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「 不思議の国で会いましょう 」
子供の頃、眠れない日は、母さんに本を読んでもらっていた。
いつも、必ず 同じ本を選んでいた。
【 不思議の国のアリス 】
俺はこの本が好きだった。
聞き終えた後に、「もう一回」と何度もねだった。
母さんからすると、いい迷惑だっただろう。
眠い中、ほぼ毎日、同じ本を何度も何度も読まされたのだから。
本当に、申し訳なかったと思っている。
ピピピ…ピピピ…
pn
「…んっ……もう朝か、」
けたたましく鳴り響く、アラームを止める。
今日は、日常組のみんなと旅行へ行く日だ。
日常組+旅行といえば…そう。お察しの通り、京都である。
いつもは朝から出発しないが、今日は新幹線の都合上、朝からの出発になってしまった。
pn
「こんな早起きしたの、いつぶりだろ…」
そんな事を考えながら、ベットから降りる。
その時、しにがみから連絡が来た。
sn
〈ぺいんとさん!今日の集合、30分はやく来てください!〉
どうやら、集合時間が変更したようだ。
集合時間は8:00。現場時刻は7:03。
ちょっとやばいかもしれない…
家から駅まで、車でも最低30分はかかるというのに、まだ着替えもできていない状況。
pn
「なんで当日になって言ってくるんだよ…」
内心キレつつ、焦りつつ。
取り敢えず、しにがみに返信する時間も惜しいので、既読無視しておこう。
どうせ1時間後には直接会えるのだから。
pn
「一旦、顔洗うか…」
そう思い、洗面所へ向かった。
時刻 7:28
pn
「やばっ…もう家出ないと」
なんとか、30分以内に着替えも終わり、荷物も用意できた。
もし何か忘れ物をしていたら、全てしにがみのせいにしよう。
電気を消し、カーテンを閉め、家の鍵を持つ。
pn
(行ってきまーす)
心の中でつぶやき、鍵を閉めた。
時刻 7:33
走って階段を降りていった。
pn
「はぁ、はぁ、」
大きめの荷物を持ちながら走るのは、結構キツイ。引きこもりの俺にとっては中々の苦行。
タクシーが使えれば、直ぐに着くだろうが、なぜか今日に限って道路が通行止めになっている。
この道が使えなければ、車で行くとかえって遠回りになってしまうのだ。
だから仕方なく、走って駅まで向かっている。
pn
「色々タイミングが悪すぎる…
てか絶対間に合わないな…一回連絡しておくか」
そう思い、スマホを取り出すと、視界の端に小さな【何か】が映った。
pn
「…っ?今何かいた?」
ぐるりと周りを見渡すが、それらしき姿は見つからない。
pn
「気の所為か、」
花と勘違いしたのだろう。
というか、今はそんな事をしている場合ではない。急いで連絡しなくては。
そう思い、視線を落とす。
pn
「…えっ、? 」
足元に、フワフワした白いものがいる。
pn
「…ウ、ウサギ!!???!?? 」
驚いて、反応が遅れた。
先程の【何か】の正体は、まさかの【ウサギ】だったのだ。
俺の声に驚いたウサギは、茂みの方へ逃げていってしまった。
pn
「あっ!まって!」
野ウサギなんて初めて見た。
もっと田舎の方ならあり得るだろうが、此処はどちらかと言うと都会の方だ。
絶対にあり得ない!…とは言い切れないが、そうある事ではないだろう。
動物園から逃げ出したのか?
考えるよりも先に、勝手に体が動き、ウサギを追いかけていた。
pn
「う〜ん…何処行った…?」
さっきまで姿を追っていたのに、急に見失ってしまった。
確か、この辺りに入っていったはずなのだが…
pn
「…ん〜?……………、あっ!そういや今何時!?」
ふと我に返り、 スマホを取ろうとポケットに手を入れる。
…………ない。
そういえば荷物もいつの間にかなくなっている。
pn
(え、?落とした? 俺荷物も持たずに走ってきたんだっけ?
てか、なんで時間無いのにウサギをわざわざ追いかけてたんだ!?!??)
頭が混乱する。
なぜ今俺は手ぶらなんだ?
なぜウサギを追いかけていたんだ?
分からない…が、今はそんな事を考えている場合ではない。
早く戻らなくては。
そう思い、後ろを振り向く。
見失ったはずのウサギがいた。
真っ青な瞳は、泣いているようにも見えた。
目が合った。
それと同時に、俺は意識を失った。
??
