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目覚めも調子が狂うレロ
淡い朝の光が、カーテンの隙間から差し込む。最初に目を覚ましたのは、メロだった。
『……』
寝返りを打とうとして、ふと違和感に気づく。
視線を落とすと――
自分の手が、レロの手に包まれている。
しかも、指と指が絡む、恋人繋ぎ。
『……あら?』
一瞬、首を傾げる。
けれど昨夜の記憶は、途中から曖昧だ。
(……いつから、こうなっていたのかしら)
そっと見上げると、
レロはまだ眠っている――ように見える。
猫耳も動かず、呼吸も規則正しい。
『……悪くありませんわね』
そう小さく呟いて、
メロはくすりと微笑んだ。
そっと、片方の手を取り上げる。
逃げないように、やさしく。
そして――
ちゅ。
軽く、触れるだけのキスを落とした。
『……おはようございます、お兄様』
その瞬間。
「……っ!?」
レロの目が、ぱっと見開かれる。
(なっ……!?)
――仕返しするつもりだった。
実は、最初から起きていた。
寝たふりをして、隙を待っていたはずだった。
(なんで……手に……!?)
動揺が、顔に出る。
猫耳が、思わずぴくっと跳ねた。
『……』
その反応を、メロが見逃すはずもない。
『……ふふ』
楽しそうに、覗き込む。
『あら?
お兄様、今……起きました?』
「い、いや……今のは……!」
『寝ているふり、ですわよね』
即答。
『しかも、この反応』
絡めた指を、わざと軽く揺らす。
『可愛らしすぎません?』
「……っ!」
完全に、してやられた。
(妹なのに……兄が負けてる……)
顔が熱くなるのを自覚して、
レロは視線を逸らす。
『昨日の夜、何があったかは覚えておりませんけれど』
メロは、にっこりと微笑む。
『こうして手を繋いでいるのなら――
きっと、お兄様の方からですわね』
「……言うな」
『では、次は』
指を、もう一度絡め直して。
『目が覚めた時の反応も、
しっかり覚えておきますわ』
揶揄う声。
でも、どこか柔らかい。
――仕返しするつもりが、
逆に心を乱された朝。
レロは小さく息を吐き、
結局その手を、振りほどけなかった。