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試合中盤
鴎台のブロックが厄介さを増してきた。こちらのローテに合わせ配置を変えて来たから。
摩浪『(2枚からの3枚ブロックはとんでもない脅威なんだよなぁ)』
人の壁とは言えど高さと圧と幅は他のブロックの比じゃない。こっちの攻撃がどれだけ高かろうと速かろうと、あっちには然程関係ない。
摩浪『(あー、今度は俺マークされてる)』
今までにないくらいワンチされるからムズムズする。でも、それを突破出来たらむっちゃ開放感あって楽しい。ブロックの上からボールを叩きつける。
侑「ナイスっ!」
摩浪『ナイストス』
スパイクは決まったけど、まだ幸くんを振り向かせられない。
摩浪『絶対振り向かす』
赤木「恋か」(笑)
だけどちょっとここで問題発生。
白馬さんのスパイクにワンチした時、手から血が出てきてしまった。
摩浪『ありゃま』
治「ありゃまやないわ!出血やぞ!」
白馬「すんませんっ!」
摩浪『大丈夫っす』
赤木「ひとまず交代しよか」
俺と銀さんの交代。幸いにも、あと1点でこっちが1セット目を先取できる。それに銀さんなら大丈夫。
監「信介、付き添い頼むわ」
北「はい」
右手にタオルを巻きコートを離れる。
少しジンジンする。今はそれだけで済むだろうけど後から絶対痛みが増してくるはず。
北「大丈夫か?」
摩浪『今はなんとか』
北「診てもらわんと分からんな」
摩浪『はい』
北「(早く試合に戻りたいんやな)」
医務室に到着し処置をしてもらった。試合に出ても問題は無いが、出来るだけ強い衝撃は与えないようにとのことだった。
摩浪『早く行かないと』
北「摩浪、焦るな。あいつらなら大丈夫やから」
摩浪『ですね』
コートに戻ると丁度1セット目が終わってた。そんでそれぞれがベンチに戻って休憩の真っ最中。
摩浪『戻りました』
治「どやった?」
摩浪『出ても問題は無いです。ただ強い衝撃は与えないようにだそうです』
監「次のセットどうする?」
摩浪『一時、銀さんのままでお願いします』
俺がリセット出来るまで銀さんに入ってて貰うようにした。
そんでもう1つ彼らに伝達。
摩浪『自分にサーブが回ってきて、それプラス鴎台の10番さんが後衛にいる時、彼を狙ってサーブしてください』
稲レギュラー「了解」
次のサーブは侑さん。彼は俺の伝達通り、いや、それ以上のサーブを打つ。攻撃意識がある状態の彼を取れる球でレシーブを引っ張り出した。でも、鴎台に「もう一度」は無い。それに加え、尾白さんの攻撃はシャットアウト。
摩浪『(でも大丈夫。北さんも言ってたから)』
だから俺も攻撃も守備も止めない。彼が絶対決めてくれることを知っているから。
だが、それを幸くんが許さない。
摩浪『うぃ~⤵︎』
昼神「可愛い~」
摩浪『…あんた変わりましたね』
昼神「そう?」
少しだけ会話をしていると笛の音が鳴り、稲荷崎側のタイムアウト。
ベンチに戻ると少し真剣な顔をしていた尾白さんが見えた。いつもはコートキャプテン兼ムードメーカーとして稲荷崎の士気を上げてくれる彼だけど今回に限っては少し静かだ。
摩浪『(んー、、リセットしようとしてると思うけど、彼が静かなのは落ち着かん)』
赤木「うおーい!アラーン!」バシッ
尾白「アダッ!何すんねん!?」
赤木「百発百中決められる奴なんておらん!凹むなエース!」
治「そうですよアランくん!」
赤木さんを筆頭に双子先輩も他のメンバーも声を掛ける。そのおかげで、普段の彼に戻ってきた。
摩浪『(こっちは大丈夫そうだけど、やっぱり幸くんをどうにかしないと)』
タイムアウト終了。
まずは幸くんをって思ってたけど、それよりも先に尾白さんが攻撃を決めてくれた。最初はプッシュ、次はブロックを吹き飛ばす。やっぱうちのエースは最強だ。
摩浪『エースって良いなぁ』
侑「摩浪もウチのエースやん」
摩浪『んー、ちょっと違うかもです』
侑「なにが?」
エースって言われると切り札って感じがするけど、俺はそうじゃない。
摩浪『俺はエースじゃなくたっていいんです』
稲荷崎でチームのためにプレーするのみ。
俺はもう一度跳んでスパイクを打つ。
昼神「こっちにもよく跳ぶチビ」
摩浪『そりゃどうも(˙⩌˙)ンベ』