「ら………ま、…、…な、いで………か?……」
何かの声が、途切れ途切れに聞こえてきた。
何かと話しているらしいが、話し相手の声は聞こえてこない。
これは…夢?
pn
「……っん、誰、?」
??
「!」
薄っすらと目を開ける。
薄暗く、何処か不気味な部屋だ。
広さもあまりわからない。
そんな部屋に、何かと俺がいる。
??
「目が覚めたようです。では失礼します。」
凛とした透き通った声だが、あまり生気を感じられない、何処か冷たい声だった。
全身が痛い…
痛みに耐えながら、ゆっくりと起き上がる。
pn
「君は、誰…? 」
ゆっくり顔を上げると、そこにいたのは、追いかけていたウサギだった。
いや、正確に言うと違うのかもしれない。
何故か二足歩行だし、喋ってるし…
pn
「………ってえぇぇぇぇ!!!????!!ウ、ウサっ、ウサギ?!?!歩いて、しゃべっ、えっ!?」
ウサギ
「こんにちは。いや、貴方からすればおはようになりますか?」
pn
「えぇ?何?どういう事?」
こちらが驚いているのに対し、あまりにも淡々と挨拶をするのだから、気が抜けてしまう。
そして、気が抜けたと同時に、猛烈な痛みが襲ってきた。
pn
「うっ!………っいったぁ…、!…… 」
ウサギ
「大丈夫ですか? ……そうですよね 。高いところから落ちたのですから。
安心して下さい。直ぐに治ります。」
ウサギが何か呪文のようなものを唱えだした。すると、俺は青い光に包まれた。
痛いのが全部、なくなっていく。
光が消えた頃には、自分で立てるほどに回復した。
pn
「…えっと、ありがとうございます、」
ウサギ
「いえ、礼なんてよして下さい。私の責任ですので。」
感情の読めない顔と声だが、この言葉に棘があるようには思わなかった。
pn
「えぇ…と、あの、色々聞きたいことはあるのですが、ここは何処ですか?
貴方は誰なんですか? 落ちたってどういう…」
俺が話しきる前に、ウサギは言った。
ウサギ
「安心して下さい。全て説明致します。」
ウサギ
「貴方は、先程までいた場所の事は覚えていますか?」
pn
「はい、まぁ…」
ウサギ
「此処は、貴方がいた世界とは違う、ちょっぴり変わった世界。不思議の国です。 」
pn
「…はぁ?」
ウサギ
「貴方はこの不思議の国に、王様によって招待されました。
私はこの国のいわば案内人です。そして、貴方側の世界から、もう案内は始まっていました。使いの者…青い瞳のウサギは分かりますか?」
pn
「ちょ、ちょっと待ってください!話が急すぎて何がなんだか…」
俺の話をよそに、ウサギは淡々と話を進めた。
【不思議の国】に【ウサギ】…?
なんだか既視感があるように思うが、何だったかは思い出せない。
ウサギ
「まぁ無理もないでしょう。王様のやり方は、少し強引すぎましたし…」
考え込むように、ウサギは下を向く。
その言葉を最後に、この部屋から音がなくなってしまった。
少しの間、気まずい、沈黙の時間が流れる。
そんな雰囲気に耐えられず、俺は口をひらいた。
pn
「あの、因みにどうやってこの【不思議の国】、?に僕を連れてきたんですか?」
ウサギと目が合う。
そして一言、ウサギは言った。
ウサギ
「…貴方は【不思議の国のアリス】という書籍をご存知ですか?」
pn
「え?、あ…は、はい。」
なるほど。先程感じた既視感はこれか。
だが、何故急にそんな話を?
まさか…
ウサギ
「簡単に言えば、此処はその童話と同じような世界です。
そして、貴方は、時空の穴に落ちて、此処へやってきました。」
pn
「えぇ、と、時空の穴…?」
ウサギ
「はい。不思議の国へ来るためのゲートです。」
自分で聞いておいてなんだが、ますます理解できない。
そもそも、童話の不思議の国はこんな世界だっただろうか?
少なくとも、もっとカラフルではなかっただろうか?
