春。桜が満開に咲く、出会いと別れの季節。
今日は宮城県立烏野高等学校の入学式だ。
桜の花びらが散るように、少女が呟く。
「いい天気、」
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入学式。長々と話す校長に周りの生徒が呆れていた。やっと話が終わり式の礼をする。
式が終わった瞬間、周りが騒がしくなった
「疲れた〜」
「校長話長っ!」
「うぉぉぉお!烏野!」
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1年の教室に向かうため、廊下を歩いていると急に騒がしい声がする。どうやら部活の勧誘をやっているらしい。
2、3年の先輩方が必死に勧誘していた。
少女も少し興味を持つが
(何処にも入らないけどね、)
と片付けてしまう。部活にはあまりいい思い出が無いらしい。
少女は勧誘を避け、自分の教室である1‐1に入った。
やがて時間になり、担任の教師が入ってきた。
「よろしく」
彼女は短く挨拶を済ませると、学校の事について話始めた。
(女の人か、かっこいいな、)
少女はそう思いながら話を聞いていた。
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今日は短縮授業だったのであっという間に放課後になった。
(早く帰ろ)
少女はそう思い、学校を後にする。
少女はあまり目立ちたくなかった。
中学のとき、美人で有名だった少女は人の目線が気になりプレッシャーを感じるようになってしまったのだ。だから高校では目立たないようにしようと、決意して入学したのだ。
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入学してから1、2週間程経っただろうか。
少女はいつものように登校していた。
彼女は無心で歩いており、後ろの声に気づく事が出来なかった。
「影山!学校まで競走だ!」
「はぁ?お前自転車だろうが!」
「あれ?影山クンは自転車にも勝てないんですか〜?」
「余裕だ、日向ボケェ!」
「じゃあよーい、ドン!」
「うぉぉぉお!」
「うぉぉぉお!」
「遅いですよ、影山クン」
「おい、日向 前!」
「へ?」
「えっ”」
少女が気づいたのと同時にドンという音を立て、自転車と少女がぶつかる。
「うわぁ、すみませんすみません!」
と、自転車に乗っていた方少年が慌てた様子で声を掛けてくる。
「おい、日向ボケェ!!」
後から背の高い少年が怒りながらやってくる。
「大丈夫ッスか?」
背の高い少年が少し心配そうに聞いてくる。
「大丈夫ですよ。あまり痛く無いですし…」
そう言って少女が立ち上がろうとする。
「痛っ!」
突然体に痛みが走る。足を捻ったらしい。
「大丈夫ッスか?」
背の高い少年が手を差し伸べてくれる。
「ありがとうございます、」
少女は少年の手を借り立ち上がった。
「俺、1‐3の影山飛雄です」
背の高い少年はそう名乗った。
「お、俺1‐1の日向翔陽です、すみません、!」
少年は焦りながらそう名乗った。
「私は1‐1の一条翠嶺です」
少女も自己紹介を終える。
「俺学校までおぶっていきましょうか?」
影山がそういう。
「お、俺が!」
日向も焦りながらそういった。
「お前は自転車あるし、背低いから無理だろ」
と、ド直球に言葉を発する影山に
「な…!!」
と、日向が驚きの声をあげる
影山はそんな日向を気にせず一条の前にしゃがむ。
「どうぞ」
一条は少し焦りながら
「いえ、申し訳ないです、」
と、答えるが、影山のまっすぐな視線に負け、
「お願いします…」
と答える。
校門に着き、生徒が多くなるとたちまち目線を感じるようになった。
「あれ影山君だよね?」
「誰かおんぶしてる〜!」
「美人だ!」
そんな目線を感じるながら焦る一条と何も気づいていない、影山。自分が怪我させてしまったという罪悪感に侵されている日向。沈黙が続いた。
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