⚠️初めの3話、➕1話 体調不良(嘔吐あり)
➕烏氷 (体調不良、関東住みなのでエセ関西弁になってしまいました)
その他没など
「おやすみ」の作品はpixivでも投稿してます
展開ジェットコースターですがなんでもいける方のみどうぞ!
眠りについた貴方に
「めんどくさいよ玲王」
は?
「もう知らない」
何言ってんのコイツ。俺と一緒に優勝するって言ったくせに。
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで?
おかしい、めんどくさいって何。
じゃあ今までのやり取りとか俺のした行動は凪にとってはめんどくさかったって事?
俺は凪と優勝したかっただけなのに、どうして神様はこんなにも酷いことをするのだろうか。
もう一度だけ。もう一度だけでいいから凪とサッカーをさせてください。俺たちの夢を壊したくないんだ。あの日の約束を破りたくない。
俺と凪にとってはサッカーが出会いなんだ。サッカーがなかったら興味も持たなかっただろう。
俺が唯一手に入れたかった宝物を一緒に掴もうと思った相手なんだ。
頼むから俺と凪の夢と関係を崩さないでくれよ、
何でもするから。
沢山の思いを抱えながら起きた。
夢だった。いつもと同じ夢。だが今日の夢はいつもと少し違ったな。
いつもなら俺が
「あっそ」
とか言ってすぐ終わるのに、今回は色々な感情が込み上げてきた。
今はブルーロックが終わり、凪と同棲をしている。横で静かに寝ている凪。
確かに居ることを確認すると安心できる。
凪が居なかったら俺は今同棲なんてしてないし、ブルーロックにも行かなかっただろう。
本当に凪には感謝している。
好きだよ、凪。好きだからこそ捨てられるのが怖いんだ。俺を置いてかないで、1人にしないで。
涙が溢れてきてしまう。隣で寝ている凪を起こさないようにそっと離れる。
少し勉強でもしよう、俺は自分の部屋へ向かった
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
何か隣から離れていく感覚があった。俺の何かが消える。さっきまであった温もりが冷たさに奪われていく。
「玲王っ、」
つい声を出してしまった。それよりも隣にいない玲王が心配で探しに行くことにした。
何もそこまでしなくていいんじゃないって?そりゃあ宝物が消えたら探しに行くでしょ。
ベッドから出て玲王を探しに行く。
冷たい廊下が足を冷やす。早く見つけて寝よう。
しばらく玲王を探していると電気の付いた部屋を見つけた。
その部屋のドアの隙間を覗き込んで見ると玲王の姿があった。
俺はドアを開けて玲王の所へ行った。
「ねー玲王、ベッド戻ろう…って寝てるの?」
玲王は遅くまで勉強していたらしい。一体何時間勉強していたのだろう。それはさておき、こんな寒い部屋に玲王1人にさせて置くこともできないので優しく姫抱きをしてベッドへ向かった。
運んでいる途中に目を覚ましたのか、俺の方をみてにっこり微笑んだ。その笑顔がたまらなく可愛いかった。
おやすみとキスをして優しくベッドに寝かせた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
何時間勉強したのだろう。
足が寒い。毛布もかけずに勉強していたから風邪でもひくのかな。
凪の元へ向かおうとするけれど体が言うことを聞かずに動かない。意識も眠気で飛びそうだ。
どうしよう。凪に心配をかけたくなくてじんわりと涙が目元を濡らす。
早く戻りたい。暖かいベッドで眠りたい。
そう思いながら再び眠りについた。
