コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
あれから数年…
葛葉side
「はぁ…ランク下がったぁ…」
(でもやめらんねぇ)
魔界から独り立ちしたサーシャは、
葛葉と名乗って人間界で暮らしていた。
(ん?なんか連絡来てる)
葛葉さんへ
にじさんじへのご加入のお誘い
(お、ちょうどオーディション受けようと思ってたんだよな)
一度事務所へお越しください、か。
行きたくないけど…しょうがないな。
叶side
『落ちちゃったか〜』
(まぁ元々受かるなんて思ってなかったし)
あれ、○○さんから連絡来てる。
叶くん、にじさんじの別グループに入るつもりはない?
新しく立ち上げる予定なんだけど、もし良かったらライバー、やってみない?
『え!?』
受かっちゃった…
ライバー、やりたいです!
よろしくお願いします。
了解。よろしくね。
早速○日に事務所来れる?
はい!○時に向かいます!
やった、やった!
嬉しい…
「ここか…?」
建物に入って「葛葉です。」と名前を伝えると会議室に案内された。
外に出るのなんて久しぶりで、もう帰りたい
ドアを開けると、友だちがそこにいて。
「え、かなえ?」
「かなえ!!」
照れくさかったけど、昔のかなえのように抱きついた。
『うわっ!?』
やっぱり驚いている。
『あの…』
「どーした?」
『どちら様、ですか…?』
「え?」
今なんて…?
『すみません、知り合い?なのかな?』
何を言ってる?
かなえの声が遠くなっていく。
そのときドアが開いて○○さんが入ってきた。
「おはよう!って何この空気」
「そっかまだ紹介してなかったね」
「えーとこちらが叶くんでこっちが葛葉」
「これから同じグループでやってもらうから!」
「2人とも正反対で、補い合えると思うんだよね、仲良くしてあげてね!」
「もう叶くんの手続き終わったから、2人ともゆっくりしていきな〜」
人違いではなかった
かなえは俺のこと忘れてる…
俺はずっとお前のこと考えてたのに…?
「話すことなんてねえよ」
小さな舌打ちが漏れて、急いで部屋を出た。
『ちょっと…!待ってください!』
バタンッ
ドアを閉めたら声は聴こえてこなかった。
1人取り残された部屋で必死に考える。
出会った瞬間に感じた既視感。
頭にもやがかかって思い出せないことに葛葉さんが関係している。
謎の確信が僕にはあった。
あと少しで思い出せそうなのに…
窓の外は青空で、下を見ると事務所を出ていく葛葉さんの姿が見えた。
急いで荷物を持って事務所を出る。
『ちょっと待って!』
振り返った葛葉さんの表情は暗くて
その細腕を掴んで叫んだ
『僕!記憶を失っていて!思い出せないんです!』
「どういう、こと…?」
俯いていた葛葉さんが顔を上げる。
『僕は幼い頃倒れてから、その前の記憶が断片的になくなっています。』
『でもそこに葛葉さんがいた気がするんです。』
『教えてください。何があったのか。』
葛葉さんは全て話してくれた。
最初は知らない話だったはずなのに、涙が溢れてきて最後には全て思い出していた。
『サーシャ、だったんだね』
「ごめん、分かりづらくて。」
『こんな声だっけ?こんな話し方だっけ?
