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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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「おいっシン!裸で出てくんなって!服着て出てこいっ!」

暑くなってきたせいなのか、近頃シンは風呂からあがると上半身裸のまま出てくる。

「まだ…俺の裸みるとドキドキする?」

そう言って近づいてくるが、余裕で交わす程冷静ではいられない。

自然とシンと距離をとってしまう。

「いーからっ!早く上着着てきなさいっ!」

冷静になんかなれるわけない…

「……はーい」

最近ますます大人っぽくなったシンに毎日照れてしまう。

もう何度も見慣れた身体なのに、改めて明るい所で見ると恥ずかしくなって………

直視できねぇ……



「シン、大人っぽくなったよね~」

「明日香!」

「久しぶり!アキラさん」

大学に入ってから以前より店に顔を出す頻度が減った明日香が久しぶりに訪ねてきた。

「今日は大学じゃねーのか?」

向かいの椅子に明日香が座る。

「うん。午後から。 ってかさ~アキラさん」

「ん…?」

「さっき久しぶりにシン見たけど、ずいぶん顔つき変わったよね?」

「あぁ…」

「大人っぽくなってさ」

「…だな」

そうなんだよな…と、シンの顔を思い浮かべる。

「心配?」

「何が…?」

「高校ん時、何回も告られてたし」

「えっ…」

「知らなかったの?!」

「あいつ…何も言わねーし…そうなんじゃねーかな…ってうすうす思ってはいたけど…」

まぁ確かにあのルックスじゃ周りがほっとかねーよな…

「アキラさん…大丈夫?」

「…大丈夫って何が?」

「シン。大学でもモテモテなんじゃない?」

「……」

ありえなくはない……そりゃ…モテるよな…

「もしかしてフラフラ~って…」

「ま…さか」

「ないって言い切れる?」

「…ない…だろ…」

「まっ、あのシンだからね〜。アキラさん、一 直線だもんね~。… …ってゆーか、アキラさんのどこが良いんだろうね?」

机に肘をつけて顔をじっと見られる。

「なんだとっ!」

「ウソウソ!」

笑いながら明日香が否定する。

ところで…そう言いながら明日香はニヤッと笑うと

「シンと…最近してる?」

とんでもない質問をしてくる。

「はぁ?急に何言ってんだ明日香!」

突拍子もない発言に思わず口を押さえる。

「いーじゃん別に。付き合ってんだからさ~」

「……」

「昨日は?」

答えるのを少し躊躇ってしまうが

「……してない」

素直に答えてしまった…。

「一昨日は?」

「…ない………最近は………」

「へぇっ!?最近してない…の?」

「……」

黙って頷く。

最近。全く。触れてもこねぇ……

「アキラさん。シンにちゃんとアピールしてる?」

「何をだよ…」

「アキラさん受け身になってない?」

「んなこと……」

「知らないよ~シンが他に行っちゃっても」

「……」

まさか……

「たまにはアキラさんから誘ってみたら?」

「さっ…誘うって……!」

「後悔してからじゃ遅いからね~」




昼間の明日香の言葉が頭から離れない。

「シン。ちょっといいか…?」

洗い物をしているシンに声をかける。

「はい。なんですか」

「お前さ…高校の時に告白されたって本当?」

「どうしたんですか?急に?」

「どーなんだよ…」

上を向いて少し考えたあと

「まぁ、されましたけど」

さらっと言いやがった。

「何人くらい…?」

一応…聞いてみたが

「そんなのいちいち覚えてないです」

「そ…そんなに…」

数えらんねー程あったのかぁ…⁉

「まぁ…」

「……ちなみに…今は…?」

これも一応聞いてみる…。

「大学でですか?…まぁ…たまに」

はあぁ…!?たまに…だぁぁ…?!

ちょっとムカつく。

「なんで言わねーんだよ」

「今日告白されました。って報告して欲しいんですか?」

確かに…

「…それは……」

「心配しなくても全部断ってます」

そーゆー問題じゃねー‼

「……………心配するだろ……普通…」

「俺の事信用できない?」

「そうじゃねーよ…」

「だったら何?」

なんだよ、そのムカつく言い方は!