暖かい温もりに目を覚ます。ぺたぺたと廊下を歩く音がする。そうか、凪に運ばれてるのか。心配して来てくれたのかな。悪いことしたなと思ったけれど凄く嬉しかった。顔に出てたかも…。
すぐに寝たフリをすると、凪が
「おやすみ」と低い声で言いながら俺の頬に優しくキスをした。
たまらなく嬉しくて顔が真っ赤になりかけた。明日は2人で寝れたらいいな。また同じ夢を見ませんように。そう思いながら眠りについた。
凪へ 愛してる
「おやすみ」
【ねぇ玲王】
【あてっ、急に止まるなよ。どうしたんだ?】
【玲王ってめんどくさいね。】
【…は?】
【何言って、】
【はぁ、そーゆーとこ。】
俺ってそんなめんどくさい奴だったんだな。
【…あっそ】
俺の目は涙をいっぱいためて大粒の涙を1粒零した。
もうダメだ。凪に嫌われた。めんどくさがれた。捨てられた。
俺は布団にこもって目を閉じた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「っ、はぁ、」
バッと起き上がると大量の冷や汗と涙があった。
「クソが…」
何故毎回この夢を見るのだろうか。
“また”凪に捨てられる夢を見た。
捨てられるのが怖くて寝られない。寝付かない。
そんな理由で凪を起こすのもダサいと思ったので水を飲むことにした。
「美味っ、水ってこんな美味かったか?」
いつもより水が美味しく感じる。
思ったより多く飲んでしまった。あとで腹壊しませんように…
タンタン、と足音が聞こえてくる。
起こしたかな?と振り返ると凪が立っていた。
「お、凪。すまん、起こしちまったか?」
「ううん、それより玲王、またあの夢みた?」
「み、見てねぇよ。」
「嘘だ。俺分かるから。」
「ほんとに見てねぇって!」
「ふーん。あっそ」
凪からの低い声。これ怒ってるな。
「じゃ、俺もう寝るから」
「…おやすみ」
「…」
凪は口も聞かなかった。
悪かったのは俺。ちゃんと正直に言えば良かったのにこんなこと言ってしまった。
「はぁ、」
ため息を吐きながら腰を下ろす。段々と眠気が俺を襲う。ベットに行かなきゃ行けないのに眠気に襲われて俺はそのまま寝てしまった。
痛い、痛い、ズキズキと何か痛む。
あまりの痛さに耐えられず起きてしまった。
腹が痛い。水を飲みすぎたんだな。
早く布団に行こうとするもズキズキと痛む腹が邪魔をしてあまり動けない。
凪は寝ているし起こす訳にもいかないので自力で行くことにした。
1歩1歩踏み出す足が重い。段々と気持ち悪くもなってくる。
早く布団に入りたい。俺は痛む腹を押さえて走った。
歩くだけでも精一杯なのに走るのはもっときつい。ただ、歩いてればもっと痛くなると思ったから走った。
ガタッと音がしてやっとの事でベットに着いた。
凪の隣に入り、目を瞑る。
痛すぎて寝れもしない。
起こしてしまおうか、せっかく寝ているのに起こすのは可哀想だ。俺の中の天使と悪魔が戦っている。吐き気もプラスされてとうとう凪を起こすと決めた。
背中を向けて寝ている凪をトントンと叩く。
「…」
起きない。おかしい、いつもなら
「ん、何」とか「…どしたの」なんて言って起きるのに。
痛い、痛いよ、頼むから早く起きてくれ。
凪に嫌われてしまったという強い不安に襲われる。お願い、捨てないで、俺を1人にしないで
「ぐすっ」っと涙が出てきてしまって鼻を啜っていると
「…え、何?なんで泣いてんの」
と凪が飛び起きた。
「なぎ…」
「ごめん。起きなかった俺が悪い。どうしたの?何かあった?」
「腹痛い、気持ち悪い、」
多分凪はびっくりしただろう。
