桃 24
赤 23
ある夏休みのできごと。
母親の調子が良くないと連絡が入り、俺は生まれ育った田舎へ足を運んだ。
桃「 ぁっ つ ~ …」
外の気温は35℃前後だろうか、俺はガソリン代など気にせずエアコンを18℃に設定する。
田舎育ちで暑さに耐久があるとはいえ昨日までずっとエアコンに囲まれながら過ごしていた俺の体は温度変化に追い付けなかった。
桃「え、まだあの木残ってんだ..」
幼なじみとよくのぼっていた大きな木が10数年たっても立派に育っている、幼少期の懐かしさを感じながら車通り少ない道をひたすら走っていると道端で座り込む少年が視界に写った。
桃「ッ…っと..これはやばいやつだよな..」
そう呟きながら車を道路端に止め 横たわりかけている彼へ駆け寄る。
桃「あの、大丈夫でs..」
桃「え、?」
俺の目の前にいるのは、幼稚園からの幼なじみで初恋相手の赤だった。
小さすぎて子供かと….
赤に会えたのは何年ぶりだろうか、
赤「..ッ..っ はぁっ..んっ.. けほっ..」
いや、そんなこと考えてないで助けねぇと。
過呼吸気味だろうか.. いや、喘息..?
桃「赤 ~.. 聞こえるかー?」
名前を呼ぶとビクッ っと跳ねて ぐだっ と脱力し俺に体を任せてきた。
桃「久々の再会がこれかよ、」
赤は驚くほど軽くて痩せこけていた。
いま気を失ったのもだが、手足に大きめな絆創膏や痣も少しあるのが心配。
ほっとく訳にもいかず助っ席に乗せて実家へ連れて行くことにした。
(そういえば赤って父親の店継ぐとかで地元離れなかったんだっけ..)
シートベルトを付けさせ頭に負担がかからないように俺のカーディガンを丸めて枕にした。
桃「よし っ .. ついた 」
家に着き赤を抱えながらインターホンを押す
桃母「はぁ ~ い..」
ガチャッ.
桃母「あら、桃いらっしゃい」
桃母「その子は..?」
桃「あー、幼なじみの赤覚えてる?」
桃「こっち来る時に見かけてさ、」
「とりあえず話は後」っと伝え俺は赤を抱え家の中へ進んで行った。
赤「はぁっ..はぁ..っ..」
自室に着く頃には意識が戻っていて顔をひそめながら肩で息をしていた。
桃「呼吸荒いな..」
ベッドに寝かせ軽くすすったり手を握ったりして赤を落ち着かせる。
数分経つとまた脱力し焦ったが今度は眠っているだけだった。
母親用に持ってきた医療バッグを漁り心拍数だけ常に測れるようにして起きるのを待つ。
数十分経っても起きる気配がなく、俺は話をしに母親の元へ自室を後にした。
桃母「あら、もう大丈夫なの?」
桃「うーん..わからない、」
桃母「あの子(赤)随分雰囲気が変わったのね..」
桃「きっと訳ありなんだよ、起きたら話聞いてみる」
桃母「そうね、私の事はあの子が落ち着いたらでいいからね」
桃「昨日よりかは落ち着いてる?」
桃母「ええ、また苦しくなったらすぐ言うわ」
桃「まじいつでも言って、大丈夫だから」
桃母「頼もしいこと笑」
そんな雑談をしていると
バタンッ!
桃「ッえ?」
桃母「上かしらッ」
何かが倒れる鈍い音が聞こえ俺は急いでリビングを後にし自室へ向かった。
桃「赤、!?」
赤「..ッ!? やッ..やだっ…!!」
赤「来ないで..ッ..!..ポロ..」
床に倒れ込む赤は酷く怯え俺を拒絶している。
赤「やだぁっ..痛いっ…ポロポロ..」
きっと近ずいてはいけない。
そう赤の状態を見て察した俺はひたすら声をかけ続けた。
赤「かひゅッ..ん゙ぅ..はぁっ..けほっ」
赤「..たすけッ..て..ポロ」
桃「赤ッ!大丈夫か?桃だよ、覚えてる?」
赤「ッ..はぁっ..さとッ..桃く..ッ..?..ポロ..」
桃「そう、桃。近ずいてもいいか?」
赤「桃くッ..助けてッッ..!!ポロポロ..」
赤「ッあいつが 来ちゃうッ!!..けほッ..ポロ」
あいつ..? 来ちゃう..? 誰かに追われてるのか?
