注意事項
・この作品はwrwrd様の二次創作です。
・本人様とは関係ありません。
・検索避けに協力してください。
・軍パロです。
・喧嘩要素が含まれます。
・虐め・スパイ・暴力表現が含まれます。
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コンコン。
em「どうぞ」
ゆっくりと開く扉の奥から、彼は現れた。
いつもの太陽のような彼ではなく、
月…いや、真っ暗な夜空のような彼であった。
em「どうしました?」
ci「…emさん、疲れた」
emの服を弱々しく掴む彼は、ぽつりと呟いた。
em「今度はなんですか?」
ci「…全然、上手くいかへん、」
emの胸に頭を埋めて、彼はそう言う。
emは、よく彼の愚痴を聞いていた。
愚痴…とemは思っているが、実はこれは、
彼なりのヘルプサインなのだ。
だが、鈍感なemはそれを理解することは無い。
em「とりあえず、飲み物でも入れますね」
「そこのソファに腰をかけててください」
子犬のように抱き着いている彼を引き剥がして、ソファに座らせる。
彼は、ソファに置いてある丸くて茶色のクッションを代わりに抱いた。
em「はい。お茶です」
ci「…ありがと、」
お茶を1口。ふぅと息を付けば、彼は話を続けた。
ci「…俺、弱いのは自分でも知ってんねん」
「でも、頑張っとるのに…」
どうして、と頭を抑えながら呟く彼。
emは、それを呆れることなく聞き続けた。
それが、emの中の優しさであった。
でも、その優しさは彼の救いとはなっていない。
そう。励ましの言葉が無いのだ。
emは、小説でこんな事を読んだ。
「辛い時は1人が1番楽であり、他人の言葉なんて要らない」
その一文から、emは彼の話を聞くだけであった。もちろん。emは彼のこの愚痴がヘルプサインであることを知らない。
ci「……ぐすッ、、」
em「…あ、もうこんな時間ですね」
「食堂に行きましょう。夜食です」
ci「…あッ………うん、」
emは書斎のランプを消し、淡々と歩き始めた。
彼はと言うと、そんなemの隣に行きたくて、駆け足で近付いた。
そして、しばらく歩くと廊下に何人かの人影が現れた。
彼はそれを見るなり、足を止めてemから少し離れた。
shp「おー、emさん」
ut「em、見てや、shpまた怪我してん」
em「ええ、気をつけてくださいよ?」
emは優しくshpの頭をヘルメット越しに撫でた。
em「shpくん本当にぼーっとしがちですから」
「でも、頑張りはすごく分かります、お疲れ様です」
shp「いえいえ」
emは、shp utと並んで食堂へ入っていった。
そんな光景を彼は離れた場所から見ているだけであった。
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それからも特に変わらない毎日であった。
いや、変わらないというのは嘘であるが。
em「……ん?」
幹部棟から少し離れた場所が見える窓から。
そこで、emは目撃する。
em「…ciくん、?」
それは、後輩の彼が一般兵から暴力を受けている姿であった。
窓に手を当てて、必死に見る。
彼は意識が不安定であり、丸まっていた。
その丸まった背中を一般兵がゲシゲシと蹴っていた。
一般兵の人数は4人。対して幹部の1人。
幹部と言えど、彼は1番の新人であり、非戦闘員である。
emはインカムにて、皆の報告をした。
そして、苦手であるが、全速力で走り出した。
今すぐ助けに行かねば。
鈍感な彼であるが、すぐさまそう感じた。
走るのが苦手であるため、すぐに息が上がった。
だが、彼はもう目の前。
em「君たちッ…なに、してるんですかッ、」
そう尋ねれば、一般兵はemを見て、逃げ出した。
1人残った彼の隣に座り、頬をなぞる。
em「大丈夫…では、無いですよね、」
ci「em……さん、?」
em「喋らないでください、口元の傷が開くかもです」
ci「おおげさ…、そんないたくない」
丸まった身体を伸ばして、彼は起き上がった。
破れた服からは、痛々しい痣が見られた。
痛くないなんて、嘘に決まっている。
em「…ほら、私にもたれかかってください」
ci「……へいき」
em「嘘言わないの」
彼を無理矢理抱き寄せて、肩に彼の頭を乗せる。辛そうな呼吸音が耳をくすぐる。
em「もう大丈夫です、皆にも報告しましたから」
ci「……は、?」
彼に突き飛ばされる。
emは大きく目を見開いた。
どうして?と思ってのだろう。
ci「…な、なんで?い、言わないでって、言ったじゃん、」
em「…え、?」
そう。
emは彼の話を深く聞いていなかった。
彼が話を聞かれたら楽になると思っていたため、適当に相槌をうったりしていたせいである。
彼は、愚痴の中に、虐めの事を伝えようとしていた。
助けて欲しいと。もう辛いと。
でも、emはただただ相槌をうつだけ。
だからこそ、今虐めについて気づき、約束も破ってしまったのである。
ci「な、なんで…言っちゃうの、」
em「いや、でも…言わなきゃ、」
ci「言ったら、俺…もっと酷くされちゃうの!!」
地面をダンッと叩く。
砂埃が舞い、彼を包み込んだ。
