krsm
地雷 閲覧注意
オフィスパロ
sm side__________
sm「なあ、きりやんって、なんでそんなに人たらしなんだ?」
俺は、紙コップのコーヒーを片手に、隣で笑う同期にぼそりと呟いた。
どうしたらどうでも良いと思える人と関われるんだ。
kr「ん?なんだよ、なに嫉妬?可愛いねぇ~スマイルは」
sm「誰が嫉妬するか。真面目に聞いてんだよ」
毎回こんな調子だから気が狂う。
ここは都内の一等地にある広告代理店『White Tails』
新卒で入社した俺たちは、営業部の中でもやたら忙しいと噂の第3チームに配属された。
そして、なぜかそのチームで“同期ペア”が組まれるという謎の制度のせいで、俺とこいつ、きりやんは入社早々からずっと一緒だ。
正直、初めて会ったときから印象は最悪だった。
kr「おっ、スマイルくん!よろしく!なんか堅そうなやつきたなーって思ってたよ」
sm「、、、え?うん」
俺は無駄に明るい奴は苦手なんだよ、、
そんな出会いだったくせに、なぜか会話は続いてしまって、仕事のやり方も案外息が合う。
それがまた、気に食わねぇ、
こいつは何でもそつなくこなす。プレゼンの資料だって、笑いながら一晩でまとめてしまうし、クライアントには可愛がられる。
俺が努力して積み上げてきたことを、あっさりと追い越してくる。
なのに、いつだって俺のほうが___
kr「見すぎ。そんなに俺のこと好き?」
sm「バカ言うな」
コーヒーを飲むふりをして視線を逸らす。
そうでもしないと、このややこしい気持ちに、名前をつけたくなってしまいそうだから。
____________
時計をちらりと見ると時刻12時。
社内会議まであと1時間、何とかプレゼン出来るように準備を進めていた。
社内会議室、13時。
新商品の企画プレゼンの席には、営業・開発・デザイン、それぞれの担当者がそろい、ピリッとした空気が漂っていた。
スライドに目を通しながら、クライアント側の担当が一言。
「この広告案、少し攻めすぎじゃないですか? ターゲット層とズレが出そうに思いますが」
その指摘に場がざわつく。
企画したのは俺。
俺は一瞬言葉を詰まらせた。
するときりやんがすっと口を開いた。
kr「確かに、目立ち方は攻めてるかもしれません。でも、だからこそ話題性が出ますし、彼が出してきたデータには、“尖ったデザインへの反応率”が明確に現れてるんですよ。見ていただけますか?」
そう言って、きりやんはサブスライドを操作し、俺がまとめた市場データを表示させた。
俺は思わず横目できりやんを見てしまった。
なんで、そんなに自然にフォローしてくるんだ?
だが、それだけじゃなかった。
今度は、きりやんが自分のアイデアを説明している場面で、別の先輩社員が口を挟む。
「でもさ、きりやんの案って、結局“ノリ”に頼ってない? 企画書の中身、ちょっと感覚的すぎるよね」
俺はいても経ってもいられなかった。先輩の言葉と被せて続けた。
sm「直感的に見えるかもしれませんが、実は裏付けあるんです。…たとえば、この部分___先週のトレンドと一致してますし、そこを拾ってるのが、きりやんの強みです」
「ほぅ、スマイル、お前がそんな言い方するとはな」
sm「事実を言っただけです」
それぞれが、自分の手柄でもないのに、自然と、無意識に、相手の“武器”を見つけて守っていた。
プレゼンが終わり、会議室を出た瞬間。
kr「何、?お前、さっきの、フォロー?」
sm「別に。俺は事実を言っただけだ。お前こそ」
kr「いやぁ、、俺も事実を言っただけ」
目を合わせることはなく、けれど少しだけ嬉しそうに笑って俺らは並んで廊下を歩いていった。
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会議が終わってからも打ち合わせがあった。
社内での長引いた打ち合わせのあと、時計はすでに22時を回っていた。
誰もいないオフィス、消灯されかけたフロア。
俺が資料をバッグにしまっていると、後ろからきりやんがやってきた。
kr「お、まだいたんだ。帰るなら一緒に行こう」
sm「別に、いいけど」
二人でエレベーター前に立ち、しばらくして扉が開く。
当然、乗っている人はいない。
静まり返ったエレベーターに、ふたりきり。
中に入ると、すぐに扉が閉まる「ウィーン」という音だけが響いた。
広くもない箱の中、並んで立つには少し近い。
、、近い。
それを意識した瞬間、俺はは少しだけ身体を傾けて距離を取るが、それでも肩がかすかに触れる。
きりやんは気づいているのかいないのか、いつもの調子でぽつり。
kr「今日のプレゼンで、スマイルが俺をフォローしてくれたとこ、あれちょっと嬉しかった」
sm「フォローしたつもりは無い。俺もその案がいいと思っただけ」
kr「ふーん、そういうことにしとくよ」
エレベーターは静かに降りていく。
無音。少しだけ気まずい空気。
そんな中、きりやんが不意に俺のネクタイに手を伸ばす。
sm「ん、ぇ、ちょっと、、」
sm「えっ」
ぐい、ときりやんの指がネクタイの結び目に触れて、軽く引き締める。俺のネクタイが緩んでいたようだ。
俺は一瞬、息を止めた。
ち、ちかっ、、
視線がぶつかる距離。
きりやんの指が触れた喉元が、じんわり熱くなるのが分かった。
kr「ネクタイ緩めるの癖になってんの?」
何を言うか。仕事で解けていただけであろう。
sm「いや別に。でもきりやんに締めてもらう必要はない」
kr「緩くても似合ってるよ。でもちゃんとしてるほうが、スマイルらしいよ」
そんな何気ない言葉に、心臓がドクンと鳴った。
エレベーターが1階に着く音がして、ふたりは視線を逸らした。
扉が開くまでの、わずかな沈黙。
この空間にもう少しだけ閉じ込められていたいと思ったのは__
どちらだったのだろうか。
To Be Continued…
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こんばんは、にょっきです。
久々に書きたくなったので戻ってきました。
気づいたら1190人ものフォロワーさんが、、😿ありがとうございます。
不定期で気分で上げていくので気が向いたら顔を出して下さい。よろしくお願いします、
コメント
2件
わー!まさか会えるなんて!! こちらも時々、ドキドキしながら顔覗きに行きます。