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※創作です。
街中にイルミネーションが輝いている。
色々な店から洩れ出る音楽が耳を刺激する。
赤と白を身に纏った人が「セール」やら、なにやら叫んでる。
まだ、聖夜では無いというのに街はムードに包まれていて騒がしい。
そんな中で一つ見知った背を見つけた。
「…元貴。」
俺がここに来た理由でもある人。
声を掛けようか迷って悶々としたが、彼をもう一度見た瞬間、その迷いは消え去った。
…隣に誰かいる。
元貴より背が高くて髪が長い。
…あぁ、涼ちゃんか
元貴は人懐っこい愛らしい微笑みを浮かべて
涼ちゃんと何か話している。
別に涼ちゃんと仲が悪い訳じゃないし、声をかけたって大丈夫。
…そのはず。
でも、自分の足は近づいては駄目だと言うように動こうとしない。
そうするうちに、どんどん彼らは離れていって何処かの店に消えていった。
クリスマス本番は元貴と過ごす約束だ。
…恋人として。
高校卒業後、元貴に告白した。
「…僕さ、若井のこと親友としてしか見たことなかったから、若井のこと好きだけどそういう意味の好きなのかは分からないんだよね。」
「……そっか。」
「それでも良いからさ…、俺と付き合って欲しい。」
元貴は黙って、考え込む。
そんなに考え込んでた時間は長くなかったはずなのに、酷く、ゆっくりに感じた。
「…良いよ。」
「正直、まだ若井のことそういう意味で好きかは分からないけど、若井と一緒にいたい。」
「//…ありがとう。」
好きだと言われた訳じゃないけど、
また、昨日よりも元貴が愛おしくなった。
4月。
晴れて親友から恋人となって同じ大学に通うようになった。
初めの頃はただ純粋に楽しかった。
「若井!明日、『デート』行こうよ!」
茶化すように彼は言って、顔が紅くなっていく俺をからかう。
「可愛いねぇ、若井」
「…やめろよ」
「あっははっ、顔、真っ赤だよ」
彼特有の高く響く笑い声を聞きながら、恥ずかしくも幸せだった。
親友という間柄から恋人という関係に変わっただけで昔とあまり変わらなかったが、それでも元貴の恋人でいられることが何よりも嬉しかった。
未だかつて元貴から、恋人としての好きを聞いたことがない。
…本当に元貴も俺を好きになってくれたら良いのに。
そんな考えが浮かぶ日もあったが、本人に自分をどう思っているか聞くのは怖くて。
そんな虚しくも暖かい日常に陰りが見え始めたのは、
彼と付き合ってから一年たった2回目の春の日だった。
さて、実はこの話ずっと前から書いていたのですが、しっかりと話の筋が決まったのはつい昨日です。🤭
ゆっくりと書いていくので楽しみに待って頂けると嬉しいな。
コメント
10件
めっちゃ好きです…!
静かなお話の始まりですが、激しくなるのか、静かに切なく織りなされるのか、続きが気になります✨ 次も読ませていただきますっ!
不穏な空気が漂ってますね… 良くないかもですけど悩む若井さん大好きなのでめちゃくちゃ楽しみです!