テラーノベル
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ポツリ、ポツリと雨は勢いを増して降ってくる。
「あ、雨…」
ちょっと心の傷が疼いてしまう。
通行人も少し足を早めたみたいなので、ぼくも足を早めた。
高校の授業中、降ってるのは分かってたけど、まさかこんなにとは。
お陰でスニーカーはグショグショだ。
ベトリ、と濡れた靴下が足に付く感触が気持ち悪い。
「うえ…」
あーぁ、最悪。
パシャ…パシャッ…
「ん…」
水音がして前を向くと長靴を履いて水溜まりで遊んでいる子供が目に入った。
(いいな…)
心の片隅で、そう思ってしまう。
トン
「あ、ごめんなさい、おにいちゃん、だいじょうぶ?」
え…?
「···おにいちゃん?」
「え、あ、うん。ありがとう。大丈夫。」
どうやらさっき見ていた子供がぶつかったみたいだ。
「君も、怪我は無い?」
少し微笑んで、この子に怪我が無いか確認する。
すると、
「おにいちゃん、わらった!」
「え、」
「おにいちゃん、さっきげんきなさそうだった。でも、わらった!」
え…?
この子は、ぼくの事を心配してくれていたのか?
子供ながらの優しさかな、と思いつつ、お礼を言う。
「ありがとう。大丈夫だよ。さぁ、お母さんの所に行きな。」
「〇〇、どこー?」
「あっ、ありがとう!ママー!」
そう言って、あの子は母親の元に駆けてった。
ぼくもこんな事してられない。
早く帰らないと。課題が今日も山積みなんだ。
急ごう。
ぼくは足を早めた。
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