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藍染様の狂信者

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藍染様の狂信者

1 - 藍染様の狂信者

2023年10月03日

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「よっ……と。道のど真ん中で倒れられると困るんだよね。旅禍 の方〜?生きてます?」

「……」

「……あれ?死んでる?まあいっか。旅禍が死んで困ることないし。藍染様も特に気にしてなかったし」

「……」

「ん?……あれ、この感じ……。この人、虚か。うーんでも死神の霊圧混ざってるしなぁ。んー?」

オレンジ色の髪をした旅禍の前でウンウンと唸る目隠しをした男。

幼く見えるその躯体は、その身に宿す力に比例しない。

「取り敢えず端の方に寄せてあげよう」

その男は旅禍を雑に蹴って道の端へ寄せる。

「よいしょ」

その男が手を翳すと、旅禍はパッと消え失せた。

「うん!これで良し!」

男は大きく頷き、また軽い足取りで歩き始めた。


「!藍染、藍染、藍染様〜!!!」

「随分と騒がしいね。どうかしたかい?狩兎」

「藍染様に会いたかったの〜!」

「はは、嬉しいよ」

狩兎と呼ばれた男は、藍染の首に両腕をまわし抱きつく。

そしてそのまま口付けた。

その口付けは段々と深いものになり、やがてどちらからともなく唇は離れていった。

名残惜しいのか、銀色の糸が二人を繋ぐ。

それを舌で拭いながら、狩兎は笑う。

妖艶に、それでいて無邪気に。

悪戯をする子供のような顔をしていた。

「あ、この義骸だと興奮したら霊力漏れ出ちゃう」「おや、それは困ったね」

狩兎は藍染の膝の上に股がり、もう一度口付けを交わす。

今度は触れるだけのキスだった。

「その義骸、そんなに気に入っているのかい?」

「うん!目隠ししてるし、ちっちゃいから皆弱いと思ってくれるもん!」

狩兎は藍染に抱きついたまま、楽しそうに話す。

「それは良かった」

「えへへ〜褒めて褒めて!」

「うん、凄いね」

そう言うと狩兎はまた口付けを交わす。今度は先程よりも長く、深いものだった。

「でもこの義骸の残念なところは、霊力が存分に貯められないのと……藍染様の顔を見られないところかな」

「そんなに私の顔が見たいなら義骸から出ればいいのに」

「確かに。それもそうか」

義骸は彼を留める仮初の器でしかない。

ならばその器から出たらどうなるか。

答は。

「……この身体、久しぶりすぎて感覚が鈍い」

「やはりキミの霊圧はいつ見ても壮観だ」

「藍染様もお変わりないようで。オレは満足です」

今まで圧迫されていた霊力は止めどなく溢れ、際限無く拡がり、瞬く間に他の霊子に被害を与えるだろう。

それは、もう災害だ。

「キミのその姿を見る度に、私は自身の罪深さを痛感するよ」

「こんな魅力的で蠱惑的な男を虜にした自分が罪深いと?そんなこと無いですよ。オレが藍染様を好きになるのは必然で、オレが藍染様に堕つのは決められていたんですから」

「ふふ、相変わらずだね。狩兎」

藍染が手を差し出すと、その手を恭しく取り彼は跪く。

「貴方のお側にいられるなら、幾らでも霊力を捧げましょう」

「ありがとう」

藍染が狩兎の頭を撫でると、彼は嬉しそうに笑う。

まるで猫のように擦り寄ってくるその姿は、幼い子供のようでもある。しかし、その霊力は災害であり、凶悪だ。

そんな男が自身の配下にいる事実に、藍染は仄暗い興奮を憶える。

その躯体は正しく神の領域。

寸分の狂いも無い瞳の虹彩と、その周囲に走る線の本数さえ美しく、神秘的に輝く。

髪は結われ、まるで彼の美しさを際立たせる飾りのように揺らめく。

身長の高さも体重も、何から何まで完璧。

その内に秘めたる黒く濁り汚染された穢らわしい心が、更に美しさを際立たせる。

「嗚呼、今のキミはとても表に出せるような顔ではない。まるで獣のように欲に塗れ、悦を求む顔をしている。そんなにも私のことを食らい尽くしたくて堪らないようだね」

「そんなはしたない顔が好きなのは何処の誰ですっけ」

「勿論、私だよ」

藍染は狩兎に深く口付けを贈り、舌を絡める。

狩兎もそれに応えるように絡ませてくる。

それがまた堪らない程興奮させる。

「藍染様、早く。早く貴方を骨の髄まで味わい尽くしたい。その魂の全てを喰らい尽くしたい。貴方を構成する全ての霊子が、オレの糧になればいい」

「ふふ、それは愉しみだ。私も早くキミを味わい尽くしたいよ」

狩兎が藍染を押し倒す。

そして二人はまた深い口付けを交わす。

「んっ……はぁ……」「ふっ……ぅ……」

静かな夜の闇に、二人の乱れた呼吸音が響く。

「藍染様、貴方の柔く純粋な肌に触れる許可を……」

「勿論、キミの好きにするといい」

狩兎は嬉しそうに目を細め、藍染の服の中に手を滑り込ませる。

「ああ、やっぱり貴方は美しい。この美しさが損なわれないならオレはなんだって良い」

「ふふ、そんなに褒められるとくすぐったいよ」

藍染の鎖骨に口付けを落としながら狩兎は囁く。

その声音は何処までも甘く優しく、それだけで脳を蕩けさせる。

「藍染様、貴方のその身体は美しい。穢れを知らない無垢な魂が、オレを惹き付けて止まない」

「そうかな?それは嬉しいね。それで、キミはもう我慢が出来そうにないのかい?」

狩兎は息を荒らげながら藍染を押し倒す。

「はーッ……ふーッ……霊力の調節がうまくいかないのが相まって理性のタガが壊れてしまいます……」

「それは大変だね」

「申し訳ありません……すぐ、抑えます……」

「……いや、いい。今日は獣じみたキミに犯されたい」

「!!藍染様っ!!」

狩兎は我慢の限界だと言わんばかりに激しく口付けを交わす。

そしてそのまま、二人の霊圧が混ざり合うまで愛し合ったのだった。

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