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kyng side
星導の失踪から、俺はあの日の事を悔やんだ。
あの日そのまま拠点に戻らずに星導を探していたら。
もっと星導の持ち場を気にかけていれば。
日に日にその事だけで頭が占領され、後悔ばかりしている毎日になっていた。
そうやって自分を責める毎日だったが 過去は変わらない。俺が少しでも星導の情報を掴まなくては状況はずっとこのままだ。
それから俺は任務と暗殺業をこなし、本来睡眠時間としていた時間を星導の捜索に費やした。
東、星導の家、星導がお気に入りと言っていたお店。電話を何度もかけ、暗殺業の方から情報を探したりもした。
昔の俺ならここまでしなかっただろう。ただ星導の事だからという理由だけで俺を動かす。
別に前々から気づいてはいた。ただ認めるのが怖くて、あいつに拒絶されるのが耐えられなくて、この関係で満足するべきだと自分を言い聞かせて見て見ぬふりをしていた。
でもあいつが居ない日々がこんなにも静かなものだとは思わなかった。
「 っは 、 俺あいつのこと大好きじゃん 」
人にちょっかいかける悪戯なところも、笑うところも、星導は表に出していないつもりだろうが実は仲間思いであるところも。
俺にとって星導という存在は大きいものになっていたらしい。
そんなある日俺にも限界というものが来た。任務のミスは増え暗殺業も中々進まなくなっていた。白狼だからそこら辺の人よりは頑丈だと思っていたがどうやら睡眠は必要らしい。俺にもっと力があれば、
少しでも早く、あいつを見つけられたのに
「 どこいったんだよ、」
今日は定期的に開かれる会議がある日だった。
既に扉の前に着いているがドアノブを押すことはできない。
昨日も街を夜遅くまで探し回っていたせいか調子が悪いし、こんなとこあいつらには見せたら間違いなく説教コースだ。
「覚悟決めるか、」
寝ていないからか早く着いてしまったがここで立ち塞がる訳にもいかないと 思い重い足取りで拠点の扉を開くとカゲツが既に中にいた。
「 おぉ、小柳やん 今日は遅刻せんかった
な……って お前 っ ?! 」
「 よ、 久しぶり…。」
カゲツの反応的に俺の顔は思ったより酷かったみたいだ。熱の自覚なかったやつが熱あると知った途端体調が終わるのはこういうことか、
一気に体調が悪くなる感覚に襲われ
フラフラとソファに足を運び体を預ける。
「 すまん、ライが来るまで少し休む…」
そう言い俺は瞼を閉じた。
ライも到着して俺は重たい体を起こした。
睡眠時間が足りなかったのかまだ少し眠い。
ただ今日は任務の話で、最近増加している原因についての報告があるらしい。
俺自身も今回の件は気になっていたし、何かが起きているのは明らかだ。 まだ重たい瞼だが再び閉じないよう目を擦り、会議用の椅子に座り直す。
ライが鞄から書類を取りだし会議が始まる空気感になる。
「 今日は最近の任務についてもなんだ けど…
星導のことについても話そうと思う」
は、星導…?
「 おい ! 星導について何か分かったのか 」
「 小柳落ち着いて 今から話すから」
今まで行方を探して何も掴めなかった状況から動きが見え、思わず声を荒げる。
だって居なかったんだぞ。東にも西にも、情報も流れて来なかった。なんで今この時期に、
あいつの事をぐるぐる と考えてくうちに頭が痛くなる。
「 これは俺の憶測に過ぎないんだけど、 俺
は…最近起きている現象と星導が関係して
いると思う。断言は出来ないけど 星導 が消
えたあの日を境に この現象が起きてる」
「 …どういうことや 、」
「俺も最初は目を疑ったんだけどね。 この
データを見てほしい」
そう言われ俺達の前に一つの紙が置かれた。
そこに書かれているのは敵の増加率を日ごとに表しているデータ。
「 星導が消えたのは1ヶ月前のこの日。
そして丁度次の日からグラフが右上がりに
なり始めてる」
伊波が指でグラフを指しながら淡々と俺達に説明をする。
「 偶然の可能性はないんか」
カゲツが伊波に問う。確かにグラフは星導が消えた日から上昇しているがいくらなんでも証拠が少ない。
「…実は、この間別場に派遣されたヒーローが
助けた市民に聞いたところ、紫髪の女の人
を見たって情報があって、」
「 女の人…? 」
「 うん、俺も信じたくはないんだけど、
ほ ら、髪の色は一致しているし星導は長髪
で女性に間違えられた可能性があるなっ
て、」
確かに星導は美形だ。小顔で鼻が高く、声さえ出さなければ女性と間違えられる事も十分にある。先程まで信じられなかった言葉が段々と俺らの中で確実性を増していく。
星導と関係があるなら星導の身に何かあったということだ。
少しずつ信憑性が上がっていくライの憶測に全員言葉が出なくなり静かな空気が流れる。
カゲツは下に俯きライは何か声をかけようとして口を紡ぐ。
少し経った頃ライの端末が音を鳴らす。
「 あ、ごめん 本部から呼び出しだ
俺もう行かないと 」
「 最近呼び出し多くないか? この間も
呼び出されとったやろ 」
「 ん、? そうなのか? 」
最近多忙で中々拠点に顔を出せていなかった為状況を把握出来ていなかった。 確かにライは俺達に情報を伝達するためによく上層部に行っているがそこまで多くなかったはずだ。
「 あーうん。最近ね 少し話す事が多くて
…ごめん俺もう行くね 部屋の鍵は
頼んだよ 」
そう言いライは乱雑に書類を鞄につめ始める。
いつもはファイルに丁寧にしまうのに珍しいな。そんなに緊急なのか。
詰め終わった荷物を持ち上げ部屋の扉を開けようとするライにカゲツが話しかける。
「 すまん伊波。ひとつ聞きたいんやけど
あの山の拠点の件どうなったんや 」
「 あー、あれはまだ調査がついてないね。
また情報がきたら教えるよ」
「 分かった。ありがとな 」
「 山ってこの間のやつか? 敵の拠点らしき
ものを見つけたっていう」
西にはひとつの大きな山がありその下に住宅が並んでるような地形になっている。山は住宅を建てるために随分削られていたが広すぎるが故にまだ未開拓の場所も多い。
この間調査員が未開拓地に足を踏み入れたところ建物が発見され その場所から敵も発見されたことから拠点では無いかと予想づけられている。
「 そうそう。あんまり本部の調査は進んでな
い みたいやけどな 」
…そういえば、俺山は行ったことがないな。
ずっと星導が居そうな場所として住宅地を探していたが 山に立ち寄ったことは無い。
、もしかして…いる可能性もあるのか
「 狼どうしたんや 顔にしわがよって爺みたい
やぞ。 あー元から爺か」
「 おい誰が爺だ。 なんでもねぇよ別に
..俺一旦帰るわまた今度な」
「 おー またなー 」
カゲツに別れを告げ外に歩みを進める。
山にいるってまだ確定している訳でもないから 巻き込む訳にはいかない。
俺がやらないと 。
続く
この話が一段落したら別の話も上げる予定です
リクエスト等あればコメに書いていただければ嬉しいです