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改
“小学生は遊び、中学生は部活、高校生は勉強”
それが親の口癖であった。
「少しは勉強したら?」
「夏休みなんでしょ?」
だから何だ。勉強しなくても内容は頭に入ってるし、分かる。テストも順調。勉強はしなくて良い
「課題終わったし…する事ねぇし」
「だったらゴロゴロしないで、部屋に行きなさい」
「へーい…」
とか言いながら動かないのが俺のスタイル。掃除機で脇腹をドンドン叩くので痛い……。
そんな日常茶飯事な事をしているとチャイムがなった。
「アンタが出てきて。今忙しいから」
「んー……」
誰だと思い、玄関のドアを開けると、
隣のクラスに居る仲の良い奴だった
「やっほ、今暇?」
「ま〜…うん、」
「そしたら遊びに行こ」
笑顔で言ってきたお前に俺は拒否権が無いと感じた。
これはとある2人のある1週間────
1日目
出掛ける準備を直ぐにすると、お前は俺の家の近くにあるベンチにへと腰を掛けていた。お待たせ、そう言うと、大丈夫なんて言いながら、立ち上がる。何処に行くのかと聞くと秘密だと言う
不思議に思ったが、後ろを大人しく着いて行く
「どう?課題は」
「終わった、けどレポートがめんどかった」
「確かに。あそこの実験内容難しかったもんね」
他愛のない会話を続けていると、着いたらしい。
俺はそこを見た瞬間眉を顰めた。
何故なら、そこは
“墓地が近い公園”だったから。
「気味悪いな……」
「そう?それより、彼処のベンチに座ろ。日陰もあるし」
そう言って白のスカートを揺らしながら歩いていく。
そこの近くには小さい植えたての木が1本あり、ゆらゆら風に身を任せていた。
「なんでここに行こうとしたんだ?」
「…私の友達が此処によく連れて来てさ」
「はは…縁起悪」
大きい木の下で会話をする。
数時間居続けた後、解散した。
蝉が1匹、鳴いていた
2日目
昨日はあれから特に無く、そのまま解散であった。今日は暇だからどうしようか。近くにテストもあるから勉強もしようか。なんて考えているとインターホンが鳴った
親も居なかった為、俺が出た
そこにはお前が居た
「遊ぼ」
「ん、待ってろ」
昨日の所に行くのか?なんて思いながら、黒のスポーツメーカーのTシャツを着る。ついでに白の帽子も。
「今日は?」
「着いてからのお楽しみ」
口に人差し指を置いて、イタズラっ子の様にお前は笑った。
───
「また墓地かよ…」
着いた場所は”墓地が近くにある森”
「ここ、涼しいの。ここも友達が連れて来てくれたの」
「なぁ…その友達ってどんな奴?」
「さぁ…私よりも物知りだった位かな?後、ミステリーが好きだった」
その「友達」の事を話しているお前はとても楽しそうだった。
「道理で墓地が近い訳よ…其奴は縁起悪ぃな…」
「ふふ、私もミステリーとか好きだったから。気が合ったんだろうね」
今日は風も穏やかだったが、森の中だったから草木が小さく揺れ、音を立てていた。心地よかった
蝉が2匹、鳴いていた
解散間際、お前は言った
「明日、この赤いポスト前に来て」
「いつ頃?」
「うーん…10時前」
「分かった」
明日も用事が出来た
勉強は明後日
3日目
「よっ」
10分前。彼奴はもう来ていた。
白色のスカートに薄ピンクのリボンが付いている麦わら帽子。
「待った?」
「いや、私もさっき来た所。」
そう言うと歩き出した
今日も場所は秘密の様だった
────
今日の場所は昨日行った場所のすぐそこにある川だった。
小さい魚が泳いでいる川。何をするのかと彼奴を見ると、靴を脱ぎ始め、川にへと足を入れた。
「冷た…」
微笑みながら言う彼奴に俺は何してんだと思った。
そうしていると彼奴が俺に水を掛けてきた
「冷っ!」
「君も入りなよ」
そう言われ渋々入っていくと思っていたよりも冷たかった。
バシャ
「遊ぼ」
彼奴は子供の様な無邪気な顔で言ってきた
そのまま俺とお前は一時、水を掛け合った
蝉が沢山鳴いていた
4日目
今日も昨日と同じ所に行き、彼奴を待つ。昨日は陽の下にずっと居たせいか日焼けをして肌がヒリヒリするので薄手のカーディガンを身に纏う。そうしていると彼奴が来た
「お待たせ」
「ん、大丈夫」
お前も腕にアームカバーを付けて此処に来ていた。
今日もどこかへ行くようだった
_____
「着いた」
「又ですか…」
そこは”ボロボロな神社”しかも幽霊がめっちゃ出そうな(貞子とか)
「此処にはあの子ともよく来たの、 」
「なぁ、」
「ん?」
「”あの子”って誰」
そう聞くと彼奴は気まづそうに顔を下げて小さな声で言った
「私が小さい頃に遊んでいた子。今は引っ越して何処かに行っちゃった」
「………そうか」
これ以上は聞けなかった
お前が悲しそうな震えた声で言っていたから
蝉が1匹死んでいた
5日目
今日は登校日だった。久しぶりに着た制服が少し小さくなっていた。