「もーいい!寝るっ!」

…………。

部屋に入っても追いかけてこねぇー…

ちょっと前まで、湊さん!ってすぐ来たのに…



シンのヤツ最近全然相手にしてくれねーじゃねーか……



「アキラさん!」

元気良く明日香が店に来た。

「なんだ…明日香か…」

このパワーに応えるだけの気力は今はねーな…

「なんだ。…ってひっどいな~」

「今日はどうした?」

「あれからさ、アキラさん達気になって」

そう言っていつもの様に前の椅子に座る。

「…あぁ…」

特になにもねーよ…

「浮かない顔してんね~もしかして、まだ誘えてないの?」

誘うもなにも…

「…あいつ…忙しいみたいだし……」

さっさと部屋籠もっちまうし…。

「アキラさん、襲っちゃえば?」

はいっ?!襲う⁉

「ンな事できるわけねーだろっ!」

「案外シンは待ってるか•も•よ」

簡単に言うなよ……はぁ…

「……お前と柊くんはどうなんだよ」

「ご心配なく。うまくいってるよ」

可愛くピースしやがった…。

「…そっか」



「シン…入っていい…?」

とりあえずこのモヤモヤから解放されねーと。

「……どうぞ」

「入るぞ…ごめん。勉強中か…?」

んっ?今、何か引き出しに隠した…?

「大丈夫です。今終わりにしようと思ってたんで…」

「あのさ………」

どうやって切り出せばいいんだ…??

次の言葉が出てこねぇ……

「告白の事。英から聞いたんですか?」

しびれを切らしシンから聞いてきた。

「……」

「俺は湊さん以外興味ないです。だから特に気にもしてなかったんですけど…湊さんが教えて欲しいなら、これからは言います。でも、言った事であんたが気にしたり、嫌な思いするなら言いません」

なんだよそれ…そう言う事聞きてぇんじゃねーんだよ……

「……」

「湊さん…?」

「どう…して…」

「…ん?」

「どうして最近俺に構わなくなった?」

「えっ?」

「全く触れなくなったじゃねーか」

「それは…」

「興味なくなったのは俺にじゃねーのか?」

「そんな事…」

「お前が勉強で忙しい事はわかってるよ。でも、俺だって…」

「……」

「俺だってたまには、お前に構って欲しいし、触れて欲しいんだよ……」

直球過ぎたか…これじゃ拗ねた子供みたいじゃねーか……

「…………やっと本音が聞けた」

ふっと笑いながらシンがこっちを見る。

「はぃ…? 」

どういう意味…??

「最近あんた俺の事避けてたでしょ?わざと裸で居ても、近く寄っても逃げるし…」

「ちょ…ちょっと待て?あれってわざとだったのか?」

「そうですよ。湊さん俺の裸見慣れたせいか全然反応ないし、なんなら避けたりするし。あんなにアピールしてるのに…」

アピール??あれが??