だって俺から甘える事はあまりないから。
「ちょっと待っててね、お湯沸かしてくるよ」
そう凪が立ち上がる。待って、置いてかないで
「やだ、ここに居て、」
「え、だってお腹暖めなきゃ。玲王、すぐ戻って来るから。絶対。約束ね」
「…ん、」不機嫌ながらも指切りげんまんをして凪は台所へ行った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
玲王に起こされた。いや、起こしてくれた。
玲王は体調が悪い時は俺に隠して無理をする。
だけど今回は隠さずに言ってくれた。俺は言ってくれたことが嬉しかった。
「なぎ…」
「ごめん。起きなかった俺が悪い。どうしたの?何かあった?」
「腹痛い、気持ち悪い、」
泣くほどだったとは。
俺は必要な物を揃えるために台所へ向かった。
玲王には指切りげんまんをしておいた。
必要な物はゴミ袋とお湯、薬くらいかな。
お世話をあまりした事ない俺にとっては分からないことばかりだった。でも玲王の為ならば何でもする。俺が玲王を不安にさせてしまったから。
俺が必要な物を持ってベッドへ行くと玲王は涙目でこっちを見ていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
気持ち悪い。どうしよう、凪はまだ帰ってこないだろうし、動くのもしんどい。
「…ふっ、」と息を漏らした。
吐きそうだというのに声も出せないから凪を呼べない。早くこっちに来て欲しい。
1度起き上がる。深く深呼吸をしてひたすら凪が来るまで耐える。
凪が必要な物をもってベッドへやって来た。
俺は既に涙目で凪を見つめる。
「どうしたの?痛い?」
首を振る。
凪との会話中に凄い吐き気に襲われる。
俺は急いで口元を抑える。
凪はそれを察したようで袋を持ってきてくれた。
「吐きたいなら吐いちゃっていいよ。俺は大丈夫だから。」
嫌だ。こんなみっともない姿を見せたくない。不快な思いをさせてしまうと思い、首を振った。
「なんで?大丈夫だよ。俺嫌わないから。ね、玲王。」
「嫌わない」という言葉に安心したのか、吐き気が一気にきた。
でも俺は吐きたくない。どうにかできないものかと考えた末に飲み込んでしまった。
「え、なんで飲んじゃうの?ほら口開けて」
凪の手が俺の口の中に入る。怖い、早く終わらせて。
「ごめんね、苦しいかもだけど頑張れ 後で沢山甘やかしてあげるから。」
そう凪は言ったまま俺の口の中に指を入れた。
「ん︎︎゛っ、ゔえっ、」
「お、よしよし、偉いよ玲王。ちゃんと出来たね。」
びちゃびちゃと音を立てながら袋に入っていく。
水しか飲んでいないのと夕食を食べていないから水しか出ない。
終わると凪は俺の頭を撫でてくれた。
吐き終えて怠そうにしてる俺に凪は文句も言わずに優しくベッドまで運んでくれた。
改めて惚れた。俺は運んでくれている凪の頬にそっとキスをした。
「玲王」
「…ん。」
口にも。甘い口付けを交わしてベッドに着く。
優しく寝かせてくれてなんだかいつもとは別人に見えた。
口をゆすいでベッドに入ると
とんとん と優しく寝かしつけてくれる。
うとうとしてきて意識も飛びかけた頃、
「おやすみ。可愛い俺のお姫様。」
となんとも言えない王子みたいな声が聞こえた。
恥ずかしすぎた。そんな俺は凪にこういった。
「大好きな俺の王子様、
今日くらい、いいよね
「はっくしゅん」
「玲王風邪?」
「いや、ただ寒いだけだと思う」
「そっか。ならよかったー。」
唐突だが最近は凪が一緒に寝てくれない。
ベッドに入るとあれやこれやするのだがここ数日はそれもない。
