリュームが結構あるのに
お値段もリーズナブル。
たまにこの食堂の経営が不安に
なるが多分営業を続けられて
いる事だし大丈夫なんだろう。
そうして黙々と食べていると。
「…あれっ、日帝?」
聞きなれた声がした。
「…また来たのか、イタ王」
元枢軸の、イタ王だった。
「また来たって何~?
ioが来るの嫌なんね!?」
「…嗚呼、いや…お前が
来ると嬉しいのはやまやま
なんだが…」
辺りをそっと見回す。
そこには、イタ王の姿を見て
ビビり倒している隊員たちの姿。
「…あれ、急に食堂が静かに
なったんね」
「…お前のせいだと自覚しろ
イタ王…」
そう。
戦争が終わったのち、俺がこうして
陸自で働きだした頃から時たま
イタ王は俺の勤める駐屯地に
たびたび訪れるようになった。
アメリカに許可はもらってる
らしいので一度指導を任せてみれば、
見事自衛隊員たちにトラウマを
植え付けた恐ろしい男だ。
「んー…なんか特別変なことを
教えたつもりは無いんだけどなぁ…
io、なんかしたっけ…?」
本気で何もわかっていなさそうな
イタ王の表情を見て俺は秒で諦めた。
当のイタ王はというと、生姜焼きの
定食のお盆を俺の向かい側の席に
置き、そのまま座った。
どうやら一緒に昼食を摂ろうと
しているらしい。
まぁイタ王ならこういった行動も
普通の範疇だからいちいち何も
言わないがな。
器用に箸を使いこなし、イタ王も
食事を始める。
黙々と食べ進めていた時、ふと
イタ王が日帝、と声をかけてきた。
「日帝ってさ、もうあの軍服は
着ないんね?」
「あの軍服…っていうと…」
おそらくは、第二次世界大戦中に
使っていた軍服。
日よけが付いていてかなり便利では
あるのだが…
「あれはもう着るつもりないな」
「どうしてなんね?」
「……今の時代に合わないだろう?
この、平和になった日本に」
あの軍服は、戦争中にずっと
着ていたもの。
それを着れば、俺はまた残虐な
軍国主義の大日本帝国に
戻ってしまう様な気がして…
ただ、怖いのだ。
だから今は、押し入れの奥に一応の
思い出としてしまいこんである。
「あの服を着ないのは、戦争など
二度と繰り返さないという自分への
戒めのつもりでもあるんだよ」
「…ふーん…」
イタ王はどこか宙を見ていた。
そして生姜焼きを一口食べ、
感情の読み取れない目で俺を見た。
「ま、軍服着ようが着まいが
なんて関係ないからねぇ、
今の時代は。
陸自の制服も似合ってるんよ」
「…?
嗚呼、ありがとう」
そう言うイタ王の表情に、どこか
不満そうな感情が見えたのは
気のせいだろうか…?
どことなく不穏な空気が終始
漂う中、俺は少しばかりイタ王に
対し気まずくなり、早々に昼食を
食べ終えたのだった。
「はい、今日の指導は
ここまでだ。
今日やったことは次回までに
全て身に着けておくように」
「「ありがとうございました!!」」
…時刻は夕方。
結局イタ王はその日、俺の仕事が
終わるまでずっと陸自の訓練の様子を
見ていた。
椅子に座って日本式の訓練を
見ていたイタ王に近づき、トントンと
肩を叩く。
「おい、イタ王。
今日の訓練は終わったぞ。
帰らないのか?」
「…嗚呼、日帝。
ありがとうなんね。
日帝はこの後何か用事でも
ある?」
「いや、今日は特に何も
無いが…」
書類仕事は昨日のうちに全て
片付けてしまった。
あと2,3日は放置していても
全く問題ない。
そう言うと、イタ王はパァッと
笑顔の花を咲かせた。
「じゃあ、このあと一緒に
ご飯行こうなんね!!」
「…ん?」
「最近io、すっごい美味しいお店
見つけてね~、ずっと日帝と
行きたかったんね」
「…おぅ……」
イタ王の勢いが凄まじい。
俺は半分のけぞりながら、
逆にイタ王は半分体を
乗り出しながら話していた。
「じゃあ、今からもう早速
行こう、日帝!!」
笑顔で言われたら
断れないのを知って
言ってるだろう、イタ王。
思わずそんな言葉が零れそうに
なって慌てて抑えた。
いつも通りイタ王に手を引かれ、
俺はイタ王について歩く。
数分歩き、イタ王が止まったのは
ある路地裏にある居酒屋だった。
「ここなんね。
入ろう、日帝」
「へぇ…お前がこんな
居酒屋に入るなんて珍しい」
「日本文化に触れるのも大切な
事なんね」
会話を交わしつつ、のれんを
くぐると、そこに居たのは。
「…よ、イタ王。日帝」
「…?!な、ナチ先輩!?」
同じく枢軸の、ナチ先輩だった。
座敷席に座り、水を飲んで
俺たちが来るのを待っていたらしい。
「イタ王はこの間会ったが、
日帝は久しぶりだな。
元気だったか?」
「えぇ、すごく…!!