「そんなんわかるわけねーだろ!」

「俺ずっと我慢してたんですよ…あんたに触れたいのをずっと…」

「なんでだよ…俺だって……」

「だったら言えばいいのに」

「しょーがねーだろ…最近お前がどんどん……かっこよくなって……直視できなく…て……」

「湊さん…照れてたんですか?」

「そーだよっ!お前がますますイケメンになって…っておいっ…」

腕を掴まれてシンの胸の中に引き寄せ抱きしめられる。

「だとしたらそれは湊さんのせいです…」

「なんで…?俺のせい……? 」

「好きな人にはもっと格好良い所みせたいって思うでしょ…?俺は湊さんにもっと見てもらいたいし、もっと好きになって欲しい……」

「…おぃっ」

耳にキスをされる。

「誘ったのはあんたの方だから…責任とってください」

「責任って……」

「今夜は…あんたが俺にして欲しい事全部言うまで離さない…」

「ふざけん…なっ…こっちはどんな思いで居たと思ってんだよ!離せ…」

「イヤです…」

「お前勉強で忙しいんじゃねーのかよっ!」

「言ったでしょ…今日はもう終わりだって…」

「ふざけんな。離せって…」

抱きしめられる腕に力を込められる。

「本気でイヤなら今すぐ俺の手を振り払って逃げてください…」

本当…ムカつく…

わかってるくせに…

「…ずりぃーよ……そんな事できるわけねぇだろ……」

「知ってる…」

シンは耳元でクスッと笑った。

「あんた俺の事大好きだろ…」

「…ぅるっせぇ」

俺きっと今、顔真っ赤になってる…

恥ずかしくてシンの肩に顔を埋める。

シンは俺の頬に手を触れるとそっと唇にキスをしてきた。


「良かった…まだ間に合う」

そう言ってシンは俺から離れるとさっき隠した引き出しから1枚の紙を取り出した。

「湊さん。俺と結婚しませんか」

…………えっ?!……今なんと…?

差し出された紙は、婚姻届だった。

「明日湊さんの誕生日ですよね?今日までなら同じ20代です。歳の差も9つで1歳縮まります。本当は今日これ持って湊さんにプロポーズしようと思ってました」

ぷ…ぷろぽーず??

「慎太郎くん?湊さん頭の中ハテナだらけなんですけど…」

「だから…俺が今年20歳になったから親の許可なく結婚できるんです。で、明日の湊さんの誕生日なので前日の今日までは同じ20代でしかも9歳差で…」

「それは、わかった!だからってなんで結婚?!ってか、この国じゃまだ法律で結婚は無理だろ」

「知ってます。届けを出しても受理はされません。だけど、ここに書くのは自由です。…俺、早く湊さんと一生添い遂げる証が欲しいんです。たとえ法律では認められなくても…」

ったく…真っ直ぐなのか捻くれてんのか…

「お前の頭の中が時々理解できなくて本当困るわ…」

「だめですか…?」

うっ……その目は……

「……そんな顔されて…断る理由がねーだろ……」

「良かった…!」

………ばーか…そんなあからさまに喜んでんじゃねぇーよ…

「ペン貸せ…」

「はいっ!」

んっ?……

「証人の欄。英と柊さんにお願いして書いてもらいました」

「明日香…??」

あいつ…だから珍しく店来たのかー!!

まったく……

「ほらっ。書いたぞ」

「じゃ…これに入れて…」

んっ?…っておいっ‼

「お前何出してきてんだ⁉」

「何って…額縁です」

「こぇーけど、念の為聞くわ…」

「どうしたんですか?」

「まさかと思うけど…飾ったり…」

「もちろん飾りますよ!証なんですから」

おいおい…

「これも怖いけど、念の為聞くわ…」

「どうぞ」

「まさか、居間に…」

「当然、居間に飾ります」

「やめろやめろ‼」

「なんでですか?何を恥ずかしがってるんですか?」

「あほかっ‼こんなん飾ったら誰も呼べねーだろっ!」

「呼ばなきゃいいじゃないですか!」

「ほんっとーに話になんねーな!お前はっ!」

「湊さんできました!」

「まじでしばくぞ!シン!」

「湊さんの手の届かない高さに飾りますっ!」

「椅子に乗って外すっ!」

「じゃ、絶対取れないようにはめ込めます!」

「叩き潰すぞっ!」

「叩き潰されない様に頑丈に固定しますっ!」

何を言ってもダメだ……

「頼むからーやめてくれー…」



「お誕生日おめでとうございます。湊さん。良い眺めですね♪」

「はぁ…」

結局居間のど真ん中に飾られてしまった…


こっちの方がお前の裸よりずっと恥ずかしいつーの!!

「何の拷問だよ…これ……」

俺の誕生日じゃねーのかよー!!



【あとがき】

湊さん30歳記念ソフトバージョン♪

今作は湊さん視点にて書かせて頂きました。

(ハードバージョンは、フォロワー様限定にて既に書いてあるのでそちらをお読みくださいね)

どうしても前日の今日投稿したくて急いで書きましたが少々…いやかなり?…寝不足気味です…おかしな点等多々あるかと思いますが…温かい目で見逃してやってください笑


明日時間があれば、誕生日記念ショートバージョン投稿したいと思ってます。

こちらは、箸休め2。ですので短めの予定。


書きたい事たくさん詰めたら長くなってしまいました。

最後までお読みくださいましてありがとうございます。

また、次回作でお会いできますように…

月乃水萌




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