なんなら一緒に寝ようとも言わない。
どうしたんだあいつ。俺は毎日一緒に寝たいって思ってるのに。恥ずかしくて言えない。
今日こそは一緒に寝る。そう心に決めた。
「んん寒、」
「こたつ入る?」
「おお、入る入る」
先程から寒気が治まらない。
その内治るかと思った。
だが数十分経っても身体は暖かさを要求する。
怠さもありこれは完全に風邪なんじゃないかと思いはじめた。
起きているのも辛くなり、俺は寝ることにした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「んん寒、」
また寒いの?今日そんな寒くないけど…
考えるのめんどくさいしまぁいいや。
「こたつ入る?」
「おお、入る入る」
俺はこたつの温かさを全開にした。
【GAME OVER】
とスマホにかかれた文字を見て休憩に入る。
そういえば玲王の声しないな。
寝てるのかな。
俺も隣に入って寝ようとした。
最近は玲王と一緒に寝れていない。俺は俺のせいで玲王がまた”あの”夢をみたら嫌だからあまり一緒に寝なかった。
俺だって玲王と寝たい。今だけはいいよね。
玲王の隣に入る。
「…ん、」
と可愛い声をして玲王が転がる。
「好きだよ玲王。」
そう言って抱きしめた玲王の身体は熱かった。
37°くらい?わかんないけど熱がある。
もっと早く気づいてあげればよかったな。
彼氏としてどうなんだろう。
優しく玲王を撫でる。
玲王は嬉しそうに寝ている。
かわいいな、と思いながら席を離れる。
看病をしてあげようと思い、必要な物だけ持ってくる。
その間に玲王起きるかな。お粥でも作ろ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
少し目が覚めた。
凪が隣にいると安心した。
また目を閉じようとすると
「好きだよ玲王。」
と甘い声。
俺も好きだぞ凪。そう心の中で言った。
再び眠気が俺を襲ってきた。その眠気に耐えられずにまた俺は寝てしまった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
3時間くらい経っただろうか。
少し熱を測って貰う為に玲王を起こす。
「ねー玲王。起きてー」
「…やだ」
「えー、やだじゃないよ。少しだけ、ね?」
「しょーがねぇなぁ、お前はいつもそーなんだから、、」
などとぶつぶつ言いながら起きてくれる。
「あれ、俺寝てたっけ?」
「え、記憶ないの?」
「いや忘れた」
「まぁいいよ。熱計って」
と体温計を渡す。
「…」
「どうしたの?」
「…凪が測って」
なんて可愛いのだろう。今すぐ抱きたいが流石に風邪を引いているためまた今度にする。
理性が保てなくなりそう。
「…凪?」
「え、あ、いいよ」
玲王の脇に体温計を入れる。
うわ、誘ってる?
「…なんだよ、そんな見て。」
照れくさくなってる玲王可愛い。
そのまま頬にキスをした。
「おまっ、 !」
ピピピと体温計が鳴る。
「あ、鳴った。」
「あのなぁ、」
37.7 ちゃんと風邪だ。
「玲王熱あるから寝よ?」
「でも凪と一緒に居たいし、」
「じゃあご飯食べよ?俺作ったから」
「え、お前が飯作るなんて珍しいな。明日雨降る?」
「失礼すぎ、食べるの?」
「もちろん」
作り置きしておいたお粥を温めて玲王に手作りのお粥を渡す。
渡すとそれはもう今までに数回しかないようなキラキラした目で俺のお粥を見ている。
なんか恥ずかしい。
「まじかよ、あの凪が…」
と言いながら玲王は写真を撮る。
別に撮るほどじゃなくない?