先輩もお元気でしたか!?」
「嗚呼、俺も元気だったぞ。
その陸上自衛隊の制服、よく
似合っているな」
「ありがとうございます…!」
俺が先輩と話してわーっと
興奮している横で、イタ王が
ポツリと言った。
「…日帝、ioと会った時と
反応が全然違うんね…」
「まぁ座れ。
今日は久しぶりに3人で飲もう。
日帝、好きなだけ頼め」
「やったー!ナチの奢りなんね!!」
「イタ王、貴様は自分で支払え。
それなりに金持っているだろう」
「うぇー、ナチ酷いんね…」
ふてくされる様子のイタ王を
横目に、先輩がメニュー表を
渡してくれた。
「明日は休みだろう?
酒でも飲んだらどうだ」
「…じゃあ、お言葉に甘えて」
俺は久しぶりに日本酒を頼んだ。
先輩は生ビールを、イタ王は
焼酎を。
「いやはや…こうして3人で
集まるのは何年振りだろうか」
「ざっと、6年ぶりくらい
でしょうか」
「もうそんなにか…月日は
早いな」
「ioは2人とよく会ってたけど…
そっか、ナチと日帝は会うの
本当に久しぶりなんね」
イタ王がしみじみとしたように
言った。
「それにしても日帝。
今は3兄弟全員で自衛隊の
指導をしていると聞いたぞ。
最近はどんなことをしてるんだ?」
「えっと…一般人に公開する
出し物の練習をしてます。
あとは、米国との共同訓練に
向けて、大砲などの設置訓練など
ですかね」
「へぇ、共同訓練では
大砲なども使うのか。
最近の訓練はすごいな」
「じゃあ逆に先輩はどうなんですか?」
「嗚呼、最近はイタ王と色々と
訓練して、現国の国力向上に
努めたりだな━━━…」
…そんな他愛もないことを
話しつつ、時間は流れていく。
途中からお酒が運ばれてきて、
俺たちの会話は更に盛り上がった。
まぁ、迷惑になるほど騒ぐわけでも
なく、ただのんびりと会話を
するだけなのだが。
ちなみに一番うるさかったのは
勿論イタ王だった。
そして、先輩たちに勧められるまま
お酒を久しぶりに飲んだ結果。
俺はこっくりと眠ってしまった。
「…んぅ…」
目が覚めると、広がるのは
見慣れない天井。
体をゆっくりと起こすと、
二日酔いが来たのか
ずきずきと頭が痛む。
「…ここは………」
どこかの部屋、のようだ。
和風の家具で設えられた空間に敷かれた
布団に、俺は寝かされていた。
何とか起き上がると、いつもと
違い首元に違和感を感じる。
視線を下に落とす。
「………ッ!?」
全身に鳥肌が立つ。
なぜなら、俺が着ていたのは
戦争中に俺が着ていた
詰襟の軍服だったから
「な、んで…これを…」
まさか酔った勢いでこれを着る
などありえない。
それ程に俺は、この服を嫌悪
して押し入れの奥底に封印して
いるのだから。
「い、嫌だ、嫌だ…!!
