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翌日の午後。
陽射しが柔らかく差し込むなか、いるまの家に集まることになった。
すちはまだ本調子でないみことを支えながら、ゆっくりと歩いてくる。
隣では、ひまなつがこさめの腕を引きながら笑っていた。
「昨日は色々あったしな、今日はまったりモードだな」
「うん……今日は走れない……」
こさめが小さく笑う。
玄関の扉を開けると、すぐにリビングかららんの声が聞こえた。
「お、おはよー……あ、いや、もう昼か……」
その声はかすれきっていて、まるで風邪をひいた後のようだった。
ソファにはブランケットにくるまったらんが座っており、半分眠たげな顔。
「昨夜から、張り切りすぎた……腰も声も、もうダメ……」
涙目で訴える姿に、こさめとみことが顔を見合わせる。
「こ、声ガラガラだね……」
「うん……実は、おれも……」
二人とも同じく喉を痛めたようで、言葉が掠れている。
「……さすがにやりすぎたか」
ひまなつが呆れたように言うと、いるまが気まずそうに頭を掻いた。
「……悪かったって。昨日は……ちょっと、な」
すちも申し訳なさそうに頭を下げる。
「ほんとにごめん。無理させた」
「まあまあ」とらんが手を振る。
「楽しかったからいいよ。痛いけどな……」
その明るい一言に、場の空気がふっと和む。
全員がテーブルを囲むと、ひまなつが用意した温かいココアの湯気が立ちのぼった。
「いやーでも、男に戻れて助かったな」
「うん。トイレとか服とか、いちいち大変だったしな」
「でもさ、あの時もそれなりに楽しかったかも…」
みことがぽつりと呟くと、みんな一瞬考え込んでから頷いた。
「メイクも服も新鮮だったし」
「ナンパされるのは嫌だったけど、モテたのは悪い気しなかったな」
「確かに、あの買い物の時とか、ちょっとテンション上がった」
次第に笑い声が増え、会話が弾む。
「でも、やっぱ今の姿がいちばん落ち着くね」
こさめが笑いながらココアを飲み、呟くと
全員が『だな』と同時に答えた。
窓の外では、日がゆっくりと傾き始めていた。
あの不思議で騒がしい数日間を経て、6人の間には言葉にできない絆が残っている。
――女体化も、騒動も、全部まとめて。
あの日々があったから、今日の穏やかな笑顔があるのだと、誰もが感じていた。
リビングに響く笑い声は、もう“元に戻った”彼ららしい、いつもの温かな日常の音だった。
__𝐹𝑖𝑛.