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#体調不良
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#山中柔太朗
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仁人の薄れゆく意識の中で、重たい扉が勢い良く開けられる音がした。
太「吉田さん……っ!」
薄らと開く瞳には、息を切らせた太智が写っていた。
太智は仁人の姿を見るなり、迷わず駆け寄り、その細い体を壊さないように優しく、しっかりと強く抱きしめた。
太「吉田さん! しっかりしぃ! 目ぇ開けて、仁人……ッ…」
仁「太智……っ、げほっ、ごほ……ッ…」
太「無理に喋らんで良いから…!」
太智の胸の中でも、仁人は花を吐き出し続けた。
太智のTシャツが花弁で塗れていく。
仁「ごめん…俺、平気だと思ったんだけどなぁ…思ったより、ショックだったわ…」
太「そうやなぁ…」
仁「お前は、なんだかんだ言いながらも、こんな俺に…いつも優しく、してくれたよな…」
太「……」
仁「最後に独りじゃなくて、良かった…」
涙と花弁を纏い、仁人は喉を振り絞って話す。
そんな仁人を、太智は自身の胸に深く包み込むように強く抱き締めた。
太「……俺が吉田さんの傍におったの、ただの親切やと思う?」
仁「え……?」
太「俺、吉田さんのことがずっと好きやったんよ。勇斗の相談相手になってどんどんボロボロになってく姿、辛くてもう見てられへんかった。今だってそうや。こんなに傷付いてるお前のこと、放っておけるわけない。
仁「太智……」
太「勇斗のこと今すぐ忘れろとは言わへん。やけど俺の事も見てや。これからは、俺だけのために笑って欲しい…俺、ほんまに本気やで、仁人」
腕の中で、太智から初めて告げられた、真っ直ぐで温かい告白。
この世にこんな自分のことを好きでいてくれる人がいるなんて。
その事実が、驚きと共に仁人の心へと、深く優しく染み渡っていく。
その時。
仁人の胸の奥を締め付けていた冷たい塊が音を立ててひび割れ、溶けていくのが分かった。
胸の奥の痛みが、フッと消えた。
仁「……う、ッ…」
仁人が口内に感じた違和感にそっと口を開けると、端正に咲き誇った藍色のバラが一輪、ハラリと床に落ちた。
その直後、嘘のように胸の苦しみが完全に消え去った。
喉のつかえはもうどこにも残っていなかった。
床を見ると、大量に散らばっていた凍りついたピンクの水仙の花弁は、跡形もなく消え失せていた。
ただ一輪、深く鮮やかな藍色のバラだけが、コンクリートの上で静かに佇んでいた。
太「え? 吉田さん、何が起きたん…? 花が、……!」
目の前で起きた出来事に、太智は困惑したように目を丸くして床を見つめた。
仁人は自分の胸に手を当て、深く呼吸をした。
喉にはもう何の違和感もない。
そして、藍色の花の意味を漸く理解した。
仁「……太智…俺、分かったかも」
太「何を…?」
仁「俺…お前のこと、いつの間にか好きになってた」
仁人は涙の滲んだ目で小さく微笑んだ。
仁「俺の病気…治してくれてありがとう、太智」
花吐き病の最大の治療法は両想い。
仁人は傷付きながらも、知らず知らずの内に、自らの心へ新たな恋の芽を吹かせていたのだった。
太智は暫く驚きにポカンとして目を見開いていたが、仁人の言葉を理解すると、愛おしさが爆発したように優しく眉を下げ、仁人の頬を両手でそっと包み込んだ。
そして仁人の唇に優しく慈しむようなキスを落とした。
窓から差し込む夕日はいつの間にか、深く静かな夜の藍色へと移り変わっていく。
胸を焦がすような苦しい片想いは、もうどこにもない。
二人で紡いだ深く鮮やかな藍色の愛の花は、祝福するかのように美しい輝きを放っていた。
コメント
4件
初めまして。更新ありがとうございます。 藍色の薔薇の花弁は少しづつ芽生えた新たな想いだったのですね。生きられてよかった……幸せになってくれ……
しらすさん、更新ありがとうございます😻 最後はハッピーエンドって💙💛ってことだったんですね(*^^*)とっても綺麗なストーリーで一気読みしてしまいました!💙💛
💛さーんよかった〜😭泣けます〜😭 藍色の花はそういうことだったんですね‼︎ 💙さんと幸せになってほしい…✨