彼奴と一緒に行こうかと思ったけど居なかった
学校に着いたが矢張り、彼奴は居なかった。隣のクラスの奴に聞いたが今日は休みだと。
早く終わったので直ぐに家に帰って彼奴に会いに行こう
「ただいま、!」
「おかえり、
って!何処行くの!!」
「ダチと遊んでくる!」
荷物を置いて、上から薄手のカーディガンを着たら直ぐに家を出た
____
何処に居るか分からないからこれまで彼奴と一緒に行った場所を順番に回っていく
公園、森、川、神社
神社に着いたら居た
彼奴だ
「おい!!」
ビクッと肩を上げたが直ぐに此方を向いてくれた
間違いない
「どうしたの?」
「いや、今日、…学校に来てなかったから」
思い出した様にお前は言った
「忘れてた…」
半笑いで
「な、何だよ…何かあったのかと思ったじゃねぇか」
「あはは…ごめんごめん」
そうしてまた2人で遊んだ
蝉が2匹、鳴いていた
6日目
今日も呼ばれたから何時もの所に行く
日焼けも引いてきて、今日は薄手のカーディガンは着ていない。代わりに少し長めの服を着た
来た、彼奴だ
「行こっか」
前触れの挨拶もしないで俺らは行く。もう慣れたから
今日は何時もとは違う道だった。
目的地が近いのだろうか。少し彼奴がキョロキョロし始めた
「どうした?」
「うーん…チラシが無いなぁって」
「チラシぃ?」
「うん」
行こ。そう言ってまた進み始めた
____
「此処って…」
昨日よりかは綺麗な神社。それに何か大勢の人達が準備していた
「明日、此処で祭りがあるんだ」
「?」
初耳だった。此処には中学の時から居たがそんな祭り初耳だった。
「あの…だから一緒に行かない?」
明日は特に用事がない。
だったら断る理由も無い
「まぁ、良いけど」
「!ホント?」
嬉しそうな顔で俺を見てきた。そんなに此処に行きたかったのだろうか。
「おう、」
「そしたら、明日、此処に集合ね。18時に」
そう言って俺らは解散した
蝉が2匹、死んでいた
7日目
夕暮れ時に俺は昨日行った場所にへと行く。まだ彼奴は来ていなかった
ボケーッと待っていると来た
白い浴衣を着て、何時もは結っていない髪を綺麗に結ってある。
「お待たせ…」
「おう」
「似合う、かな?」
「似合ってる」
そう言うと満面の笑みを零していた
そうして俺らは祭りの会場にへと行く。
その瞬間、彼奴は口を開いた
「手、繋ぎたい」
お前の顔を見ると、とても顔が赤く、リンゴだった
「良いけど」
「やった」
そう言うと直ぐに繋いできたので流石に吃驚した。手を繋いでも何時もとは変わらないので2人で焼きそばを食べたり射的をしたりしてその時間を満喫した。とても彼奴も楽しそうだったから来て良かったと思った
時間も子供がウトウトし始める時間になっていた。
「痛…」
「どうした」
「下駄の緒切れちゃった…」
そう見るとマジで切れていた。
休める場所も無いのでどうしようかと思っていると
「向こうに神社があるの。その奥にベンチがあるからそこで休も?」
「分かった。歩け……ねぇよな。担ぐから乗れ」
そう言うと気まづそうに頷き、背中に身を預けられた。担いだ後に気が付いたけどこれは気まづいよな
___
「ここか?」
「うん。ありがとう」
それからは2人で話していた
蝉が沢山鳴いていた。
そうしていると彼奴は立ち上がり、崖の近くに行った。
「?何してんだよ、夜景見たいのか?」
「ごめん、私…嘘ついてた」
嘘。この一週間でつく場面はあったのだろうか。分からないまま、彼奴は話し続けた
「あの子……亡くなってたの」
「え、」
「私が小5の時に。ここから落ちちゃって」
言うには
小5の時に俺らと同じように場所を回って、今日のように祭りに来ていたら、其奴が此処から滑って落ちた。その後大人の人が救急車を呼んだが、間に合わず死去。
そのせいで気持ちが切り替えきれず1度この町から離れたらしい。帰った時に俺が居て、その俺はとても其奴に似ていたらしい。
「けどさ…私、やっぱりあの子の事が好きって思ってたの。けど君と居たらあの子じゃなくて君を見るようになって…申し訳なくなった、」
「おい、待てよ…そこに居たら危ねぇだろ?そこから離れろよ、それからまたその話聞いてやるから…な?頼むよ……」
「……やだ」
我儘を言う子供のように、言い
そのまま飛び降りた
「なんで…だよ…」
蝉が1匹、小さく鳴いていた
彼奴が死んで半年が経った。あの後、直ぐに救急車を呼んだが間に合わなかった。相当な高さだったせいか、頭から大量の血が出ていたらしい。
彼奴が死んでつまらない日常になった。あの頃だけだった。楽しかったのは
今日も変わらない日常
__では無かった
「今日は転校生が居ます。入っておいで」
「……」
其奴は
「よろしくお願い致します」
まるで彼奴の様だった
『ある夏の一週間 _改_ 』
END
いやコレ結構気に入ってたんで改めて書き直しました!笑 うろ覚えなので結構変わってるがしれません😶
読んで頂きありがとうございます!✨