一気に番外編2つです。
1つ目はそうでもないけど2つ目はキスシーンがあるので、無理な人はバックしてください。
1エピローグ:甘い約束
文化祭からしばらく経った。
生徒会の仕事は相変わらず忙しいけど、少しだけ落ち着いた空気が流れていた。
まろは相変わらず学校では仮面をつけていた。
でも、生徒会室で二人きりになるときは外すようになった。
それだけで嬉しかった。
俺だけに見せてくれるその顔が、特別で、誰よりも綺麗で、人間くさくて。
本当に、大好きだった。
ある放課後。
俺はいつものように生徒会室に入った。
机に書類を積み上げてうんざりした顔をしていたのが、うちの会長だ。
もちろん仮面は外してた。
俺にだけ見せる顔。
それだけで心臓がドクドクする。
「お疲れ、会長。」
「……副会長、仕事や。」
「えー、今日くらい甘やかしてくれよ。」
「アホか。」
でも口元が緩んでる。
バレバレだ。
俺は隣に座ると、まろの頬を人差し指でつついた。
高くて綺麗な鼻筋。
すべすべの肌。
ほんとに、イケメンすぎて困る。
「やめろや、恥ずかしい。」
「なんで? イケメンなんだから触らせろ。」
「お前、ホンマ……」
まろは頬を赤くして視線を逸らした。
可愛すぎた。
俺はつい笑ってしまう。
「なあ。」
「……なんや。」
「好き。」
まろはピクッと肩を震わせた。
耳まで赤くなる。
「アホか。」
「何回でも言うぞ。」
「やめろ言うとるやろ。」
「好き。めっちゃ好き。」
「……ほんまに……」
小さな声でまろが呟いた。
俺はその声を聞き逃さなかった。
「なあ、会長。」
「……」
「お前は?」
「……は?」
「俺のこと、好き?」
まろは沈黙した。
視線を泳がせて、机の上のペンをいじる。
その横顔がやけに綺麗で、でも必死で誤魔化してるのが可愛すぎた。
「会長?」
「……知らん。」
「おい。」
「……」
「会長。」
「……」
「まろ。」
名前を呼ぶと、まろはびくっとした。
青髪が揺れた。
赤い耳が丸見えだ。
「なあ。」
「……」
「好きって言えよ。」
「……アホ。」
「言え。」
「……」
「言わないならキスする。」
「……っ、はあ!?」
慌ててこっちを見る顔が最高だった。
目が大きく見開いて、唇が震えてる。
「お前なあ……!」
「言えないの?」
「……言わんでも分かっとけや。」
「分からない。」
「……うるさい。」
「分かんない。」
まろは俯いた。
耳まで真っ赤だった。
机に置いた手が小さく震えてた。
その手をそっと包んだ。
俺の手の中で、まろの手はあったかかった。
「なあ。」
「……」
「会長。」
「……」
「俺はお前が好き。」
「……」
「お前も、好きだって言え。」
長い沈黙のあと。
小さな、でもちゃんと聞こえる声が落ちた。
「……好きや。」
心臓が破裂しそうだった。
顔が熱くて、笑いそうなのに泣きそうだった。
「もう一回。」
「……アホか。」
「もう一回言え。」
「……好き。」
笑った。
最高に嬉しかった。
俺はそっとまろを引き寄せた。
柔らかく抱きしめた。
「おい……離せ……」
「離さない。」
「……やめろ……」
「会長。」
「……」
「愛してる。」
「……もうええわ。」
それでもまろは抱き返してきた。
強く、苦しいくらいに。
俺の胸に顔を埋めて、小さく声を震わせた。
「……ずっと、俺のこと見とけよ。」
「当たり前だろ。」
「俺も、お前だけ見る。」
もう、涙が滲んだ。
俺は笑いながらまろの髪を撫でた。
綺麗な青髪を、優しく。
「会長。」
「……なんや。」
「ずっと一緒にいような。」
「……せやな。」
窓の外は夕焼けだった。
橙色の光が生徒会室を染めていた。
まろの綺麗な顔が、赤く照らされてた。
仮面なんかなくても、ちゃんとまろだった。
