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一目惚れ .
kymhk
kym「」
hk『』
※ 前 垢 作品 の リメイク です 😖
※ 🔞 無
※ 伽羅崩壊 有
※ 地雷さん 👋
kym side
夜になっても蝉が煩いほど鳴き、人の熱気で蒸し暑くなった街の神社。
吹く風すら温く感じられるほど、想いが熱くなる日──
「 せっかくの休みだし、どうせ家にいても暇だし 」
そんな理由で何気なく寄った夏祭りの会場は、そんな恋している人にしか得がないような雰囲気を醸し出していた。もちろん俺は恋愛なんてもう数年していない。
会場に一歩足を踏み入れるだけで熱気のすごさが伝わる。
数歩歩いてふと立ち止まり、周りを見渡した。
屋台にもやぐらの辺りにも、道路にさえ、カップルらしき男女が気持ち悪いほどいた。
俺みたいな一人の人は、俺の視界に入っている限り、数人いるかいないかくらいだ。あとは友達同士ではしゃいでる女子か、制服で笑い合う男子中学生ぐらい。
あいにく彼女がおらず、友達は誘っていない俺は、一人で屋台を巡る。 これ、結構寂しいんだからな。
友達誘って屋台周ってたらどんな感じだったんだろとか、
運命の人、みたいなのどっかに居ないのかなー、いるわけないか とかいう軽い気持ちで屋台を巡っていた。
ちょっと楽しくなってきて、友達に連絡を入れようとスマホを取り出した。
その時、背後から低く綺麗な声がした。
『あの⋯!』
『ハンカチ、落としましたよ、!』
「⋯ぇ、」
振り向いてみて吃驚した。
綺麗な紺色の浴衣に似合う美しい輪郭と、少しふわっとした黒い髪。
形の整っている唇に、手に握られているのは少し不似合いな林檎飴。
そして何より、眼鏡の奥にある黒く儚げな瞳。
心臓が跳ねる。
なぜかはわからないけれど、心臓がいつもより何倍も速く脈を打つ。
『ぁ⋯、あの、⋯?』
「⋯嗚呼、ありがとうございます」
『いえいえっ、!』
「助かりました、」
そうやって微笑むと、彼は、
『んふ笑それならよかったです』
って言ってくれた。
思いの外幼稚で、何故か守りたくなるようなくしゃっとした微笑みもセットで。
戻ろうとする彼。きちんと礼をして、『じゃあ、』と俺に言ってきた。
反射的に、
「っあ、待ってください、⋯!」
と引き止めてしまった。
あとから迷惑だと思ったけれど、止められなかった。
「⋯また、逢えますか?」
そう、言ってしまった。
もう逢えるはずがない。
ただ落とし物を拾ってくれた人と、もう二度と逢えるわけがない。それはよくわかっている。
なのに彼は優しさで、
『⋯⋯まあ、機会があれば、きっと逢えますよ、笑』
『では、改めてまたいつか!!』
そんな言葉を掛けてくれた。今回も微笑みがセットで。
彼の笑顔を目に焼き付けている間に、走り去ってしまった。
⋯また逢えるかな、逢いたいな。
現実はそこまで偶然で溢れかえっているわけじゃない。
友達でもないただの他人と再開することなんて、一生かけても無理だろう。
でも、それでも期待してしまうのは、これがきっと、
───”恋”だからだ。
ああ、俺は名前も知らないあの人に一目惚れしたんだなって、彼が去ってから気づいた。
今更気づいたってもう彼の影はないし、想いも伝えられないから諦めるべきだ。
そう、思っていたのだけれど。
数日後、服が欲しくもないけれど最近買ってないし、となんとなく行った服屋で、見覚えのある髪型の人がレジに並んでいた。
⋯彼かもしれない。
此方に背を向けているから本当にこの前の彼なのかはわからないけれど、つい目で追ってしまう。
視線に気づいたのか、彼がこっちを向いた。
『あ、⋯』
