コメント
5件
今日までテストだったので読むの遅くなってしまいました〜😭 毎度同じようなことばかり言っていて申し訳ないんですけど、ほんとひば様の文章力凄すぎます!! 国語のプロなんでしょうか...?? ひば様の作品を読むとなんだか頭が良くなった気がしますし!!✨️ 今回も楽しく読ませて頂きました〜!いっぱい妄想膨らませておきます!!✨️
注意
青桃さん
ぜろばんがい ぱろ
(要素少なめ)
本当はkrxv橙さん×irxs桃さんにしようと思ったんですけど難しかったので王道青桃です。
橙さん、桃さんのことボスボス言ってたので今度同じパロで書いてみたいですね。
今回結構仕掛けがあるので、考察等あれば是非お願いします。
※単語について(日本語)※
僕 …“しもべ” と読みます。“ぼく”ではないのでお気をつけて。
煙管…“キセル”と読みます。タバコを吸うために作られた、日本式のパイプです。
青玉…サファイアのことです。
「はぁ、」
薄気味悪い街外れの建物の地下で耳が痛いような話を聞く。また1人裏切ったらしい。そいつはかなりのやり手で仕事もできるらしく、処分に困っているそう。興味本位で首を突っ込んでみたが、少し面白そうだ。
モブ「それがなかなか口の巧い奴でして。」
元詐欺師でしたっけ、なんて口籠る目の前の童ちゃんは明らかに怯えていた。そいつを捕まえるのも持ってくるのも大変だったらしい。ますます気になる。
桃さん「じゃあ、俺が相手してやるよ。面白そうじゃん。」
ボス直々に処分が言い渡されるなんてそいつも良い御身分だ。
モブ「そんなこと許されるのですか?万が一何かあったら、」
此奴は目を合わせようとしない。それは沢山お薬キメたからじゃない。動揺と期待が揺れ動いているのだ。もしかしたら殺されるかもしれない、という此奴にとって重い出来事が無くなろうとしているのが強いのだろう。しかし、最終的には“ボスの命令は絶対”という心にも体にも植え付けられた恐怖が勝つことになる。この組織とは、そう言う仕組みなのだ。やっとそれで成り立っていると言っても過言ではないほどに、この街は汚染されている。
モブ「……知道了。」
窓も電気も蝋燭もないこの部屋は暗い。まるで囚人の檻だ。こんなところで捕まったようじゃ、居心地が悪いだろう。こちら側も、逃げられたら見えないというのが難点か。改善のしようが沢山あるな、なんで頭の痛いことを考えながら気配のする方をちらりと見る。部屋の中央に用意された椅子に気怠げに座る青髪の長身。こちらの様子を伺うという動きもなくただ椅子に座っている。少し目にかかった髪は綺麗に切り揃えており、その髪と同じ青色の目が光っている。暗がりでもわかるような美しい風貌の持ち主らしい。いわゆる別品さん。性別は男。歳も身長も俺より少しあるぐらいだ。
桃さん「敵相手に気を抜いてはダメだよ。」
青髪の気怠さが移ったのか、横にいた俺の僕の緊張感が解けている。それは俺の意思にそぐわないし、俺の可愛い可愛い童ちゃんとして恥じるべきこと。後ろを振り返って気の抜けた様子の童ちゃんに囁きかける。するとすぐに背筋が伸び、ゾッとした顔になる。単純すぎるけどそれが良い。ボスに従順であっての僕だ。しかし今居てもらっちゃ少々困る。いつ何時も気を抜いてほしくないが今は必要がない。青い奴には分かるかな、この気持ち。
桃さん「ねぇ、俺は2人で話したいから、君は抜けてて良いよ。」
その子はすぐ部屋から出ていって次の仕事に取り掛かろうと、ドアから見える窓から姿を消した。
桃さん「全く、見張りってモノをしないのかい、あいつは。教育係にはもう少し厳しく言っておかないとね。」
青髪に話しかけるように呟く。何か反応があると思ったが、青髪は微動だにしない。俺は早く、青髪と話がしたい。青髪は腕を縛られている。そんな状況に置かれる中、どんな話術を使って俺という壁をぶち破るのか。俺は青く光る眼球を捕らえ、先ほどの童ちゃんのように期待の眼差しを送った。青髪は俺からまた目を逸らし、足元を見た。暗すぎる部屋ではそいつが何を見ているか、ここからはよく分からない。そんな状況で俺に分かることなんて少なすぎる。青玉のように綺麗な目はなかなかこちらを見ようとしない。もっと話しかけるか、なんて意気込んだ途端、青髪がこっちを向いた。
青さん「そこの桃髪の方。日によってカラスの色が変わるのは何故だと思います?」
急に目を合わせてきたと思ったら何を言う。本当に変な質問だ。俺は何か仕掛けがある様な感じが、あまり好きじゃない。暴力に塗れたこの世界で、知的な受け答えをしていても意味がない。それは誰しもが知っているはずだ。でなきゃこの街のはずれになんかこない。それでもそれを使おうとするこいつには、何か考えがあるのか。
桃さん「何、お薬の話?俺には君の意図が分からないよ。」
青さん「そうですか。ありきたりな答えですね、では質問を変えましょう。人によってカラスの色が変わるのは何故だと思いますか。」
重ねて質問をしてくる青い奴。もしここに僕が1人でもいたら、慌ててこいつを止めていただろう。さっきの童ちゃんみたいに慌てん坊さんだったら尚更。別に俺は構わないし、面白そうだからもっとやってくれてもいい。しかし度が過ぎる態度を取られたら話は別。挑発だなんてもってのほか。まぁ、こいつは頭が良さそうだからそんな馬鹿な真似はしないと思うが。