大きくなったね!前はこんなだったのに』
「それはお前もだろw」
………
「……こ、」
「これからは葛葉って呼んでくれ、ますか?」
『…ふふ、なんで敬語なのw』
『葛葉!よろしくね!』
「…うん、よろしく」
葛葉はずいぶん変わっていた。
僕と別れてから数年の間に何があったのだろうか。
明るくて人懐っこい性格は影を潜めて、人間不信になっていた。
何があったのかは知らない。
でも再会できたから。
これからは葛葉が僕を救ってくれたように、僕が葛葉を救ってあげたい。
俺らは幼い頃の秘密基地に2人で行くことにした。
叶も記憶が完全では無いらしい。
『葛葉は吸血鬼って周りに言ってないの?』
「いや、受け入れてもらえる環境を見つけたから。これからはそれを武器にしてやってくつもり。」
『なら…良かったね…』
話しながら歩いていると商店街に着いた。
「どこも…やってない…」
1本入ると、そこは錆れたシャッター街となっていた。
毎回食べていたいちご飴屋さんの場所も思い出せない。
『こんな場所だったっけ、』
「さあな、よく覚えてねぇや」
『だ、よね』
あの頃は目に映るもの全てが輝いていた。
息をしているだけの今とは違う。
『これが時の流れなのかな』
「だとしたら、大人になんてなりたくなかった」
「大人って面倒くせぇ」
『疲れちゃうよね 正直ね、』
「人種がどうとか、学歴がどうとか」
「そんなに大事か…?」
『それでしか相手を測れない、悲しい人もいるんじゃない?』
「そういうものなのか」
『うん』
「帰るか」
『だね』
俺たちは何も言わずに帰路についた。
配信活動を初めてから、叶の言う「悲しい人」をよく見かける。
人を上辺でしか見られない文字たち。
(反吐が出る)
知らない方が良いことばかりが知識として溜まっていく。
何故だか生きていてとても虚しい。
僕は倒れてからというもの、穏やかな暮らしを手に入れた。
里親も見つかり、愛情を注がれて育てられた。
人並みの人生を送っていくと思っていた。
それなりに幸せな、はずだった。
何故か葛葉との過去を思い出して以降、心にポッカリと穴が空いたような気分になる。
せっかく再会できたのにどうしてだろう。
いつものように配信をしているとき、この虚しさをリスナーに聞いてみようと思い立った。
「なぁ、子供の頃を思い出して虚しくなるっつーか」
「時が止まったままで周囲から乖離していくみたいな感覚、ない?」
コメ【ビーターパン症候群的な?】
「ピーターパン症候群?」
コメ【大人になっても精神状態が子供のままってやつ】
「あー、近からず遠からずかな、?」
「ありがと」
「んじゃ、またね〜
対ありーダイアリー」パッパッパッ
ブチッ
(ピーターパン症候群…ね、)
「ちょっとお二人にご提案がありまして…」
今日は葛葉と二人で会議室に呼ばれていた。
あれから二人でのユニットも組んでおり、そこそこ順調にやっている。
(どうしたんだろ?)
「アイドルユニット的な活動をしようと思いまして」
『「アイドルユニット」』
「そうです。歌を出したり、番組を持ったり、ダンスも少しずつやっていければと。」
「それは…」
「あぁ、少しずつで構いません!
無理にとは言いませんし!」
『僕は賛成だけど、葛葉は?』
「俺は…い、いいと思います。」
「分かりました!進めていきますね!」
バタッ
『大丈夫?顔真っ青だよ?』
「ちょっと苦手なだけだから、気にすんな」
『でも…』
……
数秒の沈黙が流れた。そして
『ねぇ葛葉、』
「なに。」
『逃げちゃおっか』
「は?」
「いや何から?」
『この世のしがらみぜーんぶ捨てて、』
『二人だけの世界に、逃げちゃおうよ』
「んなこと出来るわけ」
『出来るか出来ないかじゃなくて』
『するかしないか、でしょ』
自分でも何を言っているか分からない。
全てを捨てる必要なんてない。
むしろ僕らはこれからだ。
なのに、口をついて出た言葉に、
「それ、乗った」
無邪気な声でサーシャは言った。
『ねぇー!高いって!』
「これくらいのほうが逆に良くね?」
『逆とかないから!』
「ww」
僕たちは高層ビルの屋上にいる。
「心の準備できた?」
『だ、だいじょーぶ!』
「おっけー、行くよ!」
『「せーの!」』
あれ?羽開かん
まじか
まぁいいでしょ
飛んでることには変わりないし
ふはっw最期までサーシャらしいね
終
あとがき
長い長い駄文を読んでくださりありがとうございました。
くろのわファンで、彼らの「歌ってみた」の歌詞と本人達の重なりがとても好きなので、今回「再会」という曲で物語を作りました。
「再会」の歌詞を私なりに考察して表現した、「子供の頃に囚われた二人」を感じていただけたらこの上ない幸せ( ´˘` )
現実と重なるエピソードもありますが、完全にご本人様とは無関係なのであくまで二次創作として楽しんでいただけると幸いです。
まだ「歌ってみたパロ」シリーズは続くのでお楽しみに!
それではこれで失礼いたします。