微グロ、死ネタ注意⚠️
……!
あなたが壊れる夢を見た。
ぽろぽろと、どんどん崩れていく夢を見た。
優しい笑顔を、いつもとは違う少し悲しいようなそんな笑顔を、すこーしだけ見せて。
まだちょっぴり薄暗い中、朝日に照らされて光る白銀色の柵。
下には少しずつ電気がつき始めた家がたくさん並んでて。
君はその柵を飛び越えて、ふわふわって飛んでって。
そのまま地面にいっぱいあるおうちの間に紛れ込んじゃった。
どこに行ったのかなぁ、って探してみたけど。
高い場所から見ても全然わかんなかった。
でも音は聞こえたの。聞こえたのは、
ぐちゃ
ていう何かが潰れたような、少し不思議な、そんな音。それだけ。
早くしたに行かなきゃ、早く、早く!!
気持ちばかりがなぜか焦って、体は全然動かないの。
「行っちゃダメ」って止められてるみたいに。
夢、夢だから。大丈夫。
きっと、目が覚めれば君は横で笑ってる。
だから早く、起きて。
君が作ってくれる美味しいご飯を食べて。
それから、それから……
そこで目が覚めた。
起きたら頬が濡れててね。
なにか悲しかったのかな、って考えてみたけど
思い出せなかった。
思い出したくなかった。
一人で寝るダブルベットって広いんだなぁって。
朝起きて、いつも隣にいてくれたあの笑顔がもうないの。
3日前、優しくてあたたかい大切な笑顔は、
朝日の中に飛び込んじゃった。
「早く起きてよ〜!」
僕より少し小さな背。
少しくせっ毛の黒髪。
茶色がかった吸い込まれそうな綺麗で見とれちゃう瞳。
白くて柔らかい肌。
小さくて綺麗な手。
優しく笑う小さな桜色の唇。
もうここにはないんだね。
泣かないって約束したから、泣かないの。
一人でダブルベットで寝る時も。
一緒に撮影した企画を思い出しても。
動画の中にしか残ってない君の声を聞いても。
机の上に置いてある僕の水色のマグカップ。あと、もう一個の黄色のマグカップ。
いつもならすぐ洗われて食器棚にしまわれてるのにね。
ずーっと出しっぱなし。勝手にはしまわれないの。
この黄色のカーディガン、お気に入りだったっけ。
気分で羽織ってみる。
着てみたってなんにも起こらない。
着る度に、カーディガンのポケットの近くにシミができる。
あぁ、今日もまた1個シミが増えちゃった。
ダメだね、約束したのに。
頑張っても頑張っても守れない。こぼれちゃう。
「ぅ、……っ……ひゅっ、うぅ、っ……」
あーあ、やっぱりダメだね。
声も雫も、溢れたまま止まらない。
君がいたら、そばにいてくれたかな。
どうしたの?って優しい声でいって……
あの子のことだから、美味しいココアでも作ってくれるかもね。
考えれば考えるほど、抑えてた分がいっぱいいっぱいこぼれて。
会いたくなっちゃうね。
………………3日も我慢したんだから、もう会いに行ってもいいかな。
会いに行ったら、迎えに行ったら、君はきっと怒るだろう。
怒られてもいいや。寂しい方が何百倍も嫌だ。
「………………会いに、行こっかな」
綺麗な朝日に照らされた、あの日と同じように白銀色に光った柵。
そっと足をかけてみる。
朝風に冷やされた柵は、思った以上に冷たかった。
あの日のあなたみたいに、最後には優しい笑顔で。
せーのっ…
風なんて吹いてないのに、ひゅーって音が耳を撫でる。
僕が風を作ってるんだ。僕が下がる方向と反対に空気が向かっていく。
「迎えに行くね」
君がいいそうな一言。
君がいたかもしれない場所が見えた。
あなたもここに降りたのかな。
道路が少しだけ赤黒くシミになってて、周りの立入禁止の赤いコーンと、
塗られたかのように赤黒く染まったブルーシートが目印。
やっぱりここだ。どうせなら、同じ場所に行きたいな。
もうすぐ着くよ。
最後の一言。
「大好き、ずっと一緒だから」
ぐちゃ。
コメント
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一言一言が心に刺さります。 泣きました。好きです
好きです