ご本人様とは一切関係ありません。
微BL
桃水
吸血鬼if
死ネタ
地雷なければお進み下さい。
水
「やっぱ、甘いね。」
甘い声。優しく優しくかけられるこの声。
甘くて甘くて、もうどうしようもないくらいに甘ったるくて。ずっと頭に残るこれ。
「ほら、がんばってよ。ね?」
がんばる、がんばる。でも、もう。
「これ以上は…ほんとに…!」
精一杯に叫んで、押さえつけてくる体をぐいぐいと押した。
でも、声は彼に、届かなくて。
頭がクラクラしてくる。だんだんと心地よくなってきて。
脳を縛りつける制御し続けていたこの、思考という名の枷がはずれる音がした。
かちゃり。
またひとつ。
かちゃり。
もうひとつ。
かちゃり、かちゃり、かちゃり。
全部なくなっていく。全てが溶かされていく。
「ねぇ、ほら、がんばってよ。」
うん、分かってる。ちゃんと、やらなきゃね。望んだのは、君であって、自分でもあるから。
「こっち、向いて。ちゃんと目、見て?」
目。金剛石のように輝き、ゆらゆらと揺れるような透き通る目。
綺麗。その言葉が本当に合う目。
「えらいね。ちゃんと向けて。」
あったかい手が、頭に触れる。そのままするすると髪の流れに沿って撫でられた。
でも、もう最後かな。意識が吸い込まれていく。甘く溶かされていく。枷が外れて抵抗の文字も何もかも溶けちゃったから。前が真っ白に。大好きなその目が、見えなくなってきた。いつも言うのになぁ……。
もう血、ないよ。
桃
「やっぱ甘いね」
ほんとうに、甘い。甘すぎるほどに甘い、紅いもの。
これ以上は無理? 残念、お生憎様。こちらとて、辞める気はないよ。だって、ここまで甘いもの、手離したくないから。
苦しいの?そんなはずない。だって、善いって顔してるもん。声も、溶け込むような目も、ずっととろけるような顔。
「こっち、向いて。ちゃんと目、見て?」
ほら、もう抵抗しなくなった。正直になればいいんだよ。そうやってね。
大人しくしてれば善くしてあげるから。痛くないよ。
あぁ、ほんとう……いい顔。それに、甘くて甘くて、おいしい、血だね。……ご馳走様。
あれ。
動きが鈍くなってるよ。ほら、がんばってよ。なんで?なんで?話そうよ。
こんなにもすきなのに。愛してるのに。答えてよ。
俺の事だいすきで、愛してるんでしょ?
血、吸いすぎた?
起きてよ。ねぇ。やだよ。死んで欲しくない。元はと言えば飲んで欲しいって言ったのは君でしょ?眷属になりたいって言ったのは君じゃん。あぁ、最も、眷属にはする気なかったけど。眷属はいいものじゃないから。だから、善くしてたのに。
ごめんなさい。
首から流れ出続ける紅いそれを見ても、前のように欲は湧かず、ただただ虚しさが残る。
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ご閲覧ありがとうございました。
コメント
2件
んもう…なんかしゅごい… (語彙力喪失) なんかこう…程よく狂わせるのお好きですか???(語彙 以下略) さすがですわ…あんま見ないペアで新鮮()