まあ喜んでるしいっか。
「早く食べないと冷めるよ」
「やべ、忘れてた、いただきます」
「どーぞ」
「美味!凪めっちゃうめぇぞ!」
「ちょっと玲王声でかい。これでも病人?」
「俺は今凪が作ってくれた飯に感動してるんだ」
「感動だかなんでもいいけど、覚める前に食べなよ。終わったら呼んで。」
「凪」
「何ー」
「あーん。して?」
え、まじで言ってんの?かわいすぎ。
「はい。あーん」
「ん」
かわいすぎる。やっぱ彼氏最高。写真を隠れて1枚撮った。
「うまぁ、」
とろけそうな笑顔でお粥を食べる玲王。
ほんとに熱あるのか。
「ご馳走様でした、美味かったぞ!ありがとうな!」
「ううん。食べられて何より。少ししたらもう一度熱測って薬飲も。」
「凪」
玲王が服の袖をちょんと引っ張る。
「どうしたの?」
「…今日はちゅーしないの?」
「え、」
「いや、やっぱなんでもない!おやすみ!」
危ない。可愛すぎて襲ってしまう所だった。
「玲王、おやすみ」
そう言って俺は玲王の額にキスをした。
「あのさ、」
「今日一緒に寝ないか?なんつって、」
「いいの?」
「え、」
「で、でも!風邪移っちゃうかもしんないし!べ、別にいいよ!」
「でも俺いたら安心して寝られるんじゃない?」
「それはそうだけど、、」
「じゃあ一緒に寝よ。」
今日だけ。今日だけかもしれないけれど、
「寒くない?」
「おう、おやすみ凪。今日はありがとうな。」
「ううん。早く良くなったらしようね。おやすみ玲王」
「こいつ…最後まで…!!」
一緒に寝れたんだ。
俺らの夏
「あついー、玲王アイスちょーだい」
「おおー、てかお前も1つ脱げばー?」
「めんどくさいからいい」
「ん」
玲王の手から渡されるアイス。
優しい色をしている。玲王の心みたい。
今の季節は夏。ありえないくらい暑い。
クーラー効いてんの?
隣でアイスを食べながら映画を見ている玲王を見つめる。
アメジストのようなキラキラした目が美しい。
玲王のアイスの食べ方は綺麗で1滴も零さずに食べる。流石玲王。
だからといって無防備すぎる。
半袖で脇見えるし、アイスだって舌で舐めてるだけでもうアウト。オマケに太もも。
沢山夏という季節に感謝した。
「ねー玲王、アイス1口ちょーだい」
「ほら」
「ん」
俺は口にアイスを運び玲王の口へと移す
「ちょ、んっ、」
そのまま玲王の口の中でアイスを舐め続ける。
「や、めっ、んん、」
玲王、声漏れてるよ。
かわいい。もっとみたい。
「あー美味しかった。ありがとね」
「お前ありがとねじゃねぇよ!!」
「うるさいー、声でかい」
「ん」
「もう1回、してくれねぇの?」
顔を真っ赤にして誘ってくる俺のかわいい彼氏。
「もーどうなっても知らないからね。」
俺たちの夏はまだ始まったばかり。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「おい凪!首にキスマと噛み跡付けるなよ!
今夏だから隠すの大変なんだぞ!?半袖だし、夏は基本的に露出が高くなるから!」
「えーいいじゃん。玲王は俺のってわかるでしょ?」
「ふざけんなよ!そうだけどさ、」
恥ずかしそうに顔を赤くする玲王。
キスマと噛み跡はどう隠せばいいのか。
あとで千切に聞いてみよ
「お前のせいやろ」
今日はクリスマス。同棲してでのクリスマスは初めてだった。今日は恋人の烏と1日一緒に居ることの出来る大切な日。
そんな【はず】やった。
烏は「俺ちょい出かけてくるわ。なんかあったら電話してや。あと帰り遅いかもしれん。」
「わかったわ。いってら」
「おん」
烏は出かけに行った。今日は僕と2人でいるって約束したやんか。
烏が帰って来る前に掃除と料理の準備せなあかんと。あとプレゼントやんな。
プレゼントは僕が選んだ指輪。結婚指輪ではないけど烏に似合いそうな物を買ってきた。
烏喜んでくれるかな。
そんなことを思っていると
ヴーッヴーッとスマホが鳴った。
ピカッと光った画面に映った名前。相手は烏だった。
「なんや、どないしたん」
「すまん 今日帰れそうないかもしれん。」
「は、?」
「何言うとんねん、今日は2人で一緒に過ごすって、」
「ほんまごめん、急に予定入って、明日でもええか?」
「…もうええ」
「ごめ…」
プツ.
