テラーノベル
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-—ヒカルside
放課後、お決まりのようによしきの家に行きいつものようによしきのベットにねっ転がって漫画を読んでいた。今だに一巻が十一冊ある理由は知らないけど。
おれがベットを半分以上陣取っているせいでよしきはベットに寄りかかるようにして床でアリの動画を見ている。勿論どく気はない。
ベット横に取り付けられた窓から日が差し込んだ。あったかくて気持ちいい、よしきの魂みたい。その気持ちよさにふと枕に顔を埋めた。
よしきの匂いがする。フローラル?柔軟剤?そんなんじゃない。よしきの匂い。多分こんなによしきを堪能できるのはおれだけ…そう思いかけたけど違った。
「光」もきっとこうだったのだろう。いつものようによしきの部屋に入り浸り、ベットを陣取って…そんな記憶が脳裏に浮かぶたび嫉妬心が湧き上がる。なんなん…めっちゃ嫉妬してまう‼︎って叫んでやりたかった。
そんな嫉妬心を掻き消すようにもう一度大きく吸い込んだ。
よしきの匂いがした。
もっと近くで感じたい…気持ちを抑えられずよしきに話しかける。
強制力のある声で。
—-よしきside
いつものように時間は流れ、いつものように放課後を共にする。成り代わったアイツと共に。
ドタドタと足音をたてて家に上がり込み、自然と俺の部屋に行き、まるで自分の縄張りのように俺のベットを陣取る。そんな様子をみて変わっとらんな…と心の中で呟いた。
ベットを陣取られているため床でベットに寄りかかって動画を見る。おすすめに上がっているアリの動画を再生した。
しばらく見続けているとベットが軋む音がした。
こっち見て
ヒカルの声がした。光と同じ声なのにどこか違う。ずっしりと重みがあって体が強制的にヒカルの方を向かせる。
「な、なんや…」
震える声を抑えて問いかける。
ジッと自分を見続けてくる顔が一瞬にして笑いで崩れた。
「あっ、あははwびびった〜?」
ふざけんな!!って言ってやりたかったのに安堵でため息が溢れる。
ひとしきり笑ったヒカルがいだずらっぽくニッと笑って言う
「よしきの顔見たくなっただけ」
そう言うヒカルの顔には窓から差し込む光が当たっていた。
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