彼も俺に気がついたんだろう。”この前の”って、言わずとも、表情から分かる。
彼は会計が終わると、俺の方にやってきた。
『⋯また、逢いましたね』
彼の顔が綻んだ。
その顔を見ると、やっぱりこの前と同じように、心臓の動きが速くなる。
そして、思ってもみなかった言葉が彼の口から発せられる。
『⋯家、来ますか?』
『きっとこれもなにかのご縁だし、ゆっくり話しましょうよ』
「⋯いいんですか、?」
『勿論。』
これ以上幸せなことはきっとない そう錯覚してしまいそうなくらい嬉しかった。
hk side
また逢った、あの人に。
名前も年齢も職業も、なにもかも知らないのに。
また巡り逢えたのは、きっと運命だ。
でも、運命だとしても、なんだかもう逢えない気がして、
『⋯家、来ますか?』
『きっとこれもなにかのご縁だし、ゆっくり話しましょうよ』
なんて言ってしまった。
きっと彼は嫌がって断るだろうし、もしかしたら予定とかあるだろうし無理かな。
そう、思ってたのに。
「⋯いいんですか、?」
なんて。
夢じゃないかと思ってしまうほど幸せ。
がっつきすぎないように、でも嬉しい感は出しながら、
『勿論。』
と答えた。彼の顔が子供のように輝くのが見えて、なぜかどきっとした。
綺麗な関係じゃなくてもいいから、彼とずっと繋がっていたい。
でも、こんなの気持ち悪いし、と、気持ちには気づかないふりをして、心の奥に仕舞っておいた。
⋯家についたら、なに話そうかな。
気持ちを紛らわすためにも、そんな事を考えながら家まで歩いていった。
kym side
気づけば彼の家の前まで来ていたよう。
彼は鍵を開けて、「先に入って」というような目で此方を見てくる。
そんなところもかわいいなと思いながら部屋に上がらせてもらう。
「⋯お邪魔しまーす、」
『どーぞ、遠慮なく入っていってください、
⋯いや、部屋めっちゃ散らかってますけど』
「いや、全然綺麗ですよ」
貴方のほうがずっとずっと綺麗ですよ、とは言えなかったけれど。
⋯いつか言いたいな、言える日は来るかな。
「これからの努力次第で必ず言える日は来る」って自分を応援しながら、リビングへと移動する。
『んー、何飲みたいですか?』
「なんでもいいですよ、笑
強いて言うなら⋯貴方と一緒で⋯、」
『ぇ、』
『あー、⋯じゃ、麦茶にしますね』
「ありがとうございますっ、」
「へー!!hkってそんな趣味あったんだ!」
『あ、まぁ⋯一応、?
下手の横好きって感じだけどね、笑』
「え~、絶対嘘だ!
いつかhkの作った作品、見たいなぁ⋯」
『まー、いつかね、いつか、笑』
お互いすっかり打ち解けて、巫山戯合うぐらいのレベルまで仲良くなった。
彼は心を開いてくれそうになかった雰囲気だったけど、波長が合ったのか出会って1時間もしないうちにたくさん話してくれるようになって、嬉しかった。
家にお邪魔してから、hkとは趣味の話、好きなものの話、動物の話、最近の出来事とか⋯全部は覚えきれないくらい話した。
少し話の盛り上がりが落ち着いてきて、一瞬静寂が訪れた。
そういえば、と窓の外を見る。
もう外は茜色⋯いや、もうどんどん深い青になってきている。街灯がぽつぽつとつき始め、部屋には、生暖かい空気と共に人の足音と電車の通過する音と烏の鳴き声が流れ込んでくる。
hkも俺が窓の外を眺めてたのに気づいたらしく、
『あ、もう夜だね』
『…そろそろ帰る?』
って言ってくれた。
でもまあ、一緒にいたい訳だし、帰るっていう選択肢はまずない。
となれば、hkの家に泊まるか、俺の家に来てもらうか。
あとはホテルとかかな。
でも、やっぱり一番hkが驚きそうなのは…泊まる、だと思ったから、言ってみた。
「⋯泊まる」
『え、』
『⋯まあいいけどさ~、なんも用意してないよ?