なんや、なんやなんや、そんな僕の事大事やないん?今日は初めてのクリスマスやって烏も分かっとるはずやのに。
急な予定ってなんなん。もうええわ。
1人で過ごすから。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
今日は恋人と2人で過ごす予定やった。
俺はプレゼントを買いに行こうと外へ出かけた。
ケーキと一緒に買ってこようかな。なんて思っていた。
ヴーッと1通の通知が届いた。
バイトの店長からやった。
「今日ほんまにすまんが来れるか?やばいんや。給料は上げる。24時まで頼めるか?」と。
ほんとは氷織と過ごす予定の今日。
だが店長から断る訳にはいけない。
迷った末、電話したのは氷織やった。
「なんや、どないしたん」
といつもと変わらない氷織の声。
俺の心は申し訳ないという気持ちでいっぱいだった。
「すまん 今日帰れそうないかもしれん。」
「は、?」
少し低い声。少しだが驚いた。氷織から低い声を聞いたのは今が初めてやった。こんな声でるんやな。
「何言うとんねん、今日は2人で一緒に過ごすって、」
「ほんまごめん、急に予定って、明日でもええか?」
「…もうええ」
やばい。完全に怒らせた。
「ごめ」
プツ.
やってもうたわ、断ればよかった。
こーゆー時どないしたらええん。帰ったらいつもより多めに甘やかせてやろう。そう思った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【予定は何時に終わるん 答えなきゃ飯無しや】
ほんま最悪。今日は2人でって約束したんに。
一緒に飯食って、一緒に風呂入って、映画観て、ベッドで寝て。そんなことも出来ないんか。
そもそも予定ってなんなん?予定ないわって自分で言ってたくせに。そんな僕の事嫌なんか。
だったらええわ。今日”も”1人で過ごすわ。
そんな事を考えてたら目元が熱くなるのを感じた。ぽろぽろと大粒の涙が溢れてきた。
寂しい。ほんとはもっと一緒に居たい。早く会いたい。零れ落ちてくる涙がそう語った。
洗濯や掃除、課題を済ませているともう夕方だった。
どーせ帰ってこん。そんな気持ちを胸にして飯を作った。
「いただきます。」と1人響く声。
この家はほんまに僕1人なんやな。と改めて実感する。
作ったばかりのスープは美味い。自分でいうのもなんだが料理上手いと思った。
今気づいたが烏の返信は無し。既読もついていない。
「ほんまはよ帰ってこいよ、こっちの気持ちも考えろや。」
今日2回目の涙。こんな泣いたら目が腫れるわな。涙を拭っておやすみの準備と言いたいところだが、玄関で烏を待つことにした。
いっその事烏を玄関の前で待って風邪をひいてやろう。そう考えたのだ。
帰ってくる時間が遅いほど冷える。歯磨きを済ませて靴下を履いて玄関で烏を待つ。
「寒いわぁ」一言呟いた。それから僕は1粒の涙を流しながら意識は飛んでいった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーブッ.通知がなった。
氷織かな?と思ったがあんなに怒っていたのでそんなことはないだろうと無視していた。
それから5時間くらい経った。
ほんま疲れたわ。何してくれてんねん、てかこんな日に呼び出すとか頭湧いとんのか。とか思いながら本命のプレゼントとケーキを買いに行く。行く途中に
(そーいやさっきの通知なんやったんやろな)
と思いながらスマホを開くと氷織からだった。
【予定は何時に終わるん 答えなきゃ飯無しや】
とかかれたメール。
やべ、飯なしや。なんか買うて帰ろ。
それにしても寒い。氷織は今寝てるんやろか。
ちゃんと毛布かけてるんやろか。だんだんと氷織のことが心配になってくる。
早足でプレゼントとケーキを買いに行った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「…ん、」
もう2時間は寝たんやろか、完全に足の感覚が無い。まるで雪の中みたいだ。
履いていた靴下は脱げていた。
なんで脱げたのか考える余裕もなく眠気が襲う。
息苦しい。熱でも出たのか。そりゃこんな寒い中毛布も掛けずに寝てりゃそうなるに決まってる。
「烏まだかな。僕死にそうや、寒い、」
暖かいものが欲しいなんて思いながら再び眠りについた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
玄関の前。やっと帰れたんやなと実感する。
ちゃんと氷織にも謝らんとな。
コンコン.
