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「ねぇ、俺と付き合わない?」
ん?この人今なんて…
そう考えていたとき
唇に温かく柔らかい感触が広がった
「は?」
山内 陽菜、17歳。
初対面の男にファーストキスを奪われました
遡ること少し前
いつも通り放課後、あっちゃんと野球部の練習を見に行ていた
あっちゃんとは私の親友の長谷川 敦子のことだ
同じクラスで野球部に彼氏がいる
あっちゃんの付き添いでいつも放課後は野球部の練習を見に来ているのだ
ん?私?
もちろん私には彼氏などいない
年齢=彼氏いない歴、初恋もまだのJKである
あっちゃんとは野球部の練習が終わると別々に帰る
あっちゃんは彼氏と、私は1人で。
帰りにコンビニスイーツを買って帰るのが私の毎日の楽しみの一つでもある
話が少し逸れてしまうが
恋って何なんだろう。そう考えることが度々ある
恋をしたことない私には少女漫画や、恋愛ドラマのヒロインの気持ちなど理解し難いものである
ドキドキ、胸が高鳴る、心がモヤモヤする、などと言葉で表しているが恋をしたことない人間にそんなもの分かるはずがない
だから少女漫画や恋愛ドラマは自分から進んで見ようとは思わない
そんな私に人生最悪の災難が降り注ぐまであと僅か数分、なんてことは知る由もない
新作のコンビニスイーツが出たと聞きウキウキしながら下校していると
後ろから誰かに腕を掴まれた
恐る恐る後ろを振り返ると
そこには同じ学校の制服を着た男の子が立っていた
ネクタイの色を見るに、同じ2年生なことは間違いなさそうだ
なにか向こうが話しかけてくると思ったが一向に口を開く気配がないので話しかけてみることにした
「あの、なにか御用でしょうか?」
同じ学校の制服ということもあり、知り合いか?などと思って顔を確認したがやはり知らない人だった
なにかあったのかな、などと色々と考えていると
「ねぇ、俺と付き合ってよ」
ん?この人今なんて…
そう考えていたとき
唇に温かく柔らかい感触が広がった
「は?」
理解するのに少し時間がかかった
私、山内陽菜、17歳。
初対面の男にファーストキスを奪われました
というのが今までの1連の流れだ
「え、は?貴方何してるんですか!!」
?「何って、キスしかないでしょ」
「キスしかないでしょ、って!」
「初対面の人にキスするとかどういう神経してんのあんた!」
?「俺は初対面じゃないけど」
「私は初対面なの!話したこと無いでしょ!」
?「うん。無いけど。でも君のことは知ってる」
「それはアンタが一方的に私のこと知ってるだけで私はアンタのこと知らないの!」
なんなんだこいつ。デリカシーのデの字もないじゃないか
ていうか私……
「ファーストキスだったのに…!」
?「あ、そうなの?俺で良かったね」
「はぁ!?俺で良かったね、って何?」
?「だって俺みたいなイケメンがファーストキスの相手とか嬉しいでしょ?」
「嬉しくないわ!!!!」
?「そこら辺の知らない人に奪われるよりかはマシでしょ」
「私からしたらアンタもそこら辺の知らない人なんだってば!」
なんなんだこいつ
人のファーストキス奪っといてこの態度は
?「ねぇ、そんなことより俺と付き合ってよ」
そんなこと??ファーストキスがそんなこと、だと?
ふざけんなこの野郎
いっぺんぶん殴ってやろうか
その気持ちを抑えて平然を装う
「もう私、帰るんで」
そう言い残しその場を後にした
コメント
2件
めちゃくちゃ面白いです!続き待ってます!