ずっとずっと一緒で大好きだった彼女が死んだ。
19の夜だった。
この日、僕は、彼女にプロポーズする予定だった。
指輪を見せると彼女は、嬉しそうな表情を浮かべて泣いていた。
彼女は、深く頷くと「帰ろ」そう掠れた声で言った。
嬉しい。やっと一つになれた。これから離れることもない。
二人で手を繋ぎ歩いて家に向かっていた。
後ろから、大きなブレーキ音がし、隣にいた彼女の姿がない。
前を向くと血だらけに染まった彼女がいた。
嘘だ。
彼女は、突っ込んできた車に撥ねられ吹っ飛んだ。
急いで駆け寄り彼女を抱き抱えた。
僕のシャツも赤く染まった。
虫の息のような彼女は、必死に
「ごめんね、ごめん。」そう言っていた。
そんな彼女を前に頭が追いつけなくて抱き抱えることしか出来なかった。
周りの人が救急車を呼んでくれたけど手遅れだった。
あー
なんで車道側を歩かせていたんだ?
なんて僕は、バカなんだ。
なんで死ぬのが僕じゃなくて彼女なんだ?
ねぇ?僕は、彼女の笑顔が好きなんだ。
得意な手料理を作ると美味しいってにこって笑っていってくれるのが大好きなんだ。
これからどうすればいいの?
ねぇ?誰か教えてよ!?
彼女がいない世界なんて考えられない。
それなら、僕もいっそ、、、
そんな強気を言った僕だけどもう五年も経った
僕の名前は、黄。
一度も彼女を忘れたことがない。
毎日つまらなくて死にたくて、でも死ぬのは怖くて、、、
ただ長い道路を一人で歩く。
あの日彼女と歩いた並木道。もう草木は枯れ、地面には落ち葉が散らばっている。
木のそばに腰掛ける。この道は車もあまり通らない。そのためもちろん人も通らない。
だからいつもこの木のそばに座って本を読んでいる。
この木の横を歩いていた時に彼女が撥ねられた
ここに来ると彼女が隣にいる気がして落ち着く
ここにくるのが生きがいだった。
「あのー」
そんな声が遠くでした。
顔を上げると青髪の美少年がいた。
「どうしました?迷いましたか?」
少年は、「いやー、なんか気になって」
とか言っていた。何が気になるのだろう?
黄「えっと、?」
少年「お隣いいですか?」
黄「あ、どうぞ」
少年は、僕の隣にそっと座りこちらを見つめてきた。
黄「お知り合いでしたっけ、?」
少年「あ!いやいや!赤の他人です!」
黄「失礼ですが、何をしに、?」
少年「あなたに惹かれました。」
黄「あぇ、?」
少年「いやー綺麗な人だなーって思ったら男の方だったのでお友達になりたいなーなんて。」
黄「、、、いいですよ」
少年「お友達になってくれるんですか!?」
黄「かまいませんけど」
少年「やったぁ!!ありがとうございます!」
黄「あのーお名前は?」
少年「青です!あなたは?」
黄「黄です。よろしくお願いします。」
嬉しそうに自分の自己紹介を話す無邪気さが彼女と重なって懐かしかった。
青さんといると自然と笑顔になれた。
笑うのなんて彼女が生きてたごろぶりだ。
青さんが彼女と重なって見える。
笑顔が似てる。なんか似てる。
黄「何歳なの?」
青「25歳!」
嘘。。一歳年上!?三個くらい下だと思ってた
彼女と歳が同じ。
それから毎日青さんは、僕の元へ来るようになった。
青「黄くーん!」
黄「青さん!」
青さんといる毎日は、本当に楽しくて彼女がいた頃に戻れたようだった。
こんなことダメだけど青さんを彼女と重ねてみていた。
そんなある日、
青「好きです、僕と付き合ってください!」
顔を赤らめて僕を真っ直ぐみてそう言った。
頬に温かい筋が流れた。
あの日彼女は、顔を赤らめて少し笑って言った
「黄ちゃんのことが好き!私と付き合ってください!」
彼女の告白を思い出してしまった。
青さんが彼女に見えて抱きついた。
「ごめんねッッごめんごめんねッポロポロ」
青さんは、混乱してどうすればいいのかおどおどして、僕の腰に手を回した。
温かい体に包まれて僕は、思いっきり泣いた。