痩せ細った体.. 体の傷..、監禁..? 虐待..?
どちらにせよやばいよなこれ、、。
桃「赤?ここは安全」
赤「安全ッッ..?..」
桃「鍵も閉まってるし、赤のこと守るよ」
赤「ほんとにッ ?」
桃「あぁ。」
赤「鍵ッ..鍵かけてない..」
桃「かけてあるよ」
赤「かけ忘れてるかも ..」
桃「赤おいで、確認しにいこう。」
赤「でもこわいッ..!ポロ」
桃「じゃあやめとく?」
赤「殺しにくるッ ッ !!ポロポロ」
これは確認させないと落ち着けないな、笑。
桃「赤のこと守るから一緒に確認してみよ?」
赤「うん…ッ」
赤の手を取り玄関へ向かおうと廊下を歩いた時に嫌な予感が脳を走った。
母親の声ともう一人の聞き覚えのある声。
赤を見ると手から足の先まで震えだし真っ青になっていた。
赤母「あら、赤ここにいたのねニコ」
桃母「たまたま通りかかったそうなのよ」
赤「..ッ…ぁ..ッッ.」
桃「赤っ!」
赤母「あんた早く帰るわよっ!」
赤母「桃くんごめんねぇニコ」
桃「すみません、赤は返せません。」
赤母「どうしてよ~!大丈夫よ?ニコ」
桃「医者として赤の状態を見なくちゃなので」
桃母「らしいのよ~ だから少し赤くん預からせていただくわね、?」
赤母「勝手なことしないで頂戴!!」
赤母「あの子がいないと私ッ..」
桃「この傷はなんですか?この体型も..」
赤母「それは…」
赤母「赤がゆうこと聞かないから少しだけ叱っただけよ、」
桃「貴方がやったって認めるんですね..」
赤母「でもっ!そんな少しだけだし、、」
こいつ..こんなのが少しだけって…。
まあ、この録画を渡せば一発だし、、
そろそろ来るか?
ピンポーン
桃母「はぁーい、、」
警察「警察でーす。」
桃「すいません、この人虐待と監禁です。」
警察「わかりました、とりあえずお話聞くので君は署まで行こうか」
赤母「なんでよっ!ちょっと!赤!!」
赤「ッッ!? かひゅっ..けほっ けほっ..、」
桃「大丈夫だからな?ゆっくり呼吸しろ」
赤「ん゙ッ…はぁ..げほっ…」
桃「もう来ないよ お母さんは」
赤「ほんっ ..と、?ポロ..」
桃「うん、俺が傍にいる」
赤「んっ..んっっ…ポロポロポロ..」
桃 ギュッ「よく頑張ったな、」
赤「 ぁ..う…ポロ…」
それからはずっと俺の腕の中で涙を流した。
心を開いてくれた証だし嬉しいんだけどずっと泣いてるし脱水がこわいな、とりあえず水飲ませるか。
桃「母さん、水持ってきてくんね?」
桃母「はいはい、ちょっと待っててね」
赤「んっ…ポロポロ」
桃「赤ー?水飲めそう??」
赤「んぅ..ポロ….」
だめだ、、かわいすぎる、。
こんなこといま思っては行けないのだろうけど可愛すぎる赤が悪い、。←しっかり片想い中
桃「ほら、飲みな?」
赤「ん…ッ..」
震えて上手く持ててない赤の手とコップを握って赤の口へ運ぶ。
ゆっくりだが飲んでくれて安心した。
桃「落ち着いた?」
赤「うん…ッ」
桃「まだ怖いか、笑。」
赤「ちょっと..だけ..、笑」
下手な笑顔。
昔はこんなんじゃなかったのに。
赤は向日葵のような明るい性格でずっとニコニコしていた。
あの母親がそんな赤の心と笑顔を壊したと考えれば考えるほど怒りが込み上げてくる。
赤「桃く、?..」
桃「あ、ごめん笑」
桃「疲れただろ、ベッドで寝る?」
