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─煌めきと碧をキミに

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─煌めきと碧をキミに

1 - 至宝と欠陥品のターコイズブルー

♥

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2024年01月22日

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※ 青い監獄から3年後、w杯のある年で、

凛ちゃん19歳、冴21歳くらいの時空だと思います。

口調なんざ知らない。 めっちゃ不穏、Bad Endです。中途半端。

【 煌めきと碧をキミに 】

┈┈

糸師 凛 そんな名前のストライカーを知っているか。


サッカーW杯決勝戦。熱狂がフィールドを包み込む。俺は冴にパスを呼ぶ。最高の位置で呼んだはずだ。潔も冴にパスを呼ぶ。彼奴はDFが1枚着いているから俺にパスが来るだろう。

やっと兄貴に認められるのか、パスを貰って 最後のシュートに相応しい人間になったと認められるのか。そう思うだけで糸師凛の心は暗闇の雪から晴れた青空のように爽やかに煌めいた。しかし現実はそう甘くない。心を自分のポーカーフェイスで隠していつもの様な涼しい顔で球を蹴り続ける彼を見る。

『冴!!!』2人の青年の声が聞こえる。パスを呼んでいる。DFの着いている潔ではなくフリーの俺に来るだろうと少し浮かれていたのがバレたのか、又は元々欠陥品に最後のシュートを渡す気はなかったのか、糸師冴は俺ではなく潔世一にパスを渡した。

「、は、?」フィールドで止まりそうになってしまった。俺に来るはずのパスが来なかった。また彼奴は潔世一を認めた。フィールドで勝手に負けた気分になった。自分に突っ込んでくる相手チームのDFにすら気付かずに。

思いっ切りタックルをぶつけられ、俺は地面にひれ伏しながら潔のシュートがネットに突き刺さる瞬間を見てしまった。癇癪を起こしそう、俺が決めてるはずだったのに、そうどこかに対抗心を持つどころか


糸師凛はサッカーに対して熱狂が冷めてしまい、もう呆れしか残っていない。

結局欠陥品は捨てられる。認められない身分だと、糸師凛はまた大人になり思い知った。

日本は3対2でドイツに勝った。決定打のゴールは潔世一が決めた。あの糸師冴が認める主役は彼奴だった。俺じゃなかった。そう呟きながら俺は戦場で兄貴を見つめていた。兄貴は光り輝く原石を見ている。

あんな風に輝けるストライカーは 俺には向いてなかったのだろう。雪の日に兄貴に見捨てられてその時にサッカーも諦めてしまった方が楽だったのだろうか。

俺も頑張ったよ 俺の事も認めてよ って兄貴に言おうとしたけど そういやこの試合では何も活躍してないな と思いその事も諦めることにした。兄貴も俺に近寄ってこなかったし。俺の事は欠陥品って言うくらいなんだから 相当俺は使えなかったのだろう

「…俺 頑張ったよね、頑張ったって、言ってくれないけど、さぁッ…」

「ほんとうなら もう何もしたくない 、。」

誰にも聞こえないような、子供のような小さな声で独りごつ。それは自分の理想で笑顔が素敵な兄貴にも聞こえないような初めて吐く弱音だった。

糸師凛はU-20戦から疲れていた この肉塊と生きることが。兄貴に認められない欠陥品の体と、それでも兄貴を求める心が共存するのは難しかった。俺はもう生きたくないんだ。

試合後のインタビューやマスコミも 潔世一を囲んでいた。そりゃそうだよな、彼奴が主役で、俺は主役の強化剤なだけで 彼奴の何にもなってない。

「糸師凛選手!!日本代表最多得点王おめでとうございます!!!感想聞かせてください!!!」

興奮気味なインタビューが俺を見てマイクを向けている。其奴らを俺は一気に醒ましてやった。夢から、その熱から。

「夢から覚めた気分だな って感じです。笑」

「サッカーやめます」

俺は兄貴を離れることにした。遂に長かった依存を辞めるチャンスが来たんだ。俺は兄貴に勝てなかった。それで終わりでいいんだよな、糸師凛のサッカーはこれで終わりだ。

凛がサッカーを辞めると言っていたのも、冴は何一つ知らなかった。

あの時 あのフィールドで冴が凛のことを褒めていたら 凛は、─────


サッカーを辞めると言ったあの日、俺は実家に帰った。

母さんは今までよく頑張ったね と沢山声をかけてくれた が、もう俺は生きる希望すらないから 全てを諦めることにした。俺は有り余った年棒で兄貴の居ない、何処か静かな場所で過ごそうとか思っていた。

俺の名前と引退という言葉がツイッターのトレンドに沢山出ている。俺なんかの欠陥品がトレンドに出ても何も意味ないのに なんて思いながらスマホの画面を消す。

俺はもう1人で過ごしたい。この世界から”糸師凛”という存在自体を無くしたい。

だって 「サッカーの」糸師 凛が欠陥品でも「サッカーが無くなった」糸師 凛は、もう兄弟でも生きる価値も無くなった奴だろ?そんな奴の事 兄貴が追うわけない。俺だって要らない。

