テラーノベル
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アヌいばの死ネタです。地雷、アンチはバックしてね。主=茨木童子。キャラ崩壊気味。
ー茨木童子が死んだ。アイツが心を病んでるのは分かってた。いざとなったら、冥府の守護神の権限フル活用して眷属にしても良いから、守ろうと、生かそうと思ってた。でも、アイツが少し。ほんの少しだけ元気になったように見えた。それで俺は、「あぁ、少し元気になったんだ」
そう思い放置してしまった。
「茨木童子」そう呼びかけてもアイツは戻ってこない。あぁ、分かってる。分かってるのに、どうして。どうして
「アヌビス、どうしたの?」
そう俺に呼びかける声が聞こえてくるのだろう。
もう何度目かも分からない。アイツの写真を眺めながら、俺は呼びかける。
「何で、何で死んだんだよ…。折角俺にも生きる意味が出来たのに…!」
気づいてやりたかった。あの笑顔は、俺を心配させないように作った偽りの笑顔だったのだと。なのに、なのに。
「アイツを1番見てきたのは俺なのに…偽りの笑顔と本当の笑顔の違いも分からなかった…」
数週間前の自分が恨めしい。あそこで、無理やりにでも本当の気持ちを聞き出せばよかった。嫌われても、憎まれても良かった。それでアイツが壊れたとしても、俺が養ってやったのに。結局俺は、憎まれるのが、嫌われるのが怖くて聞き出せなかった。
「何が冥府の守護神だ!最強だ!アイツを守れなきゃ、何の意味も無いのに!」
写真に話しかけたところで、返事は返ってこない。俺はただ、幸せそうに笑っていた頃の茨木童子の写真を見ることしか出来なくて。それが悲しくて、悔しくて。認めたくなくて。あの笑顔を見ることはもう出来ないのだと思いながら、俺は眠りについた。
「おはよう。茨木童子」
そう話しかけても返事は返ってこない。当たり前だ。アイツはもう、この世にはいないのだから。
にしても、神って死ぬんだな。いや、平安時代に鬼神とは恐れられていたが、部類は一応悪霊か。
そんなどうでもいい事を考えながら、俺はアイツの写真を見るため、アルバムを開く。そこにはメモがあった。
「なんだコレ」
手書きの文字。茨木童子の筆跡だ。
「…茨木童子?」
そう絞り出すのが精一杯だった。何故なら、そこにはこう書かれていたのだから。
「アヌビスへ。
アヌビス、多分引きずってるでしょ。分かるよ。ずっと見てきたんだから。後ね、神とか悪霊は死んでも住む場所が黄泉の国になるだけ。普通に遊びに来られるから、そこまで引き摺らないで。アヌビス、霊感あるでしょ?いつかは分からないけど、遊びに行くから余の好きなバニラを用意して待っててね。黄泉の国の缶ジュースあげるから。
茨木童子」
涙が止まらない。
「心配させやがって…。次にあったら生き返らせてやるから覚悟しとけ」
そう呟きながら、俺はアルバムを閉じる。本人からのお達しだ。バニラを買いに行かないと。
外に出た俺はそう思いながら、俺は茨木童子に思いを馳せる。
いつかは分からないが、遊びに来るのだ。また、あの笑顔が見られる。そう思うだけで俺は生きられる。
家に帰ると、机の前に愛しい恋人はいた。
ソイツは俺にこう言う。
「ただいま。アヌビス。」
俺は茨木童子を抱きしめる。
「遅せぇよ。バカ…」
「ごめんごめん。」
最後の方は言葉になっていたのか分からない俺の声を聞きながら、茨木童子は微笑む。
またこの笑顔が見れた。これからは、住む場所が違くてもずっと一緒だ。
俺が生きていて安心したのか、茨木童子がまた微笑む。
やはり笑った顔が1番可愛い。
これからはずっとその顔を見せてくれ。そう言いかけて、俺は止まる。
俺が喋るより、まずはこの無言の時間を過ごしたい。おそらく、俺の思いは伝わっているはずだから。
そう思いながら、俺は目の前の恋人の笑顔に思いを馳せながらこう言った。
「おかえり。」
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