彼女が死んだ時泣かなかった。いや泣けなかった。
青「どうしたの?」
優しい手つきで僕を木のそばに座らせ背中をさすってくれた。
黄「彼女がッッ彼女、死んだッ」
少し驚いたような顔をしたがすぐに僕の頭を撫で
「ゆっくりでいいから、話してみない?楽になるから!ね?」
そう言われてまた涙が溢れる。
久しぶりに人の優しさに触れた。
落ち着くまで背中をさすってくれて僕は、話した。
彼女のこと、彼女が死んだ後の周りのこと。
青さんは、静かに聞いてくれて、何も言わなかった。
青「黄くんが彼女のことがまだ好きでも僕は、黄くんのことが好き!」
青「嫌ならいいんだけどさ、試しに付き合ってみない?少しは楽になるかもよ、?なんて、無理だよね、」
嬉しかったけど、やっぱり、、、
青さんの今にも泣きそうに潤んだ目に負けて
黄「いいよ。」
青「、、、え!?でもッ彼女さんのこと、、」
黄「もう引きずっても仕方ないって思って、」
青さんは、僕に抱きついてきた。
満面の笑みで泣きながら。
あの日の彼女と同じ。気づいたら彼女と変換している、、
もうやめてよ、、、忘れさせてよ、
あんなこともう二度と思い出したくないんだ
その告白の日から青さんは、僕の家に来るようになった。
青さんといると毎日が楽しくて幸せだった。
喧嘩することもあるけどすぐ仲直りするしお互い大好きだった。
二年の月日が経ち、今でも幸せだ。
たが、一つ悩みがある。
最近、青ちゃんが彼女にしか見えないのだ。
青ちゃんが笑う度泣いてしまう。
酷いことだってわかってる。
でも勝手に目から涙が溢れてくる。
僕がなく度青ちゃんは、濁った表情をして背中を撫でてくれる。
辛そうだった。わかっている。
僕よりずっとずっと青ちゃんの方が辛い。
好きな人が自分を好き人に見立てて泣いている
でも青ちゃんは、弱音や反吐を一度も吐かないで背中をさすってくれた。
日に日に青ちゃんの笑顔がなくなっていく。
彼女のことは、さっぱり諦めたのに何故か思い出すと泣いてしまう。
今は彼女よりも青ちゃんの方が大好きだった。
辛そうな青ちゃんを見るのがつらくて、、、、僕の家に来る回数も減り寂しかった。
でもこうなったのも全部僕のせいだから。
ある日突然青ちゃんがやってきた。
二ヶ月ぶりだった。
目の下にクマができていて、やつれている。
久しぶりにみた青ちゃんが散々になっていた。
これも全部僕のせい。
青「黄くん、別れよ?」
一番恐れていた言葉だった。
青「僕のことみて思い出しちゃうでしょ、?」
黄「、、、ポロポロ」
青「今も彼女に振られたのがみえてるんでしょ?」
黄「愛してるッ世界で一番すきだよッ」
青「ポロポロその言葉も僕にじゃない。」
黄「ごめんねッッごめんなさいッポロポロ」
青「またね、さようなら。」
そう言い残し僕の家を泣きながら出て行った。
泣かせた。なんで言えなかったんだ?
青ちゃんが一番だってもう君しか愛せないって
悔やんでも仕方ない。きっと戻ってくることはないんだから。
どこにでもあるような話。
どんなに愛していてもすれ違ってバラバラ。
今時、珍しい話じゃないよな。
でも、僕にとってそんなに簡単なことじゃなくて。
また一つ失った。
なんか、もうどうでもよくなってきたな。
もうすべてがどうでもいい。
もう僕は、何も感じなくなった。
死にたいとも生きたいとも思わない。
彼女に会いたいとも彼に会いたいとも。
彼を失った日からすべてがどうでもいい。
そんなある日突然告白された。
してきたのは、同じ職場の赤さんという人。
たまに話しかけられる程度。
僕は、適当に流しているだけだし、きっと顔しか見てないんだろう。
顔だけか。。まぁいいや。
なんとなくOKした。別に好きでもないのに。
よくデートにも誘われた。
赤さんと話す時は仮面をつけていた。
ニコニコの顔の仮面。
あるデートの日。
赤さんが笑った姿が青ちゃんに見えた。
え?嫌だ。まただ。もうやめてよ!