兄貴から 俺を縛るサッカーから なにもかも諦めたい。全てに身を任せたいと凛はグルグル考えて吐き気がする。

吐き気止めと、最近痛くなる腹痛止め、よく寝れないので睡眠薬を最近は必需品としている。それがないと今の愚弟を構成することが出来ない。

目覚ましをかけていないのに5時に起きてしまう。だから海辺でランニングすることにした。スポーツ選手だったもんで、欠陥品なのに謎に残っている体力はあるからいつも1時間程海辺を走ってから帰る。

その後は食べたいものを食べて したいことをして 前はできなかったようなこともして、寝たい時に寝る。それが今の俺。前とは全然違ってまるで生きる意味が無くなったような人みたいだろ、?そんな無価値な人間必要ない。

そんな生活が1ヶ月程経った時、ツイッターのトレンドにやっと俺の名前が減ってきた時 俺は地獄を見た

「# 糸師冴 引退 」 「# 糸師兄弟 」「# 後追い 」

…は? あの兄貴が?フィールドでしか息ができないような兄貴が?理由とか何もなしにサッカー辞めてどうしたんだよ

ネットでは騒がれていた。糸師兄弟が続いてやめたこと。しかもネットには兄貴が俺を追ったなど虚言がありふれている。どうせ俺の事を気にしていない兄貴が俺の事を追ってサッカーを辞めただと?

兄貴は俺のことなんざ何ら気にしていない。今の失った俺には何も残っていない。ただ残っているのはお揃いのターコイズブルーが、光を失い海を見つめているだけ。

海はいつだって糸師凛の傍にいてくれた。兄貴に捨てられた雪の日からも、海はいつも俺の心を癒してくれる。温かい体温を全て吸い取って冷たい現実を俺に突き付けてくる。その冷たさがあの人と同じで俺は好きだ。

どうにも離れたくても離れられない。人間は海から生まれたんだ 離れることは出来ない。

どうしようもなくても俺は兄貴も海も好きだ。


そんな海でいつもと同じよう、2人の青年がアイスを食べていた夕焼けを思い出した。また兄貴がてまてテトラポットを眺めていると 1番聞きたくて聞きたくない冷たさが聞こえた。

「、凛」「……、え」

なんで兄貴がここにいるんだ。避けていたのに。それが聞きたくても俺は堤防から離れられなかった。必ず目を合わせなかった。

戻ってしまったら、また温かさを知ってしまったら俺の負けだ。

「…まずアンタは なんでここに「うるせぇ、本当に凛だよな、?」ッはぁ?」

名前呼んだのに確認してんじゃねぇ。突っ込みたい所だけど俺はその気持ちをぐっと我慢して兄貴に話しかけた。

「本当に凛、、かも」疑問形で貴方に問いかける。だって、俺の知ってるアンタは欠陥品なんざ名前で呼ばない。そんな優しさを持っていたのを糸師凛は知っているが知らないふりをしている。

「うるせぇ。俺が凛っつったらお前は凛なんだよ」なんだよ 超利己的発言だけど兄貴だから許せる、そう思えていたのは昔の俺。今の俺はもう違う。海に護られているから アンタの優しさを貰わなくても生きていける。

