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第9話「最初の告白――もう、友達ではいられない」翌日の放課後。
潔が教室で帰る準備をしていると――
「潔」
声をかけたのは、玲王だった。
「ん?」
「少し……時間あるか?」
「あるよ!」
二人は人気の少ない中庭へ向かった。
夕暮れの風が吹く。
玲王はしばらく黙っていた。
「……潔」
「うん?」
「俺、お前と初めて会った時からずっと、お前のことが気になってた」
「……?」
「最初は、可愛い奴だなって思っただけだった」
玲王は苦笑する。
「でも、お前と話すたびに、もっと一緒にいたいって思うようになった」
潔は黙って聞いている。
「だから……」
玲王がまっすぐ潔を見る。
「俺は、お前のことが好きだ」
「…………」
潔の目が大きくなる。
「友達としてじゃない」
「…………」
「一人の女の子として、好きだ」
初めて。
潔は言葉を失った。
「……玲王」
「今すぐ答えなくていい」
玲王は優しく笑った。
「ただ、これだけは伝えたかった」
「……うん」
潔は胸に手を当てる。
ドキドキする。
今まで感じたことのない感覚だった。
「ありがとう……」
その言葉だけで、玲王は少し笑った。
「それで十分だ」
二人が戻ると――
教室には全員がいた。
凪が玲王を見る。
「……言った?」
玲王は答えない。
ただ、潔を見る。
「……ああ」
その瞬間。
全員が理解した。
最初の告白が終わった。
そして――
恋愛戦争は、本当の意味で始まった。
第10話「潔、初めて気づく」
翌日。
潔は朝から少し変だった。
「……」
「潔?」
凪が顔を覗き込む。
「どうしたの?」
「うーん……」
潔は頬に手を当てる。
「昨日、玲王に好きって言われたでしょ?」
「…………」
全員が固まる。
「それからずっと考えてるの」
潔は真剣な顔をする。
「私って……みんなから見て、そういう対象なのかな?」
凪が答える。
「うん」
即答。
「えっ」
玲王。
「もちろん」
千切。
「……そうだね」
凛。
「今さら気づいたのか」
「凛まで!?」
蜂楽が笑う。
「潔、鈍感すぎ!」
「だって……みんな友達だと思ってたし」
「友達だけなら、こんなに毎日お前のことで騒がないよ」
烏が苦笑する。
潔はみんなを見る。
凪。 玲王。 千切。 凛。 蜂楽。 雪宮。 氷織。 烏。 黒名。 乙夜。 冴。 士道。
「…………」
胸が、またドキッとした。
「……そっか」
潔は小さく呟く。
「みんな……私のこと、好きなんだ」
その瞬間。
全員の顔が赤くなる。
「……言っちゃった」
潔自身も恥ずかしくなって俯く。
凪が小さく笑った。
「やっと気づいた」
「……うん」
潔は顔を上げる。
「でも……」
「?」
「私、みんなのこと大切だから」
その言葉に。
誰も何も言えなかった。
第11話「告白ラッシュ――止まらない想い」
その日の放課後。
まず千切。
「潔」
「ん?」
「僕も、伝えておきたい」
千切は真っ直ぐ潔を見る。
「好きだよ」
潔は驚きながらも笑った。
「……ありがとう」
続いて雪宮。
「僕も同じだよ」
氷織。
「僕も、潔ちゃんのこと好きやで」
烏。
「俺もや」
黒名。
「潔、好き」
乙夜。
「俺も。かなり本気」
蜂楽。
「俺も潔が大好き!」
そして――
凪。
「俺も好き」
玲王。
「……俺も、まだ諦めてない」
凛。
「俺は最初から変わってねぇ」
士道は笑う。
「俺もだぜ、潔!」
最後に。
冴。
「……俺も」
潔が驚く。
「冴まで……」
「何か問題でもあるか」
「ううん」
潔は首を振る。
「ありがとう」
全員の想いを受け止めるように。
潔は笑った。
第12話「大事件――潔がいなくなった」
翌日。
昼休み。
「……あれ?」
凪が辺りを見る。
「潔は?」
「いないな」
玲王も探す。
教室にもいない。
体育館にもいない。
生徒会室にもいない。
「……潔ちゃん、どこ行ったんやろ」
氷織が心配そうに呟く。
そして――
放送が入る。
『1年A組の潔世一さん。至急、生徒会室まで来てください』
「……?」
全員が顔を見合わせる。
しかし、生徒会室にも潔はいなかった。
冴が眉を寄せる。
「……おかしい」
その時。
屋上から声がした。
「……あ!」
全員が走る。
屋上の扉を開ける。
そこには――
フェンスのそばで、空を見上げている潔がいた。
「潔!」
「え?」
「探したぞ!」
「ご、ごめん!」
潔は苦笑する。
「ちょっと一人で考えたくて」
「何を?」
凛が聞く。
潔は少し黙る。
「みんなに好きって言われて……」
「……」
「嬉しいの」
潔は胸に手を当てる。
「でも、同じくらい怖い」
「……怖い?」
「誰かを選んだら、誰かを傷つけちゃうから」