ウサギ
「理解できない、という顔をしていますね。
…そうですね。此処は、不思議の国。あるものがなくて、ないものがある。」
ウサギの声は、抑揚こそなかったが、優しさを感じる声だった。
ウサギ
「理解できないことがあった時は、ここは不思議の国だから、で乗り切って下さい。」
pn
「は、はぁ…わかりました……」
ウサギ
「ではぺいんと様。又後ほど。」
するとウサギは暗闇に溶け込み、消えていった。
pn
「え、ちょとまっ…!
……まだ聞きたいことあったのに…」
そんなこんなで、俺の不思議な、【不思議の国】での物語が始まった。
pn
「え〜…っと、どうしよ」
薄暗い部屋で一人。
正直言って、怖い。
一刻も早く、元の世界へ戻りたい。
pn
「そういやあのウサギ、案内人だとか何だとか言ってなかったか?なのに何でいなくなってんだよ! 」
藁にすがるような思いで声を出してみるが、虚しくもそれは、音として無に吸い込まれていくだけだった。
仕方ない、自分で何とかするしかないか…
辺りを見渡して見る。
すると、ネズミが通れる程の小さなドアを見つけた。
pn
「…ん?」
しゃがんでそのドアを開け、覗いてみる。
ドアの先はよく見えないが、そこに空間があることは確かだった。
この先に行けば、帰れるかもしれない。
そう思いたったが、この大きさで入ることはできないだろう。
pn
「どうしよ…どうにかして小さくなれたら…」
立ち上がった瞬感、頭に何かがぶつかった。
pn
「痛っ、って机?」
いつの間に現れたのだろうか?
いや、もともとあったのか?
薄暗い中だったからか、気づかなかった。
その机の上には、小さな瓶と紙が置いてあった。
紙には、〚私を飲んで〛と書いてある。
pn
「私を飲んで、って言っても…何か怖… 」
そんな事を思っていた矢先、ふと思い出す。
そういえば、童話でこの様なシーンがなかっただろうか?
アリスが瓶の中を飲み、小さくなっていた。
此処が本当に、ウサギの言ったように、【不思議の国のアリス】と同じ様な世界なら、これを飲めば小さくなれるのではないだろうか?
pn
「…う〜ん、、一か八かだ!」
此処で止まっていても仕方がない。
思い切って中身を飲んでみる。
ゴクッ、
…すると、みるみるうちに、身体が小さくなった。
pn
「すご…本当に小さくなった…」
この大きさなら、ドアにも入れる。
ドアノブに手をかけ回すと、“ガチャン”と開く音がした。
ドアの先には、大きな森が広がっていた。
ただ、森といっても、俺が知っているものとは少し違うようだ。
見たことないような植物や、木の実がある。
pn
「おぉ〜…何というか、…すごい世界…
葉っぱデッッカ…………いや俺が小さいのか。」
取り敢えず、先に進もう。
といっても、何処に行けばいいか…
そういえば、あのウサギ、『又後ほど』とか言ってたよな?
あいつにもう一度会えれば、元の世界へ帰らせてくれるのではないか?多分。
そう思っていた矢先_
??
「あの」
急に袖を掴まれた。
pn
「うわぁ!!!?!」
驚いて尻もちをついてしまった。
見上げると、そこには黒いフードを被った人がいた。
フードを深く被っているのか、顔がよく見えない。
??
「あ、ごっごめんなさい!驚かすつもりはなくて…」
pn
「あ、いや、気にしないで…
こちらこそごめ、」
…何かこの声、聞いたことある?
すると、タイミングよく風が吹いた。
彼のフードが、頭から離れ、顔が見えた。
pn
「……しに、がみ? 」
sn(?)
「え?」
少し長めの紫の髪に、キュルンとした丸い目と高い声。
服装は違うし、羽や触角は生えているが間違いない。しにがみだ。
sn
「あぇ〜…っとなんで僕の名前を…」
pn
「なんでって、お前何言ってんだよ?
俺だよ?俺!」
まさかしにがみも同じ様に、【不思議の国】に迷い込んでいたなんて!
そう喜んでいる俺とは正反対に、 しにがみはキョトンとするばかりで、全く俺の事は分からないようだ。
なんなら、俺の事を怖がっているようにも見える。
pn
「しにがみ…お前、俺の事分からないのか…?」
sn
「ごめん、なさい…貴方の事は本当に分からなくて。
…お名前をお尋ねしてもいいですか?」
彼は俯き、遠慮がちにそう言った。
pn
「えっと、」
「ぺいんとだけど…」
sn
「…ッ!」
その瞬感、彼は目を見開き、体は凍りついたように固まった。
と思ったら、俺に対して頭を下げているではないか。
sn
「ぺいんと様だったのですね、!