服…自衛隊の、制服…!!!」
平和主義になった俺から
すれば、軍国主義の象徴の様な
この服は一刻も早く脱ぎたい
羞恥の対象だった。
でも、どこを探しても俺の
求める陸上自衛隊の制服どころか
海自・空自の制服すらどこにも
無かった。
「…なんで………」
布団に戻り、座り込む。
せめてもの抵抗として、
日よけ付きの軍帽は
備え付けの押し入れへと
しまい込んだ。
普段は絶対に見せない猫耳が
見えるが、今はどうでも良い。
とにかく、この服を今すぐに
でも脱ぎたい。
そう思っていた、その時。
「…目覚めたか」
唐突に声が聞こえた。
「…先、輩…?」
玄関に立っているのは、
先輩だった。
いつの間に……?
「あ、あの…先輩…
俺の、この服………」
「嗚呼…やはり、お前には
その軍服が一番よく似合う。
『平和』なんて偽善の言葉で
飾られた自衛隊なんかの
制服よりも…余程な」
全身に悪寒が走る。
…まさか、
「この服を着せたのは…
先輩、ですか?」
「嗚呼、そうだぞ。
全く…苦労したんだからな、
お前と撮った写真を元に
一から作り直しだ。
新品だから安心しろ」
「…俺に、着せるためだけに…?
な、何の目的で!?」
無表情でさも当たり前かの
様に淡々と物事を言う先輩に
昔は憧れていた。
何にも流されず、自分をしっかりと
持って発言する姿は俺にとって
理想の姿だった。
でも、今はただ怖い。
「何の目的で…って」
先輩はにっこりと微笑んだ。
「もう一度枢軸として
戦争を起こそうじゃないか」
息が詰まった。
「ば、か…ですか、先輩…?
79年前、俺たちは…
ぼろぼろに負けたじゃない
ですか…!?」
「その雪辱を晴らすのが
今なんだ、日帝。
賢いお前なら協力して
くれるだろう?」
手を握られる。
バシ、と思わず振り払った。
先輩は俺がはじいた手を
押さえ、無表情に俺を
見つめ返した。
「い、や…嫌です!!!
今の俺は、平和主義!!
軍国主義に戻る気など、
さらさらありません!!」
俺は胸元を握りしめ、
首を横に思い切り振りながら
叫んだ。
何のために…
何のために、この79年間を
費やして平和主義を進めて
来たのだと思っているんだ。
(……俺は、もう…)
…戦争で死んでいった兵士を
思い出す。
ある奴は銃弾で頭を撃ち抜かれ、
またある奴は大砲で体半分が
吹っ飛んだ。
…そして、そのまたある奴は…
原爆で皮膚がドロドロに
溶けて死んだ。
もうあんな惨状を繰り返す
つもりなど、戦争を経験した
からこそ決して思わない。
「俺はもう、つらいことを
二度と繰り返したくありません。
先輩の軍国主義的な考えに…
今の俺は、賛成できません」
言い切ると、部屋の中は
静寂に包まれた。
先輩が、薄ら笑みを
浮かべたように見えた。
「…ならば」
「もう一度お前を軍国主義者に
戻すだけだ」
腹に強い衝撃が走った。
漂う火薬の匂い。
撃たれたのだ、と直感でわかった。
でも、先輩は今手に銃を
持っていない。
「…イタ王ッ、か…!!」
「正解なんね、日帝」
先輩の後ろから現れたのは
イタ王だった。
手には煙の立った銃を握り、
それから吐き出される弾丸が俺の
腹を貫いたのだった。
ぼたぼたと血が外へと流れだして
いるのが感覚で分かった。
「日帝。
これ以上つらい目に遭いたくない
ならば大人しく従え。
第二次世界大戦中は俺たちの
言うことに全て賛同していたでは
ないか」
「嫌…です…ッ、俺には…
護りたい物が、出来たんだ!!」
思い浮かぶのは、唯一の家族
である空や海…
にゃぽんや、日本たちの姿。
あの米帝すらも、今では
護りたい対象になった。
そして━━━…
俺を慕ってくれる、国民たち。
その人たちの期待を裏切るわけには
いかない。
そう、俺は伝えた。
「…………そうか、残念だ」
先輩はホルダーから拳銃を
取り出した。
そして、
「ならば調教のし直しだな」
一発。
片方の視界が暗くなる。
「っ、ぁ…ッ!!!!」
片目を潰された。
痛い…痛い!!!