「帰るぞ。凛 俺のところに」もう帰らねぇよ。帰れねぇ。

「帰らない。帰りたくない」

「なんでだ」

「…だって、兄ちゃんからの温かさをまた覚えたら、

…もしまた冷たさを知ったとき、死にたくなる、。」

そうだ。俺は兄貴からの温かさを向けられてたから。また雪が訪れたら、次はもうない。──────

こう、ずっと鈍い痛みを与えられるのは大丈夫だけど、鋭い痛みを与えられるとすぐ壊れてしまうような欠陥品なもんで。

「しかも兄貴、興味のない欠陥品には話しかけないだろ?」

アンタは興味のある人間にしか話しかけない。利用価値のあるような、使える人間にならなきゃ俺はあんな輝く至宝の隣には居られない。

「だから話しかけてんだろ」予想外の答えが返ってきた。俺に興味があるなら、なんであの時褒めてくれなかったんだよ、。

糸師凛は海を見つめたまま。遠い未来を見つめるあの人のように。

「なあ。また俺に利用価値が出来たから兄貴は話しかけに来たのか?」

「そんなことは無い。」めっちゃ即答された。昔の俺なら喜んでた。でももう大人になった。糸師凛だって成長して使えるようになる。

「 じゃあ、なんであの時認めてくれなかったんだよ… w杯のとき 俺”使えたのに”さ…」

今迄の感情が溢れる。こんなこと言うつもりはなかった。ただ降り積もる自分の感情が抑えられなかっただけ。また使えなくなってしまう。捨てられてもいい。

捨てられるのが怖ければ 捨ててしまおう。

「ッッ、凛、」兄貴の影が近付く。俺に触れようとしてるのか、、?至宝が穢れてしまうから自分から裂けてしまおう。自分を、捨ててしまおう

捨てられるより捨てる方が心は楽だ。離れられなくなりそうなこの長かった歪なこの関係を。


「ごめん。兄貴 」

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈↓冴side

今まで爽やかな目をしていた弟が霞んでいた。

海のように澄んでいる彼の瞳が雲がかかったように曇って 光が見えなくなってしまった。原因は100%俺だろう。雪の日からずっとそうだ。でも俺は後悔する気がない。あの日のことは間違いではなかった、ただ正解すらも見つからなくて。

ただ今は俺の名前を呼ぶ虚ろげな瞳をした弟を見たのを後悔してしまった。

なぁ、凛 サッカーは楽しいか?俺を追い続ける。先が見えないかもしれない道を進むのは

俺は先を見せたかった。凛と2人の夢を見続けたかった。凛に夢を上げたのは俺だったのに 2人の夢を最後まで見られなかった。

なぁ、凛 教えてくれよ お前の思うことを。俺も全身全霊で言葉を使う。雪の日の続きを話せないか、?

一度お前を見捨てた俺じゃ駄目か?

もう何も一緒には見てくれないのか

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈↓凛side

「ごめん。兄貴」 冴がこっちを見てくれるのはここで終わりだ。夢の続きは海で見ることにしよう。兄貴の手を振った瞬間、凄い兄貴は苦しそうで 傷ついた顔をして俺の事を見ていた。そうだよな。ずっと追ってくれた弟がこんな反抗的になってるからな。でもあと少しだけだから

兄貴を見る。凄く顔立ちが綺麗。そんなことより伝えたい思いを全身全霊で伝えよう。暗幕で遮断していたこの心を広げよう。すっと息を吸い、ずっと思っていた大切なことを伝える。

「俺は、兄貴のこと見なかった時間なんて 一度もなかった。」

兄貴を見る。凄く顔立ちが綺麗。でも目がとてつもなく見開いていてターコイズブルーから涙が落ちそうなくらい潤んでいた。至宝を泣かせるのは俺が初めてかな。

「でも、その視線は兄貴は見てくれなかった。俺の思いは兄貴に捨てられた。」


「────だから、もう自分から捨てようと思う。」

「大嫌いだよ、 冴」

どうやら俺の瞳も潤んでいたらしい。水が目から零れ頬を伝う感覚がする。こんなこといいたくない。苦しむ兄貴をこれ以上見たくない。元凶はだからいなくなるしかない。

「おい、凛、それより何処に行くんだ」

どうやら兄貴は利用価値を探している。そんなことはもうどうでもいい。

「海に」

『さよなら、俺の兄貴』


テトラポットが逆さまに見える。嗚呼、これでやっと貴方を忘れられる。

もう戻れなくてもいい。どうせ儚い恋のままでいい。貴方が居るだけで私はいつも笑えていたから──


海は全てを包み込んでくれる。冷たいのに底からは疲れ果てた肉塊を温めるような優しさを感じる。兄貴と同じ感覚で 俺は忘れられないくらい好きだ。

でも最期に 一つだけ後悔したことがある。

もっとあの人に煌めきを上げられたら なんて 意味不明なことを海に遺して─

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈↓冴side

弟が海から落ちに行った、なんて人に言えるわけない。

また弟を苦しませて 穢してしまった。

だから俺は海から追いに行かない。もう負担を抱えさせたくない。彼奴には、俺があげたかったがあげられなかった愛を海から貰って欲しい

彼には幸せになって欲しいだけだった。あんな冷たさなんてあげたくなかった。あのスタジアムの中で、沢山褒め散らかしてやりたかった。

でも、温かさを知らないから、どんな温かさ、理想を求めているか俺は離れていて分からなかった。

だから、金縛りになったように動けなくて、温かい言葉をあげられなくて

あの碧を苦しませてしまった。人を突き放すなんて、最低だった。ましてや弟だなんて、兄貴として駄目だろう。

海に置いて行くことを後悔しない。海は凛を包み込んだ。俺より傍にいるのは向いているだろう。

次は碧を綺麗な碧にしてあげたい。

でもひとつの事を俺は後悔してしまっている。

もっと彼奴に 魔法を掛けて上げられていたら だなんて意味不明な事を遺して─

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


私が後半に碧碧言ってるのは青のことです((

長めでずっと楽しめるような作品をモットーに作っています。

誤字がありましたらすみません😢

ここまで読んでもらって ありがとうございました!

5587文字.

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コメント

1

ユーザー

辛いお話だけどめっちゃ好き♡

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