さっ、先程の無礼はどうぞお許しください!
本当に、もっ、申し訳ございませんでした!」
pn
「えっえ、何どゆこと?」
怖がっていたと思えば、今度は急に謝ってくるではないか。
しかも、ぺいんと【様】!?
もしかして、こいつは俺の知っているしにがみとはまた違うのか…?
どんな反応をするべきなのか、戸惑ってしまった。
pn
「ちょっ、頭上げろよ、急にどうしたんだよ!」
sn
「そ、そんな風に言っていただけるなんて…!
広いお心、感謝致します!!」
顔も声も名前もしにがみだが、俺の知っているしにがみではないっぽいな。
一体どういうことだ…?
そういえばウサギが、『理解できないことがあった時は、ここは不思議の国だから、で乗り切って下さい。』とか何とか言ってたな…
まぁ、そういうことにしておくか…
pn
「そんな改まらなくていいから… 」
sn
「そんなそんな!
別世界からのお客様、しかも王様直々にご招待された方に対して、失礼はできません!
今僕が話せていること自体、奇跡に近いのに…」
pn
「… え、別世界から来た事、知ってんのか?」
何故かしにがみは、俺が別世界から来たことを知っていた。
しかも、招待された事まで。
sn
「当たり前じゃないですか!南の島にいる筋肉、西の花園に住む黒猫ですら知ってますよ!
王様が国中にチラシを配り、歩き回って宣伝されていたんですから!」
pn
「…ちょっ、と待ってくれ、色々聞きたいことが多すぎる…… 」
筋肉と黒猫って絶対あいつらのことだろ…しにがみがいるなら、多分間違いない。
というか、王様は国中にチラシを配るほど、俺が来ることを楽しみにしていたくせに、全く姿を見せないではないか!
…そういえば、ウサギも王様がどうとか言っていた様な気がする。
もしかして、ウサギ何かじゃなくて、王様に会えれば、元の世界へ返してくれるのではないだろうか?
招待したのが王様なら、返すことだって容易であろう。
sn
「あの、失礼なのは分かっているんですが、ぺいんと様も意外と小さいのですね…
なんだか僕、嬉しいです!
こんな大きさなので、よくバカにされるんです…周りには僕より大きい子たちばっかで…」
しにがみは目を輝かせて熱弁している。
そういや、忘れていたが、俺は小さくなっていたんだ。
「元々この大きさではない」とは、流石にこの空気で言えない…
今は黙っておこう。
とはいっても、ずっとこのままの大きさは流石に困る。
身体も、元の大きさに戻さなければ。
…やらなければいけない事がたくさん出てきた。
しにがみに聞きたいことも山程あるが、今は此処で楽しくお喋りをしている場合ではないだろう。
pn
「あはは、…
あー、話の途中で悪いんだけど、俺行かないといけないところがあってさ、
だから、」
立ち去ろうと話を切り上げた。
だか…
sn
「お供します!いえ、させてください!!」
pn
「、え?」
sn
「僕たちみたいに小さい生き物は、周りの大きな生き物の標的です!
ぺいんと様は、【不思議の国】に来られたのは初めてですよね?
そんな所に、一人でいるなんて、獲物が食べてくださいと言っているようなものです!
だから…!」
まさかそんな提案をされるとは。意外と悪くないな。
正直、心細かったので助かる。
それに、この国に詳しい者がいたほうが、事が早く進むだろうと思い、条件付きで了承した。
pn
「う〜ん…うん!いいよ!
この世界に詳しい人がいたほうが、心強いし!
ただし条件がある。 」
sn
「な、なんでしょうか…」
pn
「俺にその変な敬語使わない。」
sn
「、、へ?」
拍子抜けした顔のしにがみは何とも間抜けだった。
そんなに意外だっただろうか?
確かにしにがみからすれば、少し特別な存在ではあるだろう。
だが、俺は別の世界のしにがみだからといって違う対応をしたくないし、されたくない。
なんだか歯痒いし。
sn
「いやいやいやいやいや!そ、そんな恐れ多いこと…できませんよ…!」
pn
「えぇ〜…ならせめて様付けはやめて?