見えない!!!
「嗚呼、可哀そうな日帝…
早く俺たちに従えば良いのに。
米帝との繋がりも絶って、早く…
早く俺たちと共にあちらへ行こう?」
先輩が俺の方に手を掛けた。
鳥肌が立って、俺はその手を弾く。
(逃げないとッ…!!!)
玄関まで急いで走り、ドアノブを
無茶苦茶に回す。
でも、開かない。
「な、なんで…?」
「お前に開けられるわけが
無いだろう、日帝」
後ろから二人分の足音が聞こえる。
コツコツと高い音が、段々と
近づいてくる。
冷や汗が頬を伝い、落ちた。
「言っただろう、調教の
し直しだと。
今のお前は平和主義で完全に
気が緩んでいる。
それをもう一度俺たちが
引き締め直してやると言うのだ、
逆に感謝してほしいくらいだが?」
振り返ると、先輩の後ろでは
イタ王が狂気的な笑みを
浮かべていた。
「誰が…ッ、片目を潰しておいて…!」
「先輩にそんな口を聞いて
良かったのか?日帝」
また一発。
今度は左腕だった。
「痛゛ッ…!!!」
慌てて押さえても、血は止まらない。
段々と失血で意識が薄れてきた。
「…なぁ、日帝」
「戦争をすることにYESと
言うまで、ずっとずっと
躾けてやるからな」
「これからは死ぬまでずーっと
一緒なんね、日帝♡」
先輩とイタ王の悪魔のような
笑顔を最後に、俺は意識を手放した。
体は外に出られても、もう二度と
精神はこの二人に監禁されて
外へと出ることはかなわないのだと
悟りながら。
━━━━…1か月後。
「…日帝さん、本当にどこに
行っちゃったんでしょう…
連絡も全然取れないし…」
…あ、皆さんこんにちは。
私の名前は日本、日帝さんの…
まぁ、関係者です。
今私がしているのは、陸自の
指導です。
元々は日帝さんの仕事だったの
ですが…1カ月前、急に連絡が
取れなくなったんです。
家にも居ないし、例の食堂にも
居ません。
…一体、どこに………?
「日本。日帝は見つかったか…?」
「…アメリカさん…」
横に立っていたアメリカさんに
話しかけられました。
「いえ、全然…目撃情報も
ありませんし…」
「そうか…
くそ、あいつどこに行ったんだよ…!」
サングラスを外し、苛立ったように
吐き捨てるアメリカさん。
彼もまた、日帝さんと戦火を交えた
相手。とても大切に想っている
相手だからこそ、ここまで心配に
なってしまうんでしょうね……
「…とにかく、日帝さんが
見つかるまでは私が自衛隊関連の
事をしますから。
海さんも空さんも居ますし、何とか
回るはずです」
「すまないな、日本…
俺が出来れば一番良かったんだが…
やっぱり、日本式の自衛隊の訓練は
日本家にしか出来ないから…」
アメリカさんは、本当に
申し訳なさそうに言った。
私は彼の肩をポンと叩き、
不安にさせないように無理矢理笑顔を
作った。
「いえ、良いんです。
困ったときはお互い様ですから。
ほら、一緒にまた探しましょう?」
「…嗚呼……」
そう言って、また私は自衛隊の
指導を始めました。
訓練が終わった後は、昼から
G7で一度集まる予定となっています。
早く行かなければ、怒られてしまいますね。
訓練が終わり、場所はG7会議所。
私とアメリカさんが一番最後に
来た国の様でした。
「遅いですよ、日本さん。
あとバカ息子」
「うっせーよ親父…
実の息子をついで扱いすんな」
紅茶を飲みながらイギリスさんが
アメリカさんに嫌味を言うように言い。
「おっそーい!je、今作品
作ってる途中なんだから早く
終わらせたいんだけど!」
「ioも今パイナップルピッツァを
滅ぼす方法考えてるんだから早く
終わらせたい!」
目の下に隈が出来たフランスさんと
なんか考えに狂気が混じる
イタリアさんが駄々をこねるように
机に突っ伏し。
「…仕事、押してるんだが…」
社畜人生を送っているドイツさん。
ちなみにドイツさんは私の同僚です。
「あ、兄さんと日本、やっと来た!
