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ⅴ
目を覚ます。
と、
琥珀さんが僕に跨り、顔を見つめていた。
‼︎
夢を思い出す。
『苦しいの?大丈夫?』
っ‼︎
『やめろっ‼︎』
僕は、琥珀さんの頬を思いっきり叩いた。
その後、琥珀さんを力づくで押しのける。
僕は立ち上がり、走る。
部屋の扉を乱雑に開けて、走る。
琥珀さんが、ついてきた。
『近づくな‼︎』
僕は怒鳴る。
『どうしたの?大丈夫だよ?』
琥珀さんは悲しそうだった。
僕が叩いた頬は赤くなっている。
『怖いことがあったんだよね?大丈夫だからおいで?』
琥珀さんは優しい笑顔を見せて、手を広げる。
僕は家のドアを開ける。
『どこにいくの?』
僕は黙ったまま、出ていく。
そうだったんだ。
琥珀さんも敵なんだ。
あの悲しそうな顔。
可哀想だと思った。
でも、苦しみながら死にたくはない。
考えてみる。
僕は、琥珀さんを殺した?
なら、あの子は誰だ?
瑠璃さん。
あの子は一体、
琥珀さんのいうコハクさんが、
色々考える。
まだ、情報が足りない。
?
まず、
僕はなぜ病院で目覚めた?
なぜ記憶がない?
その時に何があった?
わからない。
歩く。
ただひたすらに、あてもなく。
琥珀さんを信じようと思ったその次の日に。
僕は、琥珀さんを信じられなくなった。
もう少し考え…
キーン
『うっ‼︎』
頭が痛い。
クソッ!忘れてた。
僕はその場にうずくまる。
『ふざっ…け、ん……な!』
僕は立ち上がる。
そして、
ふと顔を上げる。
視界に、この島の真ん中にある山が見える。
高い。
行ったことがない。
高い所から島を見てみようか。
僕は、山に向かって歩く。
まだ、頭が痛い。
そのままボーっと、山へ歩いている時、
『あれ!一匹狼だ!』
遠くから声が聞こえてくる。
2人がこちらに近づく。
知らない人たちだ。
『初めまして!五十嵐.翔[イガラシ.カケル]って言います。俺、君に憧れているんですよ!会えて光栄です。』
五十嵐翔と名乗った青年が手を差し出し、僕の手を掴む。
そして、勝手に握手をする。
『僕は、蒼.博樹[アオイ.ヒロキ]です。よろしくお願いします。』
次に蒼博樹と名乗った青年が頭を下げて言う。
『本当に一匹狼なんだよね?まじか、明日死ぬかもしれん。』
五十嵐さんがとんでもないことを言う。
今はそんな話を聞きたくない。
『失礼ですよ!いきなり声をかけて、迷惑になっちゃいますよ!』
蒼さんが言う。
この2人は如月さんと東雲さんに似ているかも。
『ちょっとくらいいいじゃん!憧れている人と会えたんだよ!』
『この方に憧れて、人々を救うヒーローになりたいとか言ってたんでしたね…』
2人で何かを話している。
と、
『なぁ、このあと暇ですか?暇なら一緒に行きません?あ、うちらの拠点は…向こうの無法地帯にあるんだけど、』
五十嵐さんが言う。
無法地帯?
結構危ない所なのでは?
『まぁ、危ない所だと言われていますが、それほど危険ではありませんので大丈夫だと思いますよ。』
蒼さんが言う。
まぁ、暇ではある。
嫌なことを忘れるには良いかもしれない。
『大丈夫です。』
信じてはいない。
もし、騙しているのなら、
もう、遠慮はいらない。
『やったぞ、柳原!』
何かを言っている。
『すみませんね、長くはかからないと思いますので…』
蒼さんが、申し訳なさそうに言う。
『こっちです。』
僕は2人についていく。
『そういえば、一匹狼さんはなぜそんな服なんだ?』
自分の服を見てみると、
パジャマだった。
普通のシャツとも見られそうな感じではあるけど…
…今は思い出したくない。
『気にしないでください。』
僕は誤魔化した。
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