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夢のような時間を糧に俺は仕事をいつも通り終わらせていく。
バッグに涼架のグッズを付けて。
通勤時間にはもちろん涼架の歌を聴いて今日も一日頑張ろうと自分を奮い立たせた。
今日は仲良くさせて頂いている取引先の方と接待という名のご飯だった。
気さくで話しやすい人で俺も可愛がって貰っている。
仕事内容や世間話をしながらそのまま終わろうとしていた。
すると先方が俺のバッグに気が付く。
「あれ?それ涼架の?」
俺は驚いたがすぐ
「えっ!?そ、そうです。」
と答えた。
やはり有名人だ。知名度が高いと思っていたその時
「好きなんだ?涼架。」
と先方が聞いてきた。
俺ははい、と答える。
「え、サイン貰っとこうか?」
と衝撃的な言葉を言われた。
「えっ!?」
俺は思わず大きな声を出してしまった。
先方は笑って
「いや、俺芸能関係とも仲良くさせて貰ってて。たまに涼架に会うんだよね。」
さらりと凄いことを言ってきた。
「えっえっ、い、いいなっ……。」
俺は思わず素が出てしまった。
そんな俺に先方が更に笑っていた。
「すごいね、めっちゃファンじゃん!貰っとくよ。またご飯しよ。」
そう言って伝票を持った。
そのまま俺はご馳走になってしまった。
払いますと頼んでも拒否された。
本当なのか、嘘をつく人ではないから本当なのだろうけど。
もしサインなんて貰えたら舞い上がってしまう。
あまり期待はしないでおこう、そう心に刻んだ。
後日個人的にご飯へ行くことになった。
まさかサイン、と思ったがそんな訳ないと自問自答する。
「お、元貴。今日はサンキュな。ほい、これ。」
そう言って先方は色紙を渡してきた。
それは間違いなく涼架のサインだった。
「えっえっえっぇっ……えっ?」
俺は動揺して言葉が出てこない。
先方はあははっと笑っている。
「良かったなぁ涼架もこんな応援してくれるファンが居て。色紙、貰ってきたから飾ってやれ。」
と言った。
「ほ、ほんと……ですか……!?」
俺はその色紙に恐る恐る触れた。
涼架の直筆のサインが目に飛び込んでくる。
信じられない。
「涼架の……サイン……。」
俺は目を見開いてサインをガン見した。
「で、更に、だ。」
先方はニィっと笑って俺を見る。
俺は思考が停止しすぎていて間抜けな顔をしてしまった。
「今度、パーティーがあるんだ。芸能関係と。元貴、来る? 」
俺はえっ?としか返せない。
先方はさらに続ける。
「涼架、来るぞ。」
俺はその瞬間ガタッと足をぶつけた。
「いっ……。」
先方はケラケラ笑っている。
「凄いわ、涼架。嬉しいだろうね〜!ね、来るでしょ?友達1人くらいなら連れてきていいよ!特別!」
先方はそう言ってずっと笑っていた。
「そんな、俺が……!?」
単刀直入な疑問を投げかける。
先方は
「そうだよ、元貴を誘ってんの。」
と笑顔で答えた。
「い、い、いいんですか……。」
俺は一気に緊張感が増して声が震える。
「いいよ、いつも元貴の所にはお世話になってるし!日程とか時間とか場所とか後で連絡するわ!」
先方にそう言われてそのまま解散した。
お会計は今日は無理矢理俺が払った。
何としてでも感謝をしたかったから。