テラーノベル
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最後の冬。
廊下は静かだった。
ソ連は窓際に立ち、雪を見ていた。
「こんな所にいたか。」
アメリカが隣へ来る。
しばらく二人とも何も言わない。
雪だけが降り続ける。
「……終わるらしいな。」
アメリカが口を開いた。
ソ連は笑った。
笑ったつもりだった。
けれど、その笑みはどこか壊れそうだった。
「そうらしい。」
「お前らしくない。」
「そうか。」
「……ああ。」
また沈黙。
何度も言い合ってきた。
何度も争ってきた。
何度も互いを否定してきた。
それなのに、この時間だけは終わってほしくなかった。
これで、お前の勝ちだ。」
ソ連が静かに言う。
アメリカは首を振った。
「そんな顔で言うな。」
「事実だ。」
「違う。」
「何が違う。」
少しだけ声が強くなる。
アメリカは拳を握った。
「俺は……。」
言葉が続かない。
ずっと飲み込んできた。
敵だから。
言う資格なんてないと思っていた。
ソ連は黙って待っている。
「俺は、お前が消えることなんて望んでなかった。」
初めてだった。
本音を口にしたのは。
ソ連は目を見開いた。
まるで、その言葉だけは予想していなかったように。
「……そうか。」
それだけ。
責めもしない。
笑いもしない。
「もっと早く言え。」
そう冗談を言うこともなかった。
ただ静かに目を閉じる。
「お前と争う毎日は……退屈じゃなかった。」
最後に残した言葉は、それだけだった。
⸻
春。
世界は動き続ける。
人々は未来へ向かう。
アメリカもまた歩き続ける。
だが、会議室の窓際を見るたびに思い出す。
「相変わらず頑固だな。」
返事はもう返ってこない。
机の引き出しを開ける。
そこには、何年も前に返されなかった缶コーヒーと同じ銘柄が一本。
あの日。
「いらん。」
そう言ったくせに。
実は全部飲んでいたことを、あとになって知った。
思わず笑う。
「……最後まで素直じゃなかったな。」
その笑みはすぐに消えた。
窓の外では、静かに雪が降り始めていた。
敵として出会い、
敵として別れ、
最後まで「好き」という言葉だけは交わさなかった。
それでも。
互いの人生に、一番深く刻まれた存在だったことだけは、誰にも否定できなかった
コメント
1件
うわ、これ……静かなのに刺さるなあ。最後の冬のシーン、雪が降ってるだけで二人の関係性が全部伝わってくる感じがすごい。敵同士でい続けるしかなかった二人の、あと一歩踏み出せなかったもどかしさと、それでも確かに存在した絆が、「お前と争う毎日は退屈じゃなかった」って台詞に凝縮されてた。缶コーヒーのエピソードも泣ける……「いらん」って言ってたのに全部飲んでたって、それだけで全部わかるわ。素敵な作品をありがとうございます😭
#アメソ
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𝕆𝕜𝕠𝕞𝕖🍙
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