『眠たいフリしてるの、バレてますよ?』
夏の午後、冷房の効いた職員室。
今日の出勤は、矢本先生と翔先生だけ。
生徒がいないせいか、ふたりともゆるめの空気をまとっていた。
「……翔、寝たふり、やめなさい」
矢本先生の声が静かに響く。
ファイルを片手に、隣の席をちらりと見下ろす。
「……Zzz……」
「……ため息」
翔先生は、いつものように椅子をゆるく倒し、目を閉じていた。
しかし、口元にはほんの少しだけ笑みが浮かんでいる。
(バレてる。絶対起きてる)
矢本先生はコーヒーを置いて、そのまま丈先生の背もたれに手を添える。
「……ほんとに寝てたら、今ここで揺らしても文句言わないよね?」
「ひゃっ!?ま、待ってってば、起きてる起きてる!!」
椅子が軽く揺れると同時に、丈先生は飛び起きた。
髪が少し乱れて、目もとが赤い。
寝てないアピールをしようとしたくせに、声が完全に眠たげである。
「なに?矢本先生、俺のことそんなに構いたいんですか?」
「そうだよ。だって君、最近全然俺の話ちゃんと聞いてくれないから」
「聞いてたよ。さっきの“社会の平均点が下がった話”、眠りながら聞いてた」
「寝てたじゃん……!」
思わず笑いながら、矢本先生は翔先生の髪をくしゃっと撫でる。
乱れた前髪を直すついでに、そっと額に手を当ててみる。
「……熱はないみたいだけど、のぼせてない?顔赤いよ?」
「なっ……ち、ちが……室温高いだけ!」
「はいはい。君ってほんと、わかりやすいね」
矢本先生は、翔先生の耳元でいたずらっぽく囁く。
「ねぇ、今夜も電話していい?」
「……ぅわ、……それ今ここで言う!?生徒いないからって、油断しすぎでしょ!」
「じゃあ、放課後に言う?」
「もっとダメじゃん!!」
赤くなった翔先生がわたわたしてる横で、山本先生はファイルを開いて、何食わぬ顔で作業に戻る。
――その横顔がちょっとだけ誇らしげなのが、ずるい。
静かな職員室。
クーラーの音の合間に響く、ふたりの笑い声だけが、今日もやさしく空気をゆらしていた。
ーー「丈先生がすねて、山本先生にこっそり甘える職員室の午後」ーー
『俺のこと、最近ほっときすぎじゃない?』
夏休み中の職員室は、どこか空気がゆるくて。
エアコンの音と紙のめくれる音だけが静かに響いている。
矢本先生は、社会の教材準備を黙々と進めていた。
資料集とプリントを机の上に広げ、赤ペン片手にスラスラと添削。
――と、その時。
「ねぇ……」
不意に後ろから、声が落ちてくる。
振り向かずとも、誰の声かなんてすぐわかる。
「……翔?どうしたの?」
「どうしたの、じゃなくて。さっきから、俺のこと全然構ってくれないよね?」
「……」
矢本先生は、赤ペンの手を止めた。
静かにくるりと椅子を回すと、翔先生がそこにいた。
椅子ごと横向きになって、頬をついてふくれ顔。
矢本先生の視線をわざとらしく外して、そっぽを向いている。
「もしかしてすねてる?」
「……知らない。矢本先生、プリントと話してれば?」
「翔」
机越しに手を伸ばして、軽く指先でトントンと呼ぶ。
「ふーんだ。別にいいし……」
なおもぷいっと横を向いている翔先生に、矢本先生は小さくため息をついて。
「……じゃあもう、こうするしかないね」
そのまま身を乗り出して――
翔先生の椅子の背に腕を回し、後ろからやさしく抱きしめる。
「っ……な、なにすんの、ここ職員室だよ!?」
「生徒いないから大丈夫」
「見られたらどうすんの!?ていうか俺、怒ってるんだけど!?」
「うん、かわいい」
耳元で言われて、翔先生の顔は一気に真っ赤になる。
「もー……っ、ほんとに、ずるい……!」
「構ってほしかったんでしょ?」
「……そうだけど」
「じゃあ、今日はプリント放って、翔の好きなアイス買いに行こうか」
「……ほんと?奢ってくれる?」
「うん、翔の機嫌なおるならね」
ようやく機嫌が戻ったのか、翔先生は小さく笑って、そっと背中に頭を預けてくる。
「……あとで俺んち来てよ。……今日だけ、俺の話ちゃんと聞いて?」
「……もちろん。ちゃんと構うから」
二人だけの、夏の午後。
ゆるい職員室に、甘えた空気がふわっと満ちていた。
翔先生の寝顔、矢本先生静かに眺めててほしいなぁ、、笑
翔先生担当のクラスの生徒から、翔先生が寝ていたと、情報をもらったもので、、わたくしも見たかったぁッ!!
好きな人の寝顔とかまーじでみたい
需要しかない
あと、翔先生は矢本先生と二人っきりのときに、甘えててほしいです!!