桃さん「はぁ、価値観とか世界線の話だね。俺はそこまで知的な話はできない。俺は君の様に頭が良いわけではないからね。」
生きる世界線が違うのならば、カラスの見え方が異なるのもおかしくない。この街のカラスは皆生気をなくしてしまっている、赤黒い感じだ。しかし隣町のカラスは皆生き生きとしていて、鮮やかな黒と言う感じ。それがそれぞれの日常なのだから、カラスを見て感じる色は違うだろう。こいつが言いたいのはそう言うことだろう。しかしこの街には価値観や倫理観などと言われるものは存在しない。そんなものあったとて通用しない、野蛮な世界なのだから。では何故そんな質問をするのだろう。
青さん「貴方は勘がいい。しかし、一回の質問で察することができなかったのはボスとして恥じるべきことなのでは?こうゆう生き方をする、貴方の様な人間には仲間を見極める能力が大事なはずだ。現に、俺はあなた方を裏切った。」
“裏切った”という部分だけ強調しているように感じるのは俺の思いすぎか。散々拷問され、殺されそうになったにも関わらず口が達者な奴だ。しかし我々を裏切ったと言う事実を否定したいわけじゃなさそうだ。こいつは何がしたい?あぁ、そうか。それを見極めろと言っているのか。
桃さん「俺が無能ボスだって言いたいの?いいよ、はっきり言っても殺さないから安心しなよ。その通りだと思うけど、遠回しでも言われればなかなか効くね。」
青さん「いや、貴方は有能な方だと思いますよ。ただ、私がはっきり言いたいこととして…。たとえ有能な貴方の仲間だとしても、みんな貴方の様にデキるような方ばかりではないのです。」
冷たく言い放った言葉と共に、俺の腹へ強烈な一撃が下される。こいつの腕は縄で縛られているはずだ。それなのにどうして腹に痛みを感じる?全体的に動きを封じているはずだが。ここにきたことを意図的にフラッシュバックさせる。そういうことか。ふと足を見ると、縄が解けていた。いや、こいつが自分で外したのか。足元に縄が広がっている。これがこいつの言っていたデキない仲間のことか。
桃さん「痛い。君、そんなに死にたいの?」
ボスの俺がここでへばってしまうわけにはいかない。そんな小さな威厳を保つために目の前の輩を睨む。今度こそばっちり目が合う。不愉快極まりない俺とは裏腹に、青い奴はとても楽しそうだ。自分がどんな状況に置かれているのか分かっていながらの相手の行動に嫌気がさす。
青さん「貴方は俺を殺せないでしょう?」
確かに俺はこいつを殺せる気がしない。俺の手にはがっちり銃が握られているのにそんな気がするのはどうしてか。そんな疑問すら青には悟られている様な気がした。
桃さん「俺は、お前ともうはなしたくない。君が昇格しない限りはもう会わないだろうけど、君は必ずこちらへ来る。そうでしょ?」
いい年して子供の様なこと言う自分が恥ずかしい。顔も子供の様に仏頂面だっただろう。ここにあいつらがいなくて良かった。いや、もしあいつらが居たらこいつへの対処法も変わっていたのかもしれない。特に水色の奴と白色が今これを見いてたら、きっと笑い物にされていただろう。
青さん「当然,老板。」
そんな会話を交わしてから少し経った頃。あいつは本当に昇格してきた。有言実行とはこのことだ。しかも、青はただこちらに上がってきたわけではない。ボスである俺に並ぶ腕前を仲間全体に見せつけて昇格したのだ。本当恐ろしい男。本当は俺の残飯処理程度のお仕事を頼もうと思っていたのだが、そんな力を見せつけられちゃ頑固なボスも認めざるを得ない。まぁ、たとえちっちゃな仕事を頼んだとしても青は文句ひとつ言わないのだが。誠実な奴なのだ。
青さん「ねぇ、あの時なんで俺を生かす前提で話を進めてたの?」
桃さん「知らない。気分じゃない?」
青さん「そんな気分屋がこんなに大きくなれてるわけないでしょ。あんたは判断力光の速さぐらいやばいくせにたまに赤ちゃん。俺がボス直々にご説教くらった時も、ボスの表情コロコロ変わるから愛おしくてさ。」
俺にとっちゃ不愉快な単語を次々と並べる青。今までにないくらい楽しそうだ。そうだ、俺も何か仕掛けてやろう。こいつの悔しがる姿を見たい。俺ばっか恥ずかしみを受けているのは癪だ。
桃さん「お前だけだけど。」
隣を歩く青の肩を揺らし、煙管を持つ手と長い裾の間にうまく身体をねじ込ませる。なんとも言えないとでも言いたげなの青の目をロックオンし、妖艶とも言える様な目線でモノを語る。
青さん「さすがボス。色仕掛けもお上手な様で?」
少し顔の赤くなった青を確認し、腕の中から出ようとしたが、青の力が強くて思うようにいかない。青は手にしていた煙管を道に捨て、俺の頬をがっちりホールドする。先ほどよりもっと近い距離で見る青には見惚れてしまう。その瞬間、俺の唇と青の唇が重なった。煙管独特の匂いと青の心地いい匂いが混ざって鼻を刺激する。初めてにしては長すぎる接吻に俺の意識は途切れようとしていた。青ならお得意の話術で対抗してくると思ったのに、まさか身体でくるとは。青の予想外の行動に少し驚いた。しかし俺にはその意図が一生わからないのだろう。互いに目も合わさず、裾を握りしめて身体を寄せ合う。街外れの路地裏でこんな淫らな行為をしているなんて知っているのは転がった煙管とその燃えかすだけ。今日もこの街は美しい。その仕組みを一般市民が知る由なんて何処にもない。この街の影を知っているのは僕と君だけで十分だ。それはこの街の為、と言うことにしておこう。