沈黙が続く。
「氷織ー?居らんの?」
手にかけてみると簡単に開いた。
「なんや、鍵してないんか。不用心やな」
まぁ”そーゆーとこ”も可愛いんやけど。
中をそっと除くと寝ている氷織を見つけた。
「氷織!!なんでこんなとこで寝とるん!」
もしかして俺の事待っとってくれんか。
それやったらやばい。何時からこんな寒い中寝ているのか。しかも毛布もかけずに。
触ると熱い。完全に熱やんな。
「…あ、烏、?帰って来たんや、おかえり、」
と熱のある顔でふにゃっと笑う氷織。
「氷織お前熱あんで。今ベッド連れてくから待っとってな。」怒られる覚悟である姫抱きで運ぶ。
「…烏、」
「なんや?どっか痛いか?」
「…なんで早く帰ってこんかったん、」
「僕、寂しくて、烏が帰ってくるまで、まって、なのに、ぜんぜんかえってこんかった、」
と泣きながら言われる。
一旦氷織を降ろす。
胸が凄く痛い。なんで早く帰ってこれなかったんやろ。なんで断らなかったんやろ。
凄く後悔した。
「とりあえずここじゃ寒いから、ベッド行こ?な?話はそれからや。」
「…ん、」
氷織が手を広げている。珍しい 甘えてくれるのか。
「…だっこ、」
「じゃ行こか。」
運んでいる途中、息苦しいような息が聞こえてきた。
「氷織〜?」
「…ん、」
「よかった生きとった。苦しかったら言えよ」
「ん」
それにしても今日はやけに素直やな。いつもやったら、
「そんなんええわ、僕が何とかするわ」とか言って1人で行くからな。珍しいと思いながらベッドに向かう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
手が暖かい。ちょうどいい温度で温めてくれるその手は大きくて男らしい手。
烏に申し訳ないな、と思いながら眠りにつく。
プレゼント、渡せなかったな。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「…んん、」
「お、起きたか」
「…あのさ」
「なんや、謝罪なら要らないで。元はと言えば俺が帰ってくるの遅くなったからな。今日は2人で一緒に過ごすとか言ったのに約束破ってすまんかった。
挙句の果てにはお前を風邪ひかせて。俺は彼氏失格や。」
「烏」
「なんや」
「僕烏がそんな奴だなんて思ってないで」
「ほんまか?」
「やって破ったのは今日だけやろ?それに玄関で毛布もかけずに待ってる僕も悪かったし、でも破った事には変わりあらへんから許さんで。」
「ほんますまん」
「へ、ちょ、抱きつくなや!こちとら病人やぞ!」
「後で飛んだ甘やかしたるからな」
顔が一気に熱くなったのを感じた。
「どないしたん、氷織顔真っ赤や」
ふざけんなやそれ
あとがき
最後まで見てくださり、ありがとうございます(_ _) リクエストがあれば書きますので是非リクエストお願いします!
コメント
3件
あああ神作😭😭神様ありがとう……ほんと主さん最高👍
全部まぢ、全部神でした...、、、!!! 弱ってるれおもさいこーですね、、ありがとうございます!!!w
もろもろ好みすぎました あのえっとそのめっちゃ良かったです!!