ci「思ってたけど、やっぱりemさん、俺の事嫌いだよな、」
「話、全然聞いてる感じしないし、相談しても、アドバイスくれないし、」
「それに比べてさ、shpはどうよ?」
「あっちから相談しなくても、アドバイスとか褒め言葉とか出しちゃってさ」
「…俺の事嫌いならさっさと言ってよ、」
em「ち、違います!!嫌いとかじゃなくて!!」
ci「じゃあなんなの!!」
「俺とshpで、扱い方全然ちゃうやん、」
そう言われて、emは気がついた。
彼の話にはただただ耳を傾けるだけ。
shpの話には自身から入り込む。
emは同じように接していると思っていた。
でも、それは違った。
現に、彼は崩れそうなくらいに涙を零していた。
ci「なんなの…、もう、おれ、だれもしんようならんわ、」
「emさんだけ、しんようしてたのに、」
em「…ciく、」
バチンッ。
頬がヒリヒリと傷んだ。
彼はボロボロと涙を零しながらemを叩いた。
そして、背を向けて走り去ってしまった。
今ようやく到着した幹部の皆は、状況が理解出来ず、その場に立っていた。
shp「…ワイが、どうかしました、?」
zm「emさん大丈夫かぜ!!」
ut「なんや?虐めちゃうん?」
rb「とりあえず、emさん大丈夫そ?」
手を差し出されて、それを握る。
本来、されるべきなのは彼である。
…と、emは心を痛めた。
1番傷ついているのはciくんなのに、何故私が助けられているのだろうかと。
em「…あ、」
そこで、emは思い出した。
「言ったら、俺…もっと酷くされちゃうの!!」
彼は、何処へ走り去ったのだろう。
emはゾワッと背筋が凍り、走り出した。
そんなemを見て、追いかけるように皆も走り出した。
zm「なに!?どういうことやemさん!!」
em「ciくんをッ…探してくださいッ、」
zm「りょーかい!!」
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ボタボタ。
鼻から血が流れ出る。
ここは軍地から離れた森の中。
そこに、彼と例の一般兵はいる。
mb「あーあ。言っちゃったんだ〜」
mbb「で?自分から殺られに来たんだ?」
一般兵…というのは嘘でもある。
コイツらはスパイである。
C国。元々彼が居た国である。
そこから、彼を奪いにスパイが来たらしい。
mb「待てよ、殺っちゃダメだって」
mbb「そうだぞ、総統様に奪ってこいって言われたんじゃん」
mbb「いや、でもこいつ痛ぶんの楽しくね?」
mb「それは分かる」
木にぐるぐる巻きで固定されているため、抵抗はできない。
いや、まず彼は抵抗をしない。
ci「う"ぇッッ……げほッ、、」
mb「汚ぇな、ガムテープ頂戴」
ガムテープを乱暴に口にはられる。
特徴的な瓶底眼鏡は踏まれて割れ、誕生日に貰った大切な懐中時計は壊れて針が動かなくなってしまった。
それと同時に、彼の心も壊れてしまった。
彼は瞳に光を宿すのをやめている。
信用していた光、emに裏切られたことが関係しているのだろうか。
その光が、また宿ることを願って。
em「ciくんッ!!!!」
パシュッという音と元に、スパイは倒れた。
彼は音の方に目を向けた。
そこには、あの、大好きな光があったのだ。
ci「…ん"ぅ、、ぐッ、、」
em「ciくん!!今解きますね、!!」
元々不器用なemは、ぐるぐる巻きの縄を解くのは一苦労である。
指が掠れて、皮が向けていた。
でも、emは彼への想いを変えることは無い。
ci「ん"ッ…ぅ”、ん、」
em「す、すみません!!痛いですか、!!」
ci「ん"…んぅ、、」
emは縄から手を離し、ガムテープをそっと剥がした。
ci「ぷは"ぁッ……、」
em「すみません、今解きますから!!」
ci「………、」
彼は、ぼんやりと映るその視界で、綺麗な白い瞳を眺めていた。
zm「emさーん!!…と、ci!!」
sho「おった!!」
rb「救急箱持ってきたぞー!!」
ut「sn準備してくれとるよ!!」
皆も駆け付けてきた。
彼はほわほわと心を暖めた。
zm「emさん、コイツら射抜いたん?」
em「え?はい」
「あ、言うても麻酔銃ですよ?殺ってません」
sho「うへぇ〜、すご!!」
shp「emさん、解くの手伝う」
em「ああ、すみません」
ワイワイとうるさくなる耳がほわほわと暖まる。
シュルッと縄が解け、倒れる身体をemに預ける。
emは持っていた上着を彼にかけて、抱き上げて森から出た。
走っているようだが、揺れないように走ってくれていた。
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ci「emさん、前、叩いてごめん、」
em「いえ、私も助けれなくてごめんなさい」
これは、新人と教授のすれ違う物語。
リクエストありがとうございました🙏🙏
いや、ホント途中から物語性失ってもた😭
もっと感動表現を入れたかったですね。
関係ないんですけど、今からお散歩行ってきます👋
コメント
18件
どぉぉえええ!!! もう、本当に好き、、、ci君はこれからどうやって幹部たちの事を信じていくのかめっちゃ気になる…!Shp君との差でci君悩んでそうだから余計感情突入した😭😭神作をありがとう🫣🫶🫶