遅いよ~!」
最後に、腕に痛々しい注射跡が
大量に付いているカナダさんが
にっこりと優しい笑顔を浮かべて
出迎えてくれました。
「すいません、遅れちゃって…」
「…まぁ良いです。じゃあ、早速
会議を始めましょうか。
今回の議題は━━━…」
イギリスさんがそう言って
会議を進行し始めた、その時。
「ちょっと待ってくれないか?」
ギィ、と、扉の開く音。
全員が扉の方を向くと━━━…
「…ナチス、それにイタ王…?
なんでここに?」
枢軸のうち、二人がここに
揃っていました。
「父上…?」
「父さん…?」
ドイツさんとイタリアさんが
そんな声をあげました。
「いや何、ちょっとばかり
伝えたいことが出来たんで
来たんだ」
「…それは、G7全員に
関連することですか?」
「嗚呼、そうだ。
何だったら、全世界に
関連することだろうな」
ナチスさんの発言に、会議室内の
空気がざわめき出しました。
私の隣に座るアメリカさんが、
どこかひきつった表情を
浮かべています。
「…俺が代表で聞く。
ナチス、イタ王。どういうことだ」
「まぁまぁ、それはこれから
来る人物に聞けばわかる…
ほら、早く来い」
ナチスさんが扉の外に手招きを
すると、廊下の方から…
コツコツと、足音が聞こえてきました。
全員が息を飲んで静まる中、
現れたのは
「…日帝…さん……?」
思わず、声が零れました。
1カ月ぶりに見る、彼の顔。
ひどくやつれていて、目の焦点が
合っていない様に思えます。
今の日帝さんがひどく嫌悪
していた軍服を着て片目には
包帯を巻いており、その他
足や腕にもたくさんの傷跡が
見えました。
その尋常じゃない姿に、全員が
驚愕。
「…」
「…ほら、日帝。挨拶を」
「…嗚呼、わかりました…」
イタ王さんに急かされ、
日帝さんは一歩前へと出ました。
「皆、久しぶりだな。
『俺』の名は…大日本帝国“陸軍”。
今日はお前たちに伝えたいことが
あってここに参上した」
無表情で、淡々と彼は話し始めました。
彼は…『陸軍』と名乗りました。
ついこの間までは…陸自、と名乗って
いた筈なのに。
「…俺たち、枢軸国は」
「第三次世界大戦を起こす」
…え?
「っな…!?」
私の横で、アメリカさんが
とても信じられないという
ような顔をしていました。
私も同じです、今日帝さんが
言ったことが…理解できません。
「だから、戦争の用意をしておけと
言いに来た」
「…何の目的で戦争を起こす?」
「それはもちろん、この世界を
俺たちの手で掌握するためだ」
日帝さんがぎゅっと拳を
握りしめました。
「この世界は平和ボケしすぎている。
ロシアとウクライナ間で戦争が
起きているとはいえ、あれでも
まだ生ぬるい。
今のお前たちは、『本当の戦争』を
忘れかけている。だからこの
タイミングで戦争を仕掛ける」
「日帝さん…あなた、何を…」
「そして、一番平和ボケして
のほほんと過ごしているのが、日本。
お前だ」
指を指されました。
「こんなやつが俺の後を継ぐなど…
全く持って信じられん。
日本国の権利は全て俺が
引き継ぐ。貴様は幽閉する」
「ちょっと待て日帝!!