無理なら俺一人で行く。」
sn
「うぅ…わ、わかりました…本当にお優しいのですね…!ぺいんと様、じゃなかった…さんは、!」
しにがみは、本当に嬉しそうにピョンピョン飛び跳ねて目を輝かせている。
そこまで嬉しそうにされると、こっちまで嬉しくなってくる。
恐らくだが、周りに小さな生き物がいなくて、寂しかったのだろう。
話しかけてきた理由も、仲良くなりたかったからかもしれない。…まぁ、俺が話をややこしくしてしまったのだが…。
pn
「じゃ行くか!」
そう言って、俺達は歩きだした。
sn
「ところで、何処へ行くつもりなんですか?」
ふと、しにがみがそう問いた。
pn
「う〜ん、取り敢えず王様のとこ?
何処かわからないけど…」
sn
「え、?ぺいんとさんって招待されたんですよね?
王様側から迎えに来てくれたりとかないんですか?」
pn
「いや〜、招待されたようで、されてないというか…
王様のことも全然知らないし… 」
sn
「??」
しにがみは俺のことを、「何言ってんだコイツ…」という目で見ている。
俺もこんな説明をされたら同じ反応をするだろう。
だが、これ以上に説明のしようがないので、気づかなかったふりをしよう。
pn
「あ、そうだ。
さっきしにがみが言ってた、南の筋肉とか猫とかって誰?」
何気に気になっていた事を聞いてみた。
誰かは大体想像できるけど、一応。
この際だから、気になることは全部聞いてしまおう。
sn
「へ?あぁ、僕の友人です。昔から仲よくて!
よければ紹介しましょうか?
あ、でもそんな事してる暇ないか…」
pn
「いや、大丈夫!その人たちに会いに行こう!」
会えるなら是非とも会って話したい。
もしかしたら王様の事も知っているかもしれないし。
sn
「いいんですか?」
pn
「う〜ん…良くはないだろうけど、王様何処にいるか分からないし!
此処を彷徨ってても仕方ないかな〜、と思って。」
sn
「確かにそうですね…
では、まずは南の島へ行きましょう!こっちです!」
すると、空気が切り裂かれ、真っ黒な空間ができたではないか。
その空間に向かって、風が流れ込んでいる。
pn
「え、え〜と…これは、?」
sn
「ワープゲートです!
ぺいんとさんの世界ではありませんでしたか?」
pn
「う、うん……ぇ、もしかしなくても、」
sn
「ここを通ります!」
pn
(う〜んですよねー!)
sn
「安心して下さい!多分無事に着けます!!」
pn
「え、多分?え、」
ギュッと手首を掴まれた。
sn
「舌噛まないようにしてくださいね!」
目と鼻の先にゲートがある。
風が思ったより強い。
しにがみが先に片足を入れて、俺の腕を引っ張った。
pn
「ちょ、ほんとに無理無理無理ぃぃぃぃぃぁぁああああ!!!!!!!!!!!!!」
ドンッ!
pn
「いっっっっったぁぁぁ…」
どうやら、少し高いところでゲートが開いていたようだ。
にしても、すごい空間だった。
一瞬で沢山の景色がコロコロ変わって、酔いそうだった。
sn
「うぅぺ、ぺいんとさん、重い…」
pn
「あ、ごめん!」
慌ててしにがみを起こし、辺りを見渡して見る。
そこには、青い空が溶け込んだかのような海が広がっていた。
太陽が燦々と照りつける、まるで真夏の様なところだった。
sn
「痛た…いや〜まさか下敷きにされるとは」
pn
「それは、ほんとごめん…
だけど、しにがみ!
お前ここ来る前に、『多分』無事に着けるとか言ってたよな!?『多分』って何だったんだよ!!ガチめっちゃ怖かったんだぞ!? 」
sn
「スリルあって楽しかったでしょう?」
ケタケタと笑うしにがみが何とも腹立たしい。
こっちは本気で心配したというのに!
pn
「ガチで死ぬのかと思って焦ったわ…」
sn
「まぁ、本当に極たまーーーに不慮の事故で死ぬこともあるんですが、ほぼ無いので安心して下さい!!」
できれば言わないでいて欲しかった一言だったので、聞こえないふりをしたおいた。
sn
「ではトラゾーさんを探しましょうか!