誰にも渡さない。
誰よりも愛する。
そう心に誓った。
2番外編:キスだらけ編
放課後、生徒会室。
他の役員はもう帰って、カーテン越しの夕陽だけが部屋を照らしてる。
静かで、俺とまろしかいない空間。
まろは、仮面を外してる。
もう、俺の前では外すって約束したから。
その素顔が、ほんまに綺麗で、何度見ても胸が苦しくなる。
今日も、隣で書類を整理するふりして、頬が赤い。
バレバレ。
可愛いすぎる。
「なあ。」
「……なんや。」
「こっち見ろよ。」
「いやや。」
「見ろ。」
まろが渋々、顔を上げる。
大きな青目がこっちを捉える瞬間、心臓がバクンって跳ねた。
目が合っただけでヤバい。
「……なんや、その顔。」
「可愛すぎて死にそう。」
「死ねや。」
「やだ。お前とずっとイチャイチャする。」
「アホか……」
顔を赤くして逸らそうとしたその顎を、そっと掴んだ。
まろが息を呑む。
「お、おい……っ」
「会長。」
「な、なんや。」
「キスしていい?」
「……知らん。」
「じゃあ、する。」
そっと顔を寄せる。
まろの睫毛が震えるのが分かる。
ほんまに、可愛い。
唇を重ねた。
ゆっくり、優しく。
でもしっかりと。
離そうとしたら、まろの手が俺の服を掴んだ。
「……まだ。」
小さな声で囁いた。
「もっと。」
心臓が爆発しそうだった。
俺はもう一度深くキスした。
今度は少し強く唇を押し付ける。
角度を変えて、舌先でなぞったら、まろがビクンと震えた。
「……や、ちょ……」
「可愛い声出すな。」
「う、るさい……っ」
まろの手が俺の首に回る。
逃げないように、縋るように。
今度はもっと深くキスした。
舌を絡めて、まろの口内を味わう。
苦しそうな吐息が漏れる。
「っ、ふ……ぅ……」
その声が甘すぎて、全身が熱くなる。
唇を離したら、まろの唇は真っ赤に濡れてた。
目が潤んで、睫毛に涙が引っかかってる。
「……やらしい顔。」
「誰のせいや……」
恥ずかしそうに顔を逸らそうとするのを逃さず、頬にキス。
耳たぶにもキス。
そのたびにまろが震える。
「お前ほんまに、キスされるの弱いな。」
「うるさい。」
耳たぶを甘噛みしたら、まろが小さく喘いだ。
「っ……や、ほんまに……」
「何?」
「もう、やめろ……」
「嫌や。」
「お前、ほんま……っ」
俺は笑って、そっと抱きしめた。
まろの頭を胸に押し付けて、髪を撫でる。
まろは息を整えながら、でも逃げずに抱きついてきた。
「……もう、俺だけやぞ。」
「分かってる。」
「他のやつにこんなん、したら殺す。」
「お前だけや。」
「……ほんまか。」
「ほんまや。」
そっとキスを落とす。
額に、まぶたに、頬に、首筋に。
くすぐったそうに肩をすくめて、でもまろは目を閉じて受け入れてた。
最後にもう一度、唇に。
長く、深く。
吐息を分け合う。
心臓の音まで聞こえそうな距離。
しばらくして、二人とも息を切らして離れた。
まろは目を伏せて、頬を真っ赤にしてた。
「……恥ずかしいやろ。」
「めっちゃ可愛い。」
「殺すぞ。」
「大好き。」
「……っ」
耳まで赤い。
俺はもう笑いが止まらなかった。
嬉しくて、愛しくて、どうしようもなくて。
まろは呆れたみたいにため息ついて、でも少し笑った。
「……アホ。」
「お前のアホや。」
「せやな。」
夕陽が沈むまで、生徒会室でキスをした。
何度も、何度も。
まろはずっと赤くなってて、でも俺の首を抱きしめて、絶対に離さなかった。
俺も離さなかった。
ずっとこうしていたかった。
仮面を外したその顔を、世界で一番近くで見たかった。
これからも、何度でもキスをする。
仮面を外させる。
何度でも「好きだ」って言う。
そして何度でも「好きだ」って言わせる。
だって、俺は会長の全部が大好きだから。