ベットとか、ごはんとか、ほんとになんも用意してない』
「いいよ、」
『⋯ふーん、…じゃあ泊まってったら?』
案外hkも受け入れてくれたようで、込み上げてくる嬉しさが隠しきれなくて、つい ふ、と笑みをこぼしてしまった。
『え、なになんなの』
「だってさ、」
“「好きな人の家に泊まれるとか最高じゃん」”
最後の一言は心の中で留めておいた。言ったら絶対引かれる。一番幸せな今は言いたくない。というか言えない。
とりあえず代わりに在り来りな理由をつけてそこは乗り切った。
kym side
そして、気がつけばあの日から、2年という長いようで短い月日が経った。
あの日、hkと出会ってから、人生が楽しくて面白いものに変わった。
一緒に行った沖縄旅行。
hkは海が似合うのに、なぜか行きたがらなくて半強制的に連れて行ったような記憶がある。
お土産もお互い送りあったっけ。
あとは、スカイツリーに二人で登った。
高さ450mから見る夜の東京は綺麗で、hkと夜景で写真を撮った。
帰りはスカイツリーのキャラクターのぬいぐるみをおそろいで買って帰った。今もそのぬいぐるみはバッグにつけてある。
こんなのあくまで一部でしかない。こういうイベントの時も楽しいけど、ほんとはもっと、日常とか、どうでもいいこととか、ただのLINEのやり取りとか、雑談だとか、冗談とか、そういうとこに幸せがあったと振り返ってみて思う。
そろそろ潮時かな。
二人が出会った夏祭りの会場で、意を決して彼に告白しようって決めた。
同性だから絶対に俺のことなんて好きじゃないし、意識すらしていないって分かっているけど、流石に2年も片想いし続けるのは辛い。
だったらいっそ、この恋を終わらせて、彼を純粋な友達として捉えて、死ぬまで仲良くしていくほうがずっといい。
ふと窓の外を見ると、空はhkの家に初めてお邪魔したあの日のような茜色…いや、もう深い青か。
そんな色に染まっていた。
一呼吸置いて、hkとのトーク画面を開いた。
相も変わらず、今年もあの神社では夏祭りが行われていた。
もちろん、今日は紺の浴衣姿のhkと来ている。
『⋯今日、kymから誘ってくれてありがとね』
「ううん、全然大丈夫だよ」
『そっか、』
『⋯俺らが出逢ったのもここだよね、笑
懐かしいな~、』
「うん、⋯ほんと、もう2年経つんだね」
『…早い?』
「わかんない、笑」
『そっかぁ、…俺はどっちでもないかな』
「それずるいって、」
『ええ、…でも、人生史上一番濃くて一番楽しい2年間だったな』
「…過去形にしちゃう?笑
これからももっと楽しい人生にしようよ」
『…確かに、笑』
「⋯あ、花火上がるね」
『こっち、よく見えるとこあるから!』
そう言って、俺の手を引いて、近くの橋の欄干まで進んだ。
その瞬間だった。
真っ黒い空に咲くように、一輪の花火が打ち上がった。
続けて幾つかの花火が咲き誇る。
『⋯綺麗だねぇ⋯』
って、微笑む彼の横顔を見て、決心した。
「⋯ねえ、hk、」
『ん~?
なあに、』
「⋯…実はね、」
『うん、?』
「⋯初めて逢ったときから、ずっと好きでした。
⋯よかったら、恋人になってくれませんか?」
『えぁっ⋯?』
「…いや、ごめん。気持ち整理したくて、…迷惑、だよね…?」
『…ううん、』
「え、?」
『……俺も、kymのこと好きで、その、…初恋、?…の人、だから、』
「………嘘、」
「…じゃあ、っ、…付き合って、」
『…いい、けど…ほんとに、⋯俺なんかでいいの?』
「当たり前でしょ、hkがいいの。
ていうか、hkじゃなきゃ嫌なの。」
『⋯っ、』
彼の頬に、涙がゆっくりと伝っていくのが分かる。
『…よろしく、お願いします…っ、!!』
「ん、笑」
手を差し伸べると、驚くほど素直に手を握ってくれた。
『…一生幸せにしてね、笑』
そうやって、二人で手を繋いで帰った。