頭に袋を被った人です!すぐわかると思います!」
pn
「あぁ、やっぱり…」
想像していた通り、トラゾーであった。
といっても、この世界のトラゾーは、俺の事は知らないだろうが。
sn
「あれ?知っている人でしたか?」
pn
「え?あ〜、いや全然!探すか!」
とここで問題発生。
体が小さくて、その分、進むのが遅いのだ。
これでは日が暮れてしまう。
何とかして、大きくなれればいいのだが…
pn
「なぁ、しにがみ?
何か魔法でも何でもいいから、体大きくなる方法ないか?このままでは中々見つけられないぞ?」
sn
「ごめんなさい、ないんです…
今のところ、体の大きさを変えられるような技術はなくて… 」
その時、大きなキノコが生えていることに気づいた。そして、思い出した。
アリスが、キノコを食べて大きくなったり、小さくなったりしていたことを。
そういえば此処は【不思議の国のアリス】と似たような世界!
なら、キノコを食べれば、大きくなれるのではないか?
そうしたら、元の体の大きさにも戻れて、捜索も早く終わる。一石二鳥ではないか!
そう思い、一目散にキノコ向かって駆け出した。
sn
「えっ?急にどうしたんですか〜!」
慌てながら、しにがみもついてくる。
どうせなら、しにがみにも食べさせてやろう。
そう思い、キノコの表と裏をちぎる。
sn
「な、何やってるんですか?」
pn
「まぁ見てなって」
パクっと表側のキノコを一口。
すると体がグングン大きくなって、太陽が頭のすぐそこにある程の大きさになってしまった。
しまったやり過ぎた。
そういえば、アリスも一口で大きくなりすぎていたな。
取り敢えず、裏側の方のキノコをパクり。
すると体はグングン小さくなって、また小さな体に逆戻りした。
sn
「…えぇぇぇ!!!!今の何ですか!!?!!?すごい!!」
pn
「だろ?しにがみも、このキノコ食べてみろよ!
ただ、一口は食べ過ぎだったから…」
アリスはどうしていただろうか?
確か、少し舐める程度だったはず。
pn
「ちょっと舐めるくらい…」
キノコの表側を少し舐めてみた。
すると、また体は大きくなったが、さっきとは違い、丁度いい大きさで止まった。
そして、俺に続いて、しにがみも大きくなった。
sn
「す、すごい…!!大きくなった!!
…でも何でぺいんとさん、こんな事知ってたんですか?」
pn
「えっと、…まぁ、お前と出会う前に知ったんだよ、」
何となく、アリスの話をするのは気が引けたので、そこは濁しておいた。
別に嘘はついてない、多分。
pn
「それより、トラゾーを探そうぜ!
何処にいるか…」
その時、後ろから声をかけられた。
??
「俺の事探してんの?」
pn
「え?」
後ろを振り返ると、そこにはトラゾーがいた。
死神と同様、服装は違うが、顔と声はそのままだった。
sn
「あっ!トラゾーさん!」
tr
「よっ!しにがみさん!
…って何か大きくなった?……とこっちの人は…?」
やっぱりトラゾーも、俺の事はわからないようだった。
それでも俺は、トラゾーという存在がこの【不思議の国】にもいる事が嬉しかった。
sn
「ぺいんとさんです!」
pn
「初めまして〜」
tr
「…え!?ぺいんと…って、あのぺいんとだろ!?
招待がなんたら〜とかの、!」
pn
「まぁ、そうらしいっすね〜、」
しにがみの時と、全く同じ反応をしている。
今までの反応をみる限り、王様はとても位の高い存在なんだろう。
でも、本当になんでそんな人が俺を招待したんだ…?
取り敢えず、俺達は此処へ来るまでの経緯を、トラゾーに説明した。
sn
「てな感じでして、」
pn
「よかったら、王様のことについて教えてもらえないかな、と。
知ってることだけでも!お願いします!」
tr
「なるほどね?全然いいよ!」
トラゾーは快く快諾してくれた。
正直断られるかも、と不安だったので、安心した。
tr
「あと、ぺいんと?だよな!
此処で会ったのも何かの縁!仲良くしようぜ! 」
pn
「っ!ありがとう!」
別世界だろうと、変わらないトラゾー。
やっぱいい奴だな…
tr
「因みに、何でしにがみさんは大きくなってるんです?」
sn
「えっ?
まぁ、もうそれはね?いいじゃないですか!
