降谷side
今日は僕、スコッチ、ライ、マイアミの4人で任務だ。作戦は僕がターゲットをマイアミのところまで誘き寄せ、マイアミが情報を吐かせ殺害。スコッチとライは所定の位置で援護。ただ、マイアミの実力から言って援護は要らないだろうし、誘き寄せもマイアミで事足りるだろう。ただ、セリが組織の仕事をしているところは初めて見る。その緊張の方が強い。
「すみません。少しお時間よろしいですか?」
任務開始だ。
パアン…!!
ターゲットを容赦なく撃つマイアミ。横顔は冷静で酷く冷たかった。傷口をヒールで抉る。でもやはり、顔色は変わらない。ターゲットの叫び声。こちらがおかしくなりそうだ。
パンパアン…!!
「あ゛あ゛あ゛あああああ…!!!」
どうして…どうしてそんなに冷静なんだっ。確かに、こいつは裏社会の人間だ。だがそれは、殺していい理由にはならない。警察官なら逮捕するのが本来だ。でもそれは俺達の仕事じゃない。分かっているんだそんなこと。でもやはり辛いものは辛い。それをセリは、1人でこなしてきたのか。
セリは問いかけをやめ、人の名前を挙げていく。成程。その反応を見て誰にデータを渡したのか探るのだ。そんな術をセリは持っているのか。凄いな。
「ふふ。ありがと」
どうやら分かったようだ。
「違う!!違う!!!」
「もういいよ黙って」
「違うんだ!!彼は!!」
ターゲットの焦りよう。やはり当たっていたらしい。
セリはガソリンをターゲットにかける。
まさか、燃やすつもりか?!
「往生際の悪いあなたが悪いよね?」
セリの顔は見えない。どんな顔をしているのか見えない。
燃えるターゲット。火柱の勢いと反比例するように叫び声は消えていった。
「バーボン」
「っ、はい」
「帰ろっか」
「…はい」
相変わらず、セリの顔は変わらなかった。少しゾッとする。
インカムで2人にも終わりを告げるマイアミ。
「バーボン。顔色悪いよ」
「、いえ、問題ありません」
「そ」
硝煙。血液。ガソリン。火。様々な匂いが吐き気を誘う。
「こちらマイアミ。バーボンと私は遅れて帰る。スコッチとライは先帰って」
「了解」
「ああ」
セリはインカムにそう告げた。
「マイアミ?」
「ゼロ。少し休も」
「…いや、これくらい」
「いいから休も」
「…」
適当にベンチに座る。
「少し、刺激が強かったかな」
「いや、違うんだ」
「ん?」
「セリが…」
「私が?」
「セリの仕事をしているところを初めて見た」
「そうだね」
「………悪い」
「いいよ。落ち着いたら帰ろう。部屋でゆっくり休息取りな」
「すまない」
「何も謝る必要ないよ」
「…セリは」
「ん?」
「いつも、こんなことを…」
「まあ」
「そうか…」
俺だったら気が狂いそうだ。
「大丈夫。ゼロのことは私が守る」
「っ、」
セリはいつだってオレを守ってくれる。これじゃ駄目だ。今度は僕が…
「僕だって」
「無理をする必要は無い。適材適所ってもんがある。いつでも頼ってね」
「っ、」
セリはいつだって僕を守ろうとする。いつもだ。
「…ごめん」
「だから、謝ることないって」
人を殺す任務は初めてではなかった。だが、セリの冷たい声。鋭い眼差し。なんでもないような表情。当たり前のように殺したセリ。それらに恐怖を覚えた。そうか、これが、マイアミか。
「もう大丈夫だ」
「じゃ、帰ろっか」
もっと強くなってみせる。セリを守れるくらいに。
こんちわんば。浅葱鼠です。プリ小説にて同じ作者名でこの作品を、名前変換ありで投稿し始めました。さしす組+せにしたかったので芹那にしましたが、プリ小説では夢主の名前はご自由に設定できます。ぜひそちらも覗いて見てください。では次の話でお会いしましょう。
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