なんなんだよ!どうして彼女じゃない!?
青ちゃんといるときは出てきたくせに!!
、、、僕が会いたい人?愛しい人?好きな人?
彼女から青ちゃんに変わったってこと?
ふざけるな!結局ないものねだりだろ!?
青ちゃんをあれだけ傷つけておいて?
今更なんだよ、?
もう自分が嫌だ。思いっきり自分の頬を殴った
赤さんはびっくりしてこちらを見ている
青ちゃんの驚いた表情を思い出す。
「もう出てくるな!!」
そう叫んだ瞬間足の力が一気に抜けそのままぶっ倒れた。
目を覚ますと病院だった。
精神科医の先生に囲まれて事情聴取された。
僕は、嫌な幻覚が見える。と訴えた。
その後詳しく話を聞かれたが少し嘘をついた。
彼女や青ちゃんのことを話したら哀れに思われるから。
そして、今日も思い出す。あの木の下の出来事を。
あそこは、僕の人生が詰まっている。
今日、行ってみようかな
赤が「明日デートしよ♡」ってきたけど誘いを断り木へいくことにした。
青視点
久しぶりだね。木さん。
もう冬が近づき枯れていた。
他の木も落ち葉が木の下に散らばっている。
「ごめんね。最近来れなくて。」
なんて独り言を言っても木は何も言わない。
黄くんと別れた後も僕は、毎日ここへ来ていた
昔のことも思い出す。黄くんは今家かな?
一人で大丈夫かな?ご飯食べてるかな?
最近は、寒くなってきたから葉が落ちる。
だから、秋くらいから落ち葉拾いを一人でやってたんだけど、最近来れなかった。
落ち葉拾いするかー
する理由?これが僕達に見えて嫌だから。
付き合ってた頃よく黄くんは、僕を見て泣いていた。
そのたび「ごめんねッッごめんッ」と泣いていた。
黄くんは、僕を愛してくれている。分かってる
心配や不安など一つもなかった。
けど、僕を見て泣いてしまうのが申し訳ないのかとても辛そうにしていた。
僕は、それでも黄くんがすきだから気にしなくていいのに。
でも、辛そうな黄くんは見たくなくて少しずつ家に行く回数が減った。
ある日僕は気づいた。
そうだ。僕がいるから黄くんは、辛いんだ。
僕がいなけりゃ彼女さんのことも思い出さないし。
もっと一緒にいたかった。でも黄くんを好きだから。愛しているから
黄くんは、驚いたような悲しいような顔をしていた。
「世界で一番愛してる」
ありがとう。僕もだよ、幸せになってね。本当はこう言いたかった。でも
「それも僕にじゃない。」
冷たくしないと黄くん、僕から離れられないから。
でもそれは僕の方だったのでは?と、今になって思う。
落ち葉拾いが終わり木に腰掛け本を読んだ。
落ち着くなぁ
見慣れた風景。
僕の人生が詰まった道を一人で歩く。
隣には、、、誰もいない。
一歩踏み出す度に思い出が蘇る。
人生で一番辛いと泣いたあの日、
突然声をかけられ久しぶりに笑えたあの日、
一番恐れてた言葉を聞いたあの日、
好きでもないのに付き合ったあの日。
どれも僕の思い出だ。
けして、消えることはない。
赤さんは顔で選んだとは言ったがとてもいい人だ。
僕と付き合ってても何も起きないだろう。
無駄な時間を使わせてるだけ。
今考えると青ちゃんと過ごした時間も結局なんにもならなくて、
僕が青ちゃんの人生を無駄な時間に使わせてしまったんだ。
どこで間違えた?やり直したい。もう一度。
彼女が死んだとき?