赤「うーん、、座ってたいかも、笑」
桃「そっか じゃあリビング座ってな」
赤「ありがとう、」
それから赤は俺が母親の診察をしてる所をリビングの椅子から眺めひたすら ぼーっとしていた。
桃「赤、ごはん何がいい?」
赤「俺ッ..食べない….から..大丈夫..」
桃母「えぇ〜!食べなよ~赤くぅん」
赤「でもッ」
桃「そんな遠慮要らないって笑」
桃「俺ら付き合い長いだろ?笑笑」
赤「まぁ、そうだけど…」
赤「ほんとにいいんですか、?」
桃母「もちろよニコ」
赤「じゃあ、、お言葉に甘えて..」
赤「俺なんでも食べれるので大丈夫ですニコ」
桃母「わかったわ~!美味しいの作っちゃう!」
桃「体調悪くなったら言うんだぞー」
桃母「はいはい笑」
桃「俺一回部屋行くけど赤は?くる?」
赤「あ、うん、!!」
自室に戻り赤をベッドに座らせ 家から持ってきた物達を整理するため鞄を漁る。
そういえば赤の傷の手当が終わっていなかった。
桃「赤?」
赤「なにぃ」
桃「お前怪我してない?大丈夫??」
赤「あ..あー、..うん し、してない!」
相変わらず嘘が下手な様で。笑
そこは変わってなく安心した。
桃「どこ痛いの、笑」
赤「….腕..かな」
桃「ん、見せて?」
赤「…」
桃「まあ、深くやりましたねぇ、」
桃「沢山耐えてたんだな、辛かったろうに。」
そこには何本と傷に重なる程の自傷の後が腕いっぱいに広がっていた。
赤「ッ…ポロ」
赤「中々やめられなくて、..」
桃「そっか、」
赤「あとね、夜も悪夢を見てね…あと…」
話を聞きながら手際良く消毒をし包帯を巻いていく。
内科だが、外科も勉強しといて良かった。
桃「あのさ、赤」
桃「俺ん家住まねーか?」
赤「え、?」
その言葉を放った瞬間 赤の目が少しだけ光った気がする。
何にせよ赤にとっては悪い提案ではなさそうだ。
赤「いいの…?でも、迷惑かけちゃうよ..」
桃「まあ俺が居るし大丈夫っしょ笑」
赤「ふへへ、ポロ..」
桃母「ごはんできたわよ〜!」
階段下から聞こえてくる母親の声。
桃「とりあえず行こーぜ」
赤「コクっ!」
桃母「あれ、なんで泣いてるのよ〜!」
桃母「赤くんに変なことしたのっ!?」
桃「してねぇーわ!笑」
桃「赤もこの家で住んでもいい?」
桃母「もちろんよ嬉しいわ」
赤「ほんと..ですか….?」
桃母「ええ!こんな可愛い子が居てくれるなんて嬉しいわよっ!笑」
桃「な?俺と母さんは大歓迎だぜ」
赤「じゃ、じゃあ…またお言葉に甘えて..」
赤「俺、甘えてばっかだな..ごめんなさい..」
桃「そんな気にすんなって笑」
桃「俺赤の笑顔めっちゃ好きだから、これからの楽しい思い出と笑顔でこの借りは返してくれよ」
赤「わ、わかった、!!」
桃母「だからって無理して笑っちゃダメよ?笑」
赤「はい、!笑」
それからは赤の体調を見つつ母親の体調も見ながら3人で楽しく暮らせてます。
end.
ごめん沼。 そしてお久しぶりです()
コメント
8件
桃くんのこれからの楽しい思い出と笑顔で返してくれよでもうほんとにぶち抜かれました🤦🏻♀️💘 しっかり片思い中でかわいかったです笑💖
お久しぶりですっ.ᐟ.ᐟ めちゃくそ好きなんですけどどうしてくれるんですか(( ぶくしつですっ.ᐟ.ᐟ
初コメ失礼します 言葉選びすごく好きなのでフォロー失礼します