全員が黙った。
そして。
凪が言う。
「……じゃあ、急がなくていいよ」
「凪……」
「俺たちが勝手に好きになったんだから」
玲王も頷く。
「そうだな」
千切。
「答えを急がせる必要なんてない」
凛。
「……待つ」
冴も静かに言う。
「自分で決めろ」
潔の目に涙が浮かぶ。
「……みんな」
そして。
「ありがとう」
笑った。
その瞬間。
全員が思った。
――やっぱり、この子を好きになってよかった。
第13話「それぞれの想い」
それから数日。
誰も潔を急かさなかった。
凪はいつも通り隣にいる。
玲王は困った時に助けてくれる。
千切は優しく声をかける。
凛は不器用ながら見守る。
蜂楽は毎日笑わせる。
雪宮はさりげなく気遣う。
氷織は話を聞く。
烏は冗談で空気を軽くする。
黒名はいつも隣にいる。
乙夜は楽しませる。
士道は騒がしい。
冴は必要な時だけ手を差し伸べる。
そして潔は気づいた。
「……みんな違うんだ」
「何が?」
凪が聞く。
「みんな、私への好きが違う」
潔は笑う。
「でも、どれも嬉しい」
誰も口を挟まない。
「だから私も……」
潔は少し考える。
「ちゃんと自分の気持ちを考えたい」
全員が頷いた。
そして。
体育館裏で。
潔は一人、空を見上げる。
「……私、本当は……」
胸がドキドキする。
頭に浮かぶのは――
みんなの笑顔。
「……みんなといるのが好き」
それが今の潔の答えだった。
第14話「答え」
翌日。
放課後。
潔はみんなを校庭に集めた。
「話したいことがあるの」
全員が緊張する。
「私……」
潔は深呼吸。
「みんなのことが好き」
「…………」
「友達としても大切だけど、それだけじゃないって……最近分かった」
凪が目を見開く。
玲王も。
千切も。
凛も。
「でも」
潔は続ける。
「まだ、一人だけを選ぶことはできない」
沈黙。
そして潔は笑った。
「だから……これからも一緒にいてほしい」
「…………」
最初に笑ったのは凪だった。
「うん」
玲王も笑う。
「もちろん」
千切も頷く。
「分かった」
凛は少しだけ目を逸らした。
「……待つ」
蜂楽が潔の手を取る。
「じゃあ、これからもいっぱい遊ぼう!」
「うん!」
士道が笑う。
「面白ぇじゃん!」
烏も笑う。
「ま、潔らしいわ」
冴は静かに言う。
「……それがお前の答えなら、それでいい」
潔の目が潤む。
「ありがとう……!」
みんなで笑った。
そして――
その日。
誰も「負けた」とは思わなかった。
なぜなら。
潔との物語は、まだ始まったばかりだったから。
最終話・第15話「彼女が笑う場所」
それから一年。
春。
ブルーロック学園。
桜が舞う校庭。
「……懐かしいなぁ」
潔が校門を見上げる。
一年生だったあの日。
何も知らずに、この場所へ来た。
「潔ー!」
後ろから声がする。
振り返る。
凪。
玲王。
千切。
凛。
蜂楽。
雪宮。
氷織。
烏。
黒名。
乙夜。
士道。
冴。
みんながいる。
「遅いぞ」
凛が言う。
「ごめん!」
潔が笑う。
「でも、みんなが待っててくれると思ってた!」
「……当たり前だろ」
玲王が笑う。
凪が潔の隣に立つ。
「今年も一緒に帰ろ」
「うん!」
千切も笑う。
「体育祭も楽しみだね」
「今年は絶対優勝する!」
蜂楽が叫ぶ。
「おー!」
全員が笑う。
そして潔は、校門を振り返る。
「私、ここに来てよかった」
「……潔」
「だって」
潔はみんなを見る。
「こんなに大切な人たちに出会えたから」
風が吹く。
桜の花びらが舞う。
みんなが笑う。
そして潔も笑った。
「これからもよろしくね!」
「「「もちろん」」」
その声が、青空に響いた。
――これは。
一人の少女がやって来たことで始まった、
少し騒がしくて。
少し不器用で。
でも、とても幸せな――
恋と友情の物語。
そして。
彼女が笑う場所にはいつだって――
大切な仲間たちがいた。
――完――
297
47,951
あっぷるぱい
137
橘 柚
441
コメント
4件
読めた人凄い!
みぅ🤍🥀だよ〜読んだよ、最終話まで一気に… 14話分のボリューム、めっちゃ重かったけど、すごくよかった🥀 玲王からの告白から始まって、みんなが次々に想いを伝える流れ、潔が「みんなのこと好きだけどまだ一人は選べない」って答えたところ、すごく潔らしいなって思った。 屋上で潔が「誰かを選んだら誰かを傷つける」って悩んでたとき、凪が「急がなくていいよ」って言ったシーンが特に刺さった。みんな潔のこと本気で大事にしてるんだなって伝わってきた。 最終話の桜の下でみんなで笑ってるシーン、完璧だった。恋愛だけじゃなくて、友情の温かさも描かれた素敵な物語だったよ🌙 1年分の成長と絆がぎゅっと詰まってて、読後感がすごく温かい作品でした💫