Nakamu視点
今日はとても晴れていた。蒼く澄み渡った空が心地いい。気分も晴れ晴れしていて、とても機嫌がよかったことを覚えている。
ピンポーンと突然インターホンが鳴った。誰だろうと見てみれば俺の大好きな人でありズッ友のきんときがいた。一緒に散歩でもしに行かない?と。これはデートと捉えてもいいのかな?と思う心は自分の中だけに留めておいて急いで着替えを済ませる。玄関のドアを開ければ、太陽にも負けないぐらいの眩しさを持つ彼がそこに立っていた。
今日も好き、明日も大好き…それが永遠に続いていく。この恋心は一生彼が知ることはない。でもそれでいい。この関係が続いていればそれだけで。
ボーっとしていたのかきんときに大丈夫?と心配されてしまった。申し訳ないなと思いつつも大丈夫だよ。と返しておいた。ふと駅前のクレープ屋さんでクレープを食べたかったんだと思い出す。きんときに駅前のクレープ食べたい!と言えば、じゃあ食べに行こっか。とふわっと微笑まれた。
駅前に行くには交通量の多い交差点を通らなければならない。そんな俺は周りの音なんて気にならないほどの放心状態だった。
だって青信号で、車もちゃんと止まっていたはずなのに、何で、何で?ちゃんと、ちゃんと…、
後悔したってもう遅い。今はまず救急車を呼ばないと。所々鮮血に染まったきんときのまだ温かい手を握る。大丈夫、すぐ救急車が来るから、と。
すると彼は大好きって言ってきた。愛してるって。ずっとずーっと愛の言葉を言ってくる。何で、そんなの、これが最期みたいじゃん。痛みや苦しさが無くなってきたのかいつもみたいに穏やかな表情で優しく笑いかけてくれた。ちょっと歪だったけど。そんな中時間はどんどんどんどん過ぎていって、きんときの手は段々と温かさが無くなっていった。握ってた力も弱々しくなってきて。
そんなきんときから最期にお願いがあるって言われた。そんな、最期だなんて言わないでよ、もうすぐだよ?救急車のサイレンの音がちょっとずつ聞こえてきてるから、ね?なんて言葉を彼は無視して俺の唇を奪っていった。
ファーストキスだった。
そして彼は幸せになってねと言って綺麗な瞳が閉ざされた。張り詰めていた糸がぷつんっと切れたように大粒の涙がポロポロと溢れていった。周りなんて気にせず好きなだけ泣き喚いた。嫌い《好き》、大っ嫌い《大好き》。ねぇ、きんとき、
nk「大っ嫌い《大好き》だよ。」
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