テラーノベル
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この世はクソだと気づいたのは齢4歳。
これが私の人生初めての絶望である。
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静岡県某市、とある墓地。
緑が生い茂るその場所に、1人手を合わせる女の子供が居た。
『……暑いね、”お母さん”』
そう言っても返事は返ってこない。
何故なら彼女の”お母さん”は墓石だからだ。
青い空と蒼い葉が目立つ、7月下旬。
そこらの学生ならば夏休みであろう、この季節は例年より少し蒸し暑い。
『……花変えて帰ろうかな』
近くの湧き水から持ってきた冷えた水も、この暑さでは常温の水に戻りそうだ。
なんてことを考えながら、 母が好きだった菊を供える。
『じゃあ、またね。お母さん』
『また来月来るから』
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父「どこほっつき歩いてたんだ!!」
「お前は!!外に出るなって何回言えば分かるんだ!!!」
家に帰ると般若のような顔をした父が私を出迎える。
帰ってきて嬉しい!より、あぁ…帰ってきたんだ、ってのが先に頭に浮かんだ。
父「来い!!言うことを聞け!!いい加減!」
お風呂場へ雑に放り投げられて、 首を押さえつけられながらキンキンの水が頭に勢い良くぶつかってくる。
苦しい。辛い。痛い。
そう訴えても手を緩めてくれないから、ただ黙って、お仕置きを受け続けるから、 体のどこかがまた青くなる。
『はぁ……はぁ………ッ』
父「気持ち悪ぃな、本当」
私の周りは理不尽にまみれている。
何度助けを求めても誰も手を差し伸べてくれない。
例えそれがヒーローだとしても。
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