お前、1カ月前は…ずっと、日本の
国民を守るために平和を目指して
いるとか、言ってただろう!?」
アメリカさんがとうとう我慢
できなくなったのか、日帝さんの
肩を掴みました。
その瞬間。
「触るな、鬼畜米帝」
アメリカさんの体は地に伏して
いました。
「平和などどうでも良い。
この世界にあるのは武力だけ。
お前のような核兵器保有国が
平和を語るな」
地に伏したアメリカさんにそう
吐き捨て、日帝さんは後ろを
向きました。
「…行きましょう、先輩、イタ王」
「ちょっと待つんね」
「ちょっと待て」
声を上げたのは、ドイツさんと
イタリアさんでした。
「父さん、日帝、…ナチさん。
…戦争しても、何も残らない
っていうのは……先の
大戦で知ってる筈なんね」
「また全世界を焦土に変える
つもりか…貴様らは」
イタリアさんが珍しく口調を
外し…低い声で言いました。
その言葉に、イタ王さんは心底
おかしいとでも言うように
微笑みました。
「焦土に変える?
君たちが抵抗しなければ良いじゃ
ないか。
…イタリア。まずは君を殺して
イタリア国をもらおうかな」
「…ふん、やれるものなら
やってみろ」
あちらでは笑顔のイタ王さんと
酷く憤慨している様子のイタリアさん
とが相対し。
「…父上。
もうやめましょう、戦争など。
誰も幸せになりません」
「お前のような子供が口を
出すな、ドイツ。
お前も今すぐユダヤ人と
認定して収容所へ入れても
良いんだぞ」
こちらでは、無表情同士で
ナチスさんとドイツさんが
睨みあっている。
そして、私は…
「…日帝、さん…」
「………」
鋭い視線で私を射抜かんとする、
日帝さんと向かい合っていました。
「やめましょう、日帝さん。
国民たちに戦争は経験させるべきじゃ
ありません」
「それは平和ボケしたお前だから
言えることだろう。
また、大東亜共栄圏を…俺は築く」
日帝さんはそう言いました。
私は、一歩彼に近づきました。
「…日帝さん、本当に
どうしてしまったんですか。
前は、平和の為に一緒に自衛隊で
働いていたではありませんか」
「平和だけでこの世界はまとめられない。
結局人間が従うのは武力と恐怖で
押さえつけられた政治のみ。
それを、俺たち3人で叶える」
「そんなの無謀です。
全世界対枢軸なんてことになったら、
今度こそ死にますよ」
「『進め一億火の玉だ』…
何があっても決して諦めん」
「…ッ、なぜわからないのですか!!
戦争は何も生まないと!!!」
「わからないのはお前だ日本!!
もう俺に逆らうな!!」
「ッ、バカだあなたは!!!」
私は怒りに任せ━━━…
彼の目の包帯を掴み、容赦なく
引っ張りました。
出てきたのは━━━…
「……え…?」
ぽっかりと空いた、眼孔。
ゾッとしました。
「…包帯を返せ、日本」
「待ってください…日帝さん、
その目…」
「包帯を返せ日本!!!」
思い切り包帯を奪われました。
そして左手でぽっかりと空いた
眼孔を隠すように抑え、
忌々し気に私を睨みました。
「…もう、良いだろう…?」
日帝さんの目は、焦点が全く
合っていませんでした。
「…先輩、行きましょう」
そう言って、睨みあっている
イタ王さんとナチスさんの
袖を引っ張り退室を促すも…
あっさりアメリカさんに
一度拘束されてしまいました。
「離せ鬼畜米帝!!」
「まだ離すわけにはいかねぇなぁ
日帝chanよ…」
呆れた様な表情を浮かべていました。
でも、その表情もすぐに崩れ。
「…おい、イタ王、ナチス。
日帝に何をした」
会議室内に居る全員が凍り付くような
重々しく低い声。
それに耐えられたのは枢軸の3人でした。
「何を…とは、我々は何も
していないが?」
「嘘つけ。たった1カ月で日帝が
79年かけて築き上げてきた
平和主義の考えが覆るものか」
アメリカさんの答えに、ナチスさんは
少し考えた後。
「…嗚呼、そういえば!」
「日帝に教え直したんだよ、
平和主義など邪道だ、軍国…
ファシズムこそが一番尊き
思想なのだと!」
ナチスさんが笑顔で言いました。
「なぁ、日帝?
