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〔第九章:裏という秘密〕 side:朝日
僕らの出会いは僕らが長野に引っ越してきた時のことだった。
僕たちは裕福な環境で生まれ、周りとは少し違くてみんなからは避けられていた。
でも、隣の家の子だけは違かったんだ。
それが真昼だ。
天真爛漫な彼女は僕たちをすんなり受け入れてくれて、時間が合えばいつも一緒に遊んでいた。
保育園も一緒で、友達ができて嬉しかったのか俺の中では真昼一色だった。
そして、いつしか僕は真昼に恋をしていた。
俺たちは有名校の山乃崎学園に入学することになった。
もちろん真昼も一緒。
山乃崎は私服じゃなくて制服。
小中一貫校だとしても珍しい分類だ。
僕は、入学してからも恋をしていたんだと思う。
本気だと気付いたのは、小学4年生の頃。
月夜もそうだったらしい。
4年生の頃の真昼は、天真爛漫で可愛らしかったのか男子の中では特に人気だった。
ある日、真昼のことが好きな1人の男子がいた。
そいつは運動神経が抜群で、女子の中では結構人気だった。
そいつと真昼が仲良く話していると胸が痛むのと同時に、苛立ちを覚えた。
それに気付いたのは月夜が「お前の顔たまに怖い」と言われてからだった。
それからは気をつける様にしてたが、徐々にこれが“娘妬だと理解してきた。
そうこうしているうちに、月夜もたまに怖い顔をしていたので月夜も恋をしていることがわかった。
そこからだろう。僕たちがケンカが多くなったのは。
喧嘩と言ってもちょっとしたことなんだが。
とにかく、それまでは良かったんだ。
真昼が変わったのは5年になってクラス替えで人が入れ替わった時だった。
真昼が僕を…僕らを避けるようになようになったんだ。
何かあったのかと聞いても「なんでもないよ、大丈夫」って誤魔化されるし、真昼はやっぱりいつも通り。
でも、ずっと一緒にいた僕たちならわからないはずがない。
何か我慢してるって。
僕たちは真の後を追って、突き止めようとした。
そして、僕たちがみた光景は信じられないほど残酷なものだった。
真昼が虐めに遭っていたんだ。
しかも僕たちのせいで。
我慢できなくて飛び出したけど、しらばっくれられる。
そんな様なことが何度かあって、証拠を撮り先生に渡すのを繰り返していた。
そのおかげで何人か転校して行ったけど、結局いじめは止まらなかった。
夏目くんが居合わせた虐めもその一部に過ぎない。
たった一部でこんなに悲惨な状態にまでなっているから、一体どうすれば止められるのか。
僕たちは止まる目処が立つ気がしなかった。
だから、放課後まで我慢してその後に一緒にいようって。
僕は、ただ真昼を守りたい。そう思ったから。
・・・
「ってわけ、分かった?」
「…(汗)」
話に追いつけてないのか、夏目くんは黙っている。
しばらく黙ってたけど、やっと口を開いた。
「や、ややこしい…」
「え?」
「ややこしい」その一言を言ってまた黙り込んだ。
何がややこしいのか。
僕には何も分からないが、きっと夏目くんの中では色んなものがぐるぐる回っているのだろう。
それからは僕たちの秘密のことを夏目くんは聞かなかった。
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