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noa.「…今日からお前の同居人になる、ミヒャエル・カイザーだ」


kaiser.「クソありがたく思えよ、世一ぃ♡」


その憎たらしいくらいに美しい顔に勝るほど、衝撃の事実を告げられた俺は、思わず絶句してしまった。


ブルーロックプロジェクト終了後、バスタードミュンヘンのオファーを受けた俺は、高校卒業後すぐにドイツに渡った。

今日からドイツでの新生活がスタートするということで、契約しておいたアパートに向かったのだが。


isagi.「ははっ…まじでついてねぇ…」


そのアパートは火事により、俺が来た時にはもう人が住める状態ではなかった。

幸い怪我人はいなかったようだが…俺の寝床がない。

ホテルを借りようにも、新しい家を探すのには時間がかかるし、長期では借りられない。

とりあえず、指導者であるノアに連絡することにした。


isagi.「もしもし?ノア…」



そして、話は冒頭に戻る。


isagi.「なななっ、なんでお前が!?」

kaiser.「失礼な反応だな?わざわざ家を貸してやるというのに」

noa.「潔、我慢しろ。今はカイザーしか頼りになる奴がいない」


話を聞くと、電話の後、ノアがバスタードミュンヘンの選手たちに俺を泊めてくれる人がいないか聞いてくれたそうで、そこで真っ先に手を挙げたのがカイザーだったそう。

ノアの言う通り、今はとても困っているし、カイザーとはいえ顔見知りだと安心するし…


isagi.「…じゃあ、よろしくお願いします」

kaiser.「…!」


気のせいかもしれないけど、カイザーがちょっとだけ嬉しそうな顔をした気がした。



isagi.「うお〜〜っ…さすが年俸◯◯億の家…」

kaiser.「世一クンのちっちゃなお家とは比べものにならないでしょうねぇ」

isagi.「うるせえよ」


あの後、すぐにタクシーでカイザーの家に向かったのだが、外観からしてとてつもなく高そうな家だった。

カイザーの言う通り、俺の住もうとしていたアパートとは比べものにならないくらいに。


isagi.「…ばたばたしてて言いそびれてたけど、泊めてくれてありがとうな、助かる」

isagi.「家事はちゃんとするし、家賃も…」

kaiser.「クソいらん」

isagi.「え…でも申し訳ないし」

kaiser.「この家の家賃は今のお前じゃ到底払えない。半分の額でもな」

isagi「…」


ぐうの音も出ない。


isagi.「…じゃあ何か変わりにできることない?」


それを聞いて、カイザーはしばらく黙った後、俺の背中に手を回した。

そう、ハグである。


isagi.「…っえ?」

kaiser.「これでいい。毎日俺にハグをしろ」


波乱の同居生活の、始まりである。


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