そう教えただろう?」
「……はい、先輩!」
ギリギリと背中で両腕を
アメリカさんに拘束されているにも
関わらず、日帝さんは満面の
笑みでそう言いました。
「…洗脳したってことか…!?」
「洗脳だなんて人聞きの悪い。
躾け直しただけだ」
躾け直しもかなり人聞きが
悪いと思うんですが…と、
一人で心の中で突っ込み。
「…もういいだろう、米国。
日帝を離せ。
この後は会議の予定があるんだ」
「誰が離すか。
日帝は俺たちが誠心誠意を込めて
洗脳を解く」
アメリカさんとナチスさんの
にらみ合いが続く中━━━…
パァンと、窓ガラスが割れ、
アメリカさんの背中を貫きました。
その衝撃で拘束が外れ、日帝さんは
一気にお二人の元へと駆け出す。
「おーっ…当たったねぇ」
窓辺から声がしました。
特徴的な、ニット帽。
「フィンランドさん…まで…」
「……ごめんね、皆。
僕さ…昔の借りがあるから。
どうしても、枢軸の皆には
逆らえなくて」
すごく申し訳なさそうな顔を
して、彼はスナイパーライフルを
持ったまま枢軸側へと立ちました。
「…ふふ、これでわかっただろう?
俺たちは本気だ。
この世界のすべてを掌握する」
「んじゃあね~、皆。
ioはピッツァ食べながら戦うんね」
「ふざけるなイタ王。
ちゃんと戦え。昔の様に白旗を
あげて裏切るんじゃないぞ」
「わかってるってば日帝!
もー、怖いんねぇ本当…」
「僕まで参戦させたんだから、
ちゃんと勝とうね?」
4人は仲睦まじい雰囲気を出し
ながら、去って行きました。
でも、ここにいるG7は…
全く、動けませんでした。
突然の出来事に呆然と
している中、イギリスさんが
その静寂を破りました。
「……どうして……」
「どうして…
こうなって、しまったんでしょう…?」
「いやぁ、上手くいって
良かったな日帝!」
「はい!先輩たちのおかげです!」
僕の目の前に居るのは、
にこにこと尻尾を振る
日帝の姿。
僕は、日帝がナチスやイタ王に
何をされたのかを知っている。
大量の暴力を受けたあとに、
すごく優しくされ。
吐くほどの拷問や尋問を受け、
そのあとに甘い甘い時間を過ごし。
いわゆる、飴と鞭で、日帝の
精神は完全に壊された。
「……だよな、フィンランド?」
「え?あ、嗚呼、うん、そうだね」
急に話を振られ、僕は慌てて
笑顔で答える。
…そして、そっと日帝の
横顔を見た。
美しく整った鼻筋。
バランス良く配置されたパーツ。
そして、痛々しい様子を
思わせるガーゼや包帯。
(彼の体は、自由だけれど)
『彼は、精神を監禁されたんだ』
僕はふとそう感じて、一人
溜息を吐いた。
肉体的な監禁じゃなくて、
精神的な監禁にしてみました。
監禁っていうより洗脳物か…?
まぁ良いか()
次回もお楽しみに!
コメント
66件
今回も今回とてさいっっっっっこうでした‼︎1万文字余裕で超えるのは凄すぎます…。お疲れ様でした‼︎ 第三次世界大戦はやめてください…まだ天原様の小説読み終わってないので… てか読み終わってもやめてください天原様の小説の最新話読めないので… 日帝さんの洗脳が解けて枢軸みんなでニコニコしててくださいッッッ‼︎‼︎
めっちゃ神ですね! 飴と鞭の部分を見たいと思ってしまった自分がいる だって可哀想な日帝が好きなんだもん!(時間があったら書いて欲しいなぁチラチラ
初コメ失礼します…! めちゃめちゃ刺さりました… 🇫🇮さん逆らえないんですね…枢軸国の皆さんに助けられたから… 精神崩壊してる日帝さんめちゃくちゃ可愛いです…🫶 続き楽しみにしてます…!