あの時事故なんだから仕方ないと気持ちを立て直せてたら今頃、青ちゃんと幸せに暮らしてる
青ちゃんの顔を見て泣いてしまった時?
君がちゃんと好きだ。と言ってあげられなかったから不安にさせた。悲しませてしまった。
赤に告白された時?
あの時、ヤケクソじゃなくちゃんと赤の気持ちに向き合ってあげれてたら、、、
僕の人生後悔ばっかだな笑
あれ、、、?僕泣いてる?
いい大人が何泣いてんだよ。バカ。
「え、、、?」
腕を掴まれ顔を上げる。
「、、、青、ちゃん、、、?」
目があってすぐ視線を下に向けた。
「黄くん、、、?どうしたの?」
青ちゃんの暖かい手の体温が頬に感じる
「嫌なことでもあった、?話し聞こうか?」
は、、、?
「今更なに、?バカにしてるの?」
こんなこと思ってない、!
言いたい、まだ忘れられない、好きだって
「僕は話し、あるよ?」
何も返せなかった。
「僕ね、君のために別れたけどね、
やっぱ、僕寂しいよ。
胸穴が空いたみたいに痛いの
わがままだと思う、また僕と友達になってくれないかな」
「僕のため、?友達、?恋人じゃなくて?」
「僕に申し訳そうな黄くんを見るのが辛かった。僕はずっと好きだけど黄くんが辛いならって、、、」
「ふざけないで!!」
「僕、、、青ちゃんのこと本気で好きだけど何故か泣いちゃうからそりゃ嫌だよなって、、、」
「あの時は彼女より青ちゃんの方が愛してたんだよ。ちゃんと。ポロポロ」
「こんな時まで素直になれなくてごめんポロポロ
でもこれだけは言わせて」
「辛い思いさせてごめんね。
大好きな青ちゃんのおかげで立ち直れた。
大切な思い出をくれてありがとう!」
「そして、、、さようなら、、」
それだけ言い残し僕はとにかく走った。
どこまで行ったかもわからない。
きっと今頃青ちゃんは俯いてただひたすら泣いている。
何度傷つければきがすむんだ。僕は。
僕との関係をキッパリ終わらせた今、
もう青ちゃんは
辛くならない
泣かない
悲しまない
笑わない、?
僕のために別れてくれるほど僕が好きだった青ちゃんがこれから普通に笑えるか?
今の僕みたいな状態になるんじゃないか?
それは嫌だ、青ちゃんには幸せに、、
そのためには、、やっぱり話し合わないと!
今更どうやって、?
青ちゃんはもう僕を嫌いになったよね
好きだったのはさっきまで、?
ならいい、自分で幸せになってくれるよね
「黄くん!!!」
名前を呼ばれて後ろに振り向く。
「青ちゃん、?」
なんでここに、?走ってきたのかすごい息切れしてる。
青ちゃんが追いかけてきた、?そんなはずは、
青ちゃんは追いかけるよなひとじゃ、、
「待ってよ!黄くん!僕ね、、、」
青ちゃんは下を向いた
そしてパッと顔をこちらに向けて
「好きだよ!!!今も今までも!
忘れられない!忘れたくない!会いたい!
抱きしめたい!きすしたい!手を繋ぎたい!
隣で歩きたい!!!!」
「もう一回やり直せないのかな、?僕達。」
「僕も今も今までもずっと好きだった。
多分僕も青ちゃんと同じ気持ち、、、ポロポロ」
「僕達、やり直そう、?」
青ちゃんは深く頷いた。
涙が止まらなくて
苦しくて
でも嬉しくて
「青ちゃん!」
そう言って僕は青に抱きついた。
その後二人で家にかえり
青ちゃんの体温を感じながら眠りにつく。
青ちゃんは青ちゃんで彼女にはもう見えなかった。
赤には「友達に戻れないかな?」と電話するつもりだ。
赤には悪いことをしたがいい子だからすぐ彼女くらいできるだろう。
これからすれ違うこともあるかも知れない。
でも、僕達はもう離れない。
長くなりすぎました笑
読むのお疲れ様でした!
ここまで読んでくれたあなたには感謝しかありません!!
ほんとにありがとうー!!✨
それではまたいつか、
グッバイ!
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