説明してたら日が暮れますよ!」
tr
「えぇ?ま、いいけど…
で、ぺいんとは王様の事について、何を教えて欲しいんだ?」
くるりと体の向きをかえ、俺に向かって聞いてきた。
pn
「一番は何処にいるか、かな…
招待されてようにも、会えなきゃ話せないし」
tr
「あ〜…俺も何処いるかまでは知らないんだよな…
多分、西の方の城だとは思うが…」
sn
「でも王様、お仕事が嫌で、よくお城から脱走してません?」
tr
「そうなんだよな〜…」
中々に破天荒な人だな…
そんな人が王様なんて務まるのか?
と、勝手に心配していると、トラゾーが一つ提案をした。
tr
「王様の居場所が知りたいなら、クロノアさんに聞いたら?
クロノアさんのほうが詳しいと思うよ。」
sn
「あー、確かに?そういや、あの人お城近くに住んでましたよね?
ぺいんとさん、そうしますか?」
pn
「うん。そうしよう!
、よかったらトラゾーも来るか?」
せっかくだから、トラゾーの事も誘ってみた。
何となくだが、しにがみだけでは頼りない感じがするし…笑
tr
「え?じゃあ行く!
俺も久しぶりにクロノアさんに会いたいし」
sn
「決まりですね!
ではまたワープゲート通りますよ!!」
pn
「うぅ…またか…」
その時、また空気がきり裂かれて、真っ黒な空間が生まれた。
tr
「ぺいんと安心しろ。俺もこれそんな得意じゃない」
pn
「だよな…」
sn
「皆さん手を離さないでくださいね!
じゃ、行っきまーす!!」
pn
「ちょ、まだ心の準備が、って…」
pn・tr
「ぅわあぁぁぁぁ!!!!!!!!」
ドンッ!
pn
「っいったぁ…、…」
tr
「大丈夫か?ぺいんと。」
pn
「、うん…平気!」
本日2回目のゲートを通り、やってきたのは西の花園。(と、さっきしにがみから聞いた。)
花園、というだけに、花畑が地面いっぱいに広がっており、空をも覆い尽くす勢いだ。
こころなしか、花の色は黄と青が多いような気がする。
花の香りが鼻を優しく撫でるように香る。
何と心地よい場所なんだろう。
sn
「久しぶりに来ましたけど、やっぱりいいところですね〜!
王様が住んでいる場所なだけあるな〜!」
tr
「ですね〜!
さっ!クロノアさん家に行きましょう!」
sn・pn
「はい!/うん!」
歩き始めて数分。
クロノアさん宅に着いた。
花畑のあったところとは少し離れた、草木に隠れた家に住んでいるらしい。
秘密基地のような場所に位置していて、少しワクワクした。
ピーンポーン
チャイムを鳴らして数秒後。ガチャリとドアが開いた。
kr
「はーい…って、トラゾーとしにがみくん!?
えっ!?見ないうちに大きくなったね… 」
sn
「あはは〜!…お久しぶりです!クロノアさん。
まぁ色々ありまして…」
約一年以上前に書いたお話。ずっと眠らせていました。途中で飽きてしまったので、完結していません。ですが、頑張って書いたものだったので、せっかくなら、と思ったので投稿します。
ここまでの話では、全くBL要素などはありませんが、一応考えていた続きでは最後BLで締める予定でした。
続きはご自由にどうぞ。もし書いてくださる方がいらっしゃいましたら、喜んで。お好きに続きを書いてください。コメント欄にて反応頂ければ、拝見致します。
コメント
1件
わあ〜第2話、読んだよ!🥺💕 まず「不思議の国のアリス」をモチーフにした世界観、すごく素敌…!ぺいんとがウサギ追いかけて異世界に落ちちゃう流れ、童話っぽくてワクワクした〜。それにしにがみやトラゾーが別世界にもいるって設定、なんかほっこりするね✨ 特に印象に残ったのは、ぺいんとが「様付けやめて」って言うところ。優しさがにじみ出ててキュンとしたよ…!キノコで大きくなったり小さくなったりするシーンも、原作アリスへのオマージュが効いてて「そう来たか!」ってなった😭 ところで作者さん…「飽きてしまったので完結していません」って書いてあったけど、めっちゃいいところで終わってて続きが気になるよ!もし気が向いたらまた続き書いてほしいな〜…なんて。でも無理はしないでね!読めて嬉しかったです、ありがとうございます🌸