第17話「明星抱える劣等感」
Sm視点
眩しいスポットライトに照らされ軽快な音楽が場を満たす中、俺達はその曲に合わせて踊る。
周りにはメンバーと後輩達がいて、隣にはきりやんがいる。
怪我を感じさせない弾むようなステップに指先まで意識された振り、動きに緩急があって踊りに迫力が増す。初めて見た時よりも確実に上達した彼。俺が育てたのだと思えばどこか優越感を感じた。
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「きゃー!!!きりやーん!!!」
👤
「かっこいいー!!!こっち向いて〜!!!」
ほら、きりやん聞こえてる?
あんなに自分は他に劣ってるって言ってたけど、絶対そんなことないんだよ。歓声もコールもペンライトの光も、沢山の人がきりやんのことを呼んでる。
目立たない位置だなんて関係ない、お前が輝けばファンは自ずとお前を見るんだよ。
😊
(あぁ、眩しいな…)
踊りながら歌いながら、俺はちらちらときりやんを盗み見る。眩しい光に視線が吸い寄せられるのは仕方ないことだ、なんて言い訳をつけて。
彼こそがアイドルだ。ファンの為に輝いて、ファンの為に努力して、より高みを目指して……..こんな肩書きに縋り付いている俺なんかよりもよっぽどアイドルらしい。
別に自分への歓声が聞こえないわけじゃない。俺だって努力してるし負けないくらい輝きたいと思ってる。最後列で俺色の服を着ているファンにファンサしながら、俺色のペンライトが多い場所にウィンクする。
──あぁ打算的だ。卑怯なくらい敷かれたレールの上を走ってる。
こうすればいいって分かってるから、ファンを喜ばせる模範解答を知ってるから。ファンが見てるのは俺のドロドロした醜い内側じゃなくて、キラキラとした綺麗な外側だから。
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「スマイル!」コソッ
ちょうどポジションチェンジをする瞬間、耳元で囁くようにきりやんが俺の名前を呼んだ。まさか耳打ちされると思わず、肩を小さく震わせてしまう。誰にもバレては無いと思うが…..
何事かと思い、しばらくきりやんの方に視線を向けていれば彼は口をはくはくと動かした。
👓
(あ、り、が、と、う!)
😊
「……!!?////」
きりやんからの近距離特大ファンサ。
長年きりやんを推してるファンでさえ貰ったことのないファンサ、俺への、俺だけの特別なファンサ。
ステージの上、一歩二歩動けば届く距離、ファンに向けるはずの視線もこの瞬間だけ俺に注がれる。
──お前が俺にとってのアイドルだよ。
その後も俺の視線はきりやんに吸い寄せられながら、ライブは大成功に終わった。
To be continued.
コメント
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ぬぅぅあああああああ"あ"あ"......!!!!その特大ファンサ見ちゃっていいのぉ?!?!え?これ無料ってマ?お金いるんじゃ?あーーーー頭痛いンゴムリしぬしんどもうあした起きれんʚ❤︎ɞこの作品尊すぎて見てる人減ってない?みんな生きてる?|・д・)
うがぁはぁああああ・・・・・・・・!!!! お互い推しあってるってことですか・・・・・・・・・・・???!?!??!? くっそ尊すぎます、、、、、、、、 目がッ、、目がァァァ!!!!!((
見るのが遅くなり大変後悔しておりますまじでいい話すぎて泣けました(まだ終わってない)