偽り
「お前はどこか…真一郎くんに似てる。」
やめて。
「ほんと…あの人みてぇだな」
やめて
「兄貴のように叱ってくれ」
やめてくれ。
「東卍を…頼むぞ、相棒!」
いやだ。
「みんなを助けてくれ…泣き虫の”ヒーロー”!」
ちがう。
「じゃあな…俺の…”ヒーロー”」
ちがうんだ。
「俺の、ヒーローだった。」
おれは、
『タケミチくんは、タケミチくんだよ。』
俺は俺なんだ。
「マイキーを、東卍を…頼むぞ」
だから、
「マイキーを…よろしく…ね…」
だから、
「マイキーを…よろしくな…」
だからさ、
「ヒーローって…こういう人の事を…言うんだなって。」
「そう、思いました。」
もうこれ以上、
「兄貴のように叱って欲しかった。」
俺に、
押し付けないでくれ。───────
おれは、俺なんだ。
“真一郎くん”でも、”ヒーロー”でもない。
ただの、
逃げてばっかのダサくて弱い男。
こんな俺に、
何が出来る?
そんな疑問、
誰にもぶつけることなんてできなくて。
今日もおれは、
「た〜けみっち〜!!」
「今行